SIDE-A異世界なんてチート転生で楽勝だったSIDE-B全て俺のサポートのおかげだけどな!

北京犬(英)

001 勇者召喚SIDE-A

まえがき

 この作品は、SIDE-AとSIDE-Bの2話セットです。

この導入部だけでは、普通過ぎて(意図的です)1話切りの対象になってしまうかもしれません。

よろしければ、SIDE-Bも読んでいただけると、この作品の売りが理解できるかと思います。

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 目が覚めると、そこは石の床の上だった。

冷たい感触が頬に残っている。

ゆっくりと周囲を見回すと石柱と居並ぶ鎧姿の騎士が目に入った。

その姿は中世の騎士。剣や槍を手にし、銃器などは無いようだ。

これがドッキリやアトラクションでないならば、ラノベで良くある異世界召喚というやつだろう。


 気を失う前、俺は異世界転生で定番のトラック事故に遭っていた。

あのスピードにあの質量、生きているとは思えない。

この状況、異世界転生、勇者召喚で間違いないだろう。


「ようこそおいでくださいました、勇者様。

私、エーベルヴァイン王国第一王女、シャルロッテ・フォン・エーベルヴァインと申します」


 声に振り向くと、そこにはいかにも王女という豪華なドレス姿の女性が笑顔で話しかけてきていた。

金髪縦ロール、瞳は碧眼、超美少女、これ以上の王女などいるわけがない。


 その王女様がニコニコと俺を見つめて来る。

どうやら、この勇者召喚は単独。

召喚されたのは俺しか居ないようだ。

そのため、俺が美しい王女様を独占できているのだ。


「えーと、大丈夫ですか?」


 王女様が小首を傾げて不安そうな顔をする。

つい、考えに耽って、不審人物となっていたようだ。


「いや、つい考え事をね。

これは勇者召喚ということで良いんだよね?」


 勇者召喚ならば、俺の力に頼りたいということだ。

それならば、多少無理な条件を飲ますことも可能だろう。


「はい。ご理解が早くて助かりますわ。

勇者様には、そのお力で魔王を倒していただきたいのです」


「待って。俺は無理やり召喚されて戸惑っているんだ。

それに急に魔王討伐と言われても、平和な世界から来た俺には無理だ」


「仰るとおりですわ。

無理やり呼んだこと、謝罪いたしますわ。

私共が出来る充分な補償と支援をお約束します。

力をつけるための訓練にも時間をかけるつもりです。

実力不足の間は無理に魔王討伐へと行かせることもいたしません。

勇者様をサポートする要員も揃え、万全の体制を整えましょう。

どうか我がエーベルヴァイン王国をお救いください」


 どうやら、俺の立場はすこぶる高いらしい。

俺にしか出来ないことがある。それで優遇されている感じだ。

このまま奴隷にされてこき使われるなんて事も無いようだ。

おそらく俺は元の世界では死んだ身だ。

だったら、この世界で優遇される立場で楽しく生きてやる。

とりあえず、訓練中は無理も言われないだろう。

どれだけ贅沢な暮らしが出来るか、見極めてから逃げても構わないだろう。

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