世界征服を目指す少女
@NNN6
第1話出会い
僕は今日も眠れないので夜の学校を散歩する。昼間とは違い静まり返っている廊下夜にはいつもと違う姿を見せてくれる。これが僕暁ジュンが少女に出会うお話。
巡回の時間も覚えているので何の問題もなくいつも通りの散歩をしていたのだが、
この日だけは少し違った。
階段に通りかかった時にピタッと止まった、その理由は階段の踊り場でお茶会をする少女が一人居たからだ。見た目は小学生中学年ぐらいだろうか、特徴的な濃い紫色の髪と同じ色の目。しかし、僕はその目が嫌いだった。
優雅にティーカップを傾ける少女はこちらに気付いたのかティーカップを置きこちらを向く。
「こんなところで何をしているんですか」少女はこちらが聞きたいことを聞いてきた。
「散歩だよ」
「そうですか」そういうと再びお茶会を始める
「・・・ところでそろそろ巡回が来るけど大丈夫?」
僕の言葉にピタッと動きが止まる、少女はぎこちない動きで再びこちらに見る
「あと、何分ですか」
まぁ、教えてもいいか「あと五分ぐらい」
それを聞いて少女、慌てだし片づけを始める。先ほどまでの優雅さや大人びた感はなく年相応の反応だ。
「あ、え、えっと、ど、どうしよう、い、いきに」カップに残っていたものを一気に流し込んで「ケホケホ」変なところに入ったらしい。
荷物をまとめ終わったようだがきょろきょろし始める。逃げ道までは考えてなかったようだ。
はぁ~仕方ない
「逃げたいなら付いてきて」そういって近くの教室に逃げ込む、
そのあとに続くようにドアの開閉音が聞こえた。
「お、教えてくださりありがとうございます」と頭を下げて礼を言われる。
「君が捕まって僕のこと話されても困るから」
「そうですか」
「この後どうするつもり」荷物を机の上に置いて座り込む少女に聞く。
「・・・・」周りをキョロキョロ見始める。
「送ってあげるよ」と少女に荷物を持たせる。少女は荷物を持ったまま何が起こるのかとおびえた目でこちらを見る。
何も答えず少女を抱き上げる。
「え、エエエェェ!ちょ」腕の中の少女が何か言おうとしたがそれは言葉にならなかった。
「しゃべってると噛むよ」一言そう言って窓から飛び降りた。
そう少女の言葉は途中から悲鳴に変わったのだ、次に木々や草の押しつぶされる音が耳に入る。
「ふぅ、うまくいった」そう安堵の息を漏らす。
急いで腕の中の少女に視線をやるとぎゅっと抱き着き目を瞑っていた。
「もう目を開けても大丈夫だよ」こちらの指示に従い瞼を持ち上げる。
「・・・あ、ありがとう?ございます・・・」
「ケガしてないよな」一様確認する
「はい、ケガはないです」
「それはよかった」服についた草や小枝を払ってあげながら安堵の言葉を口にする。
「家はどのあたりだ、送るから」
「え、そんな」少し申し訳なさそうに断ろうとする少女に
「小学生をこんな夜遅くに一人で帰らすほど終わってないから」
「・・では、よろしくお願いします」一礼してから後ろをついてきてくれる。
「あ、これ着ておくといい」上にきている上着を渡す、少女は困惑気味に
「え、あの、いいんですか?」僕はコクリと頷く。
申し訳なさそうに渡した上着を羽織る少女
「ところでいつもあんな風に出てるんですか?」
なんのこと聞かれたのか分からず頭にはてな?が浮かぶ、少女はそれが分かったのか続ける。
「いつも二階の窓から飛び降りてるんですかって聞いてるんです」
ああ、なるほど「いや、いつもはあのまま隣接している寮に戻るだけだから」
「ホッ、それはよかったです」本当に安心した表情をする少女、そんなに心配するようなことだろうか。
「こんなに遅くなって家族は心配しないのか」
「・・・・心配する人は誰も居ませんよ」少し悲しげに空を見上げながらつぶやく
「ごめん」
「あ、違いますよ。私の家族は優しかったですから」
優しかった・・・か
「あ、ここまででいいです。その、ありがとうございました!」しっかり一礼をして駆けて行くと思いきや戻ってきた。
「えっと、私はマリー・リンカルン今回はありがとうございました。すごく助かりました」スカートの端をつまみ上げ名乗ってから再び駆けて行った。
その背中を見送ってから帰路に就く。
世界征服を目指す少女 @NNN6
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