お願い!フラグの神さま!!
ぞう3
第1話 主人公の名前はこうごうちはるか、女子高生です。
もしもの話よ?
もしもあたしが世界のルールとかモラルとかぜーんぶ取っ払っちゃって生きていけるのだとしたら、それはとっても凄いことじゃない?
運命に逆い駆け抜ける、
ガラスの靴はあたしには重たすぎるもの。
時計の針は反対には進まない。
だから、おもいっきり元気良く走って
いつものように変わらない毎日なんてあっという間に飛び越えて、余計なことなんて考えられないように!
春の
そう! だから、あたしは負けてなんかいられない。
でも、これはそんな
さぁ! 今からでも遅くはないから!
始まりなんていつだって! どこでだって!
だからお願い!
お願い神様!
◇
空色のカーテンを
もちろん返事なんて返せやしないし、
要するに、いつものように
うーんと寝返り打ったその先の、さっきから口やかましい目覚まし時計に気絶する程の
「……安心せい」
「……
むにゃむにゃ……これで
ふぁーあ……おやすみなさぁい……。
「
誰かがあたしの邪魔をする。
「
部屋の扉向こうから、あたしを呼ぶ声が聞こえるけれど。
すでにタオルケットはベッドの下でやたらと
「おねふぁーい……あと……あと30秒だけぇ」
そんな短い時間で何かがどうかなっちゃう訳でもないのは判ってるんだけれど。
でもね。
もちろん、おこがましいのは百も承知。
「ほら、寝ぼけてないで! ママ仕事に行ってくるから。朝ご飯、テーブルの上よ。お味噌汁もちゃんと飲んで行きなさい」
トタタタと階段を忙しそうに降りて行く音と共に、扉向こうの悪い魔法使いが去っていく。
いけないっ! モノローグのトーンがはっきりしすぎてる!
ここは
「お姉ちゃん! ちょっとほら、起きて!」
バタン! と勢いよく、最後の城門も遂に突き破られ現れたラスボス……もとい、妹の
「ちょっとー、部屋に入る時はノック位してケーキと紅茶くらい持ってきなさいよぉー」
「はぁ……いつもいつも! お笑い芸人みたいにボケ続ければいいってもんじゃないのよ! そんなんじゃ若手に仕事を取られるんだから!」
もちろん、あたしは
「ああっ! もう何で二度寝の邪魔するのよっ! まだ大丈夫じゃない! いやだ! もうちょっと寝るんだもん!」
それでも多分、グリニッジ標準時刻より正確なあたしのお腹の時計がまだ鳴らないから全然大丈夫なはず。
じたばたと、両手両足をぎっこんばったん。いやいやをしてみせる。
嫌だったらいやだ! 学校に行くのは女子高生の“仕事”だから仕方ないとしても、二度と来ない今日という日の貴重な“もうちょっとだけ眠っても
「やだ……お姉ちゃん、ぜんぜん可愛くないわよ、馬鹿なんじゃない?」
冷静に切り返して地平線の
……あぁ、そうですか……っていうか、メチャクチャに言い放ってくれるわね……。
「とにかく、いい加減起きてよね? あたし先に行くわよ?」
右手には
考えてる間にも、パタパタと
「ちょっとぉ、扉くらい閉めなさいよぉー」
もう一度タオルケットを鼻まで隠れる程の
ドタン! と玄関の閉まる音。ほー、それがあなたの返事ですか。まぁいいわ、帰ってきたらあなたの大切なピ○チュウのヌイグルミがただのモグラになっているかもしれないけれど……(任○堂様ゴメンナサイ)。
今はそんなことは……どうでもいいわ……まだ、もうちょっとだけ……。
どれ位の時間だろう。少しだけ長い夢を見た。広い花畑、たくさんの木々。
誰もいない場所には、でも確かに人の手を加えた
白い雲がゆっくりと流れ、太陽の光は色とりどりな森のざわめきに
……どこだろうここは? 天国?
全ての存在が美しく
不意に、どこからか聞こえてくる声に耳を
何て言ってるんだろう?
辺りを見渡しても誰もいない。静かな風にのり、ゆっくりとたゆたう不思議な
柔らかな音と光のダンスが青くキラキラと輝きながら、やがて
まどろむあたしの見ている
「……起きろゆーとるやろが!」
この世のものとは思えない甘い
「なにをブツクサ言うとんねんな! あほか! 何時やと思とんのじゃ!! こっちはさっきから
思わずウサギみたいにぴょんと
なに? なにが誰でどーしてって! あんた一体誰よぉぉ!!
驚いた(と思う)タオルケットも、宙をひとしきり(だと思う)舞いながら、ばさりと頭上に落ちてきた。
「おっと、そないなこと言うとる
大変なのはあたしの心臓です! バクバク、ドコドコと鳴り
え?
ぜぇはぁと一人でもがいてみても、目の前のアラビアン? な衣装を
夢の続きにしては
「だ、だ、だ、誰?」
やっとの思いで
相手の鼻のまっ先を、
ふふふん! と鼻を鳴らし、何だか三頭身程しかない、それでいてとーっても偉そうな
「教えて欲しいのならば、先ずきちんと目を覚まし顔を洗って歯を磨いて着替えをし朝食を食べ、もう一度(強調)歯を磨いてから、わしの前に正座をして
なぜ? なんでこんなに
「あのぉー?」
恐る恐る話しを切り出してみる。
「なんじゃ?」
「……つぼから出てきた訳じゃ……ないですよね?」
なんだか
「……われぇ……死にたいんか?」
瞳の奥に、
「す、すみませんすみません! いや、何だか
もちろんそんなものが、ここの
米つきバッタみたく
なんなのよ? なんでこんなことになるの!?
「クシャミひとつで呼ばれる程わしは
パンパンと手を叩き、
正確に言うと、パジャマはいつの間にか制服に着替えさせられていたんだけれど。
びっくりマークが頭の中で掛けたり割ったり、引いたり足したりしながらその数を増やしていく。
いっ、一体全体なにがどーなってるの?あれは誰で?
て、ていうか、い、今何時!?
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