第3話 結婚相手の条件

 夢中になった彼と別れたのを最後に、もう男性とは深く関わらないようにしようと決めたあの日から、飲み会、職場の人からの誘いなど、異性と関わるすべての誘いを断り続けた。


 今ではもう誰からも誘われることは無くなっていた。


 あれからもう数年経つ。

 気がつけば私も28歳を過ぎ、三十路が目前に迫ってきていた。


 その間、親友グループ4人のうち2人の結婚が立て続けに決まった。


 友人2人の結婚が決まってから、私は彼女たちがどうやって結婚することになったのか興味が沸いた。


 珍しく私からいつもの親友グループ3人を食事に誘い、詳しく聞いてみることにした。


 それぞれにどこで出会ったのか聞いてみた。

 1人は結婚相談所、もう1人は合コンだった。


 結婚相談所はなんとなく安心できるイメージだけど、合コンで知り合って結婚を決めた彼女(さおり)のことは少し心配になった。


 お節介とは思いながら、ついついさおりを質問攻めにしてしまった。


 私「合コンで知り合ったその彼、どのくらいお付き合いしたの?」


 さおり「8ヶ月だよ。もうね、出会った瞬間私の一目惚れ!この人だ!って直感で感じちゃったの♪」


 8ヶ月…

 たったの8ヶ月!?と心の中で突っ込んでしまった。


 私「え!?すごいねそれ。そんな短期間に…。相手も結婚願望強かったの?」


 さおり「付き合い始めはそんなこと考えてなかったみたい。でも私、30歳までには絶対結婚したいから、普段は全然マメじゃないくせに料理とか頑張っちゃってさ。昭和かよ!って言われそうだけど、彼の好みにハマったみたいで胃袋鷲掴み作戦に成功しちゃった🖤

 この前急に彼からプロポーズされてビックリだよ。

 1年付き合ってプロポーズされなかったら、私から逆プロポーズするって決めてたから。」


 す、すごい…。

 目標達成に対する意気込みが半端ない…


 私「さおりにそんなに結婚願望があるなんて知らなかったよ。私たちの前じゃそんなこと全然言ってなかったじゃん?

 さおりは彼のどこがよかったの?」


 さおり「だって男の話題に興味なさそうだったし。

 とくに美香、過去につらい経験してからさ、私は誰とも付き合わない!って酔って泣きながら宣言してたじゃん。これでも気をつかってたんだからね(笑)

 あ、それでね、彼の何が決め手かって

 よくぞ聞いてくれました!

 顔が超タイプだったの。顔一択。

 私の判断基準は、毎日眺めても飽きないイケメンがよかったの。

 顔が良ければ性格が多少問題有りでも許せるもんだよ。

 だって考えてみて?

 人間だからこの先絶対合わない価値観とか出てくるよ?

 そのときに性格も合わない、顔もイマイチだったらメリットないじゃん。」


 なるほどな。

 と一瞬納得しかけてしまった。


 するともう1人の彼氏なしの友人、菜々子が口を開いた。


「顔一択ってすごい!私なんていいなと思う相手がいたって、相手にされたことがないよ。さおりは女の子キャラ全開で可愛らしいもんなぁ。羨ましい。

 それに比べて私は地味だし。」


 なんだか話の方向が暗くなりそうな気配を感じた。

 せっかく友人の結婚が決まってから初めて集まったのにこれではマズい…。


 私は話題を変えることにした。

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