ゴーレム技師にロボットオタク

酒ともやし

変な人

ゴーレム。

人間の代わりに仕事などをしてくれる便利な機械人形。

その歴史は遥か五千年前からある。


しかし百年前、ホムンクルスという技術が誕生してからゴーレム作成技術が衰退していった。


ホムンクルスとは人間の身体と全く同じ構造をし、人間と同じように考え成長する。

寿命はなく、一度登録すればその人物の子孫に一生仕える。


その性能により成長もせず、毎回登録しなくてはいけないゴーレムは人間達に選ばれなくなっていった。


だが人間の姿をしたホムンクルスを危ない場所に向かわせることは躊躇わられ、そういう場所ではゴーレムが使われている。

それによって何とかゴーレム作成の技術は受け継がれている。



「はぁ。ここの部分が難しいんすよねー。

歯車も上手く回っているのに何で動かないっすかね。

もしかして魔法陣が間違っているっすかね?」


僕は歯車をゴーレムを取り出し、刻んた魔法陣の確認をしたっす。


僕はシエル、ゴーレム技師だ。

死んだ親父から受け継いだこの工房を経営しているっす、一応っす。

でも赤字続きで火の車状態っす。


でも親父が生きていた頃は全然違うっす。

親父は唯一この国で認められたゴーレム技師、今現存しているホムンクルスと対等に扱われていたっす。


それもそのはずっす、親父の作ったゴーレムは空を飛び目からビームと呼ばれる光線を出す事ができたっす。


そして人工知能と呼ばれる装置が備え付けられたっす、初めて成長するゴーレムが作られたっす。

そのゴーレムは国王様に贈呈されているっす。


親父は二年前きっと殺されたっす。

贈呈されたゴーレムと新たな世代のホムンクルスとの戦いに勝利した日の次の日に死んでいたからっす。


死因は未だに分かっていないっす。

なかなか起きない親父を起こしに行ったら死んでいて、衛兵に何度もおかしいと言っても聞き入れてもらえなかったっす。


だっておかしいっす。親父が大切にしていたゴーレムのアイディアが入った金庫が開いていて、中に何もなかったからっす。


そのあと贈呈したゴーレムも不具合を起こし壊れてしまったっす、返されたそのゴーレムを見ると人為的に魔法陣が壊されているのが分かったっす。


そしてこの二年で残存していたゴーレム工房もたくさん潰れ、ホムンクルス工房に変わったっす。


そうこの国で最も大きい商会、アルナタニア商会が経営する工房に変わったっす。

その商会こそ親父のゴーレムに負けたホムンクルスを作った商会っす。



「あーやっぱここっすか!

ここをこうしてこうすればいいはずっす!

これをここにいれてっと」


取り外した歯車を戻し起動させると、きちんと作動しゴーレムが腕を上げたっす。


僕の技術は親父と同じくらいある、でもアイディアがないっす。

親父みたいに空を飛ばせたり目から光線を出すなんて、今のホムンクルスなら当たり前にできるっす。


僕は来月の大会で優勝しないといけないっす。


優勝者には一つだけ国王様にお願いができるという権利が与えられるっす、優勝して親父が死んだ真相を突き止めるんす。


「よし!このゴーレムなら優勝できるっす」


僕が作ったゴーレムは遠隔操作できるようになっているっす。

これが装置があれば単純作業しかできないゴーレムに難しい作業をさせる事ができるっす、きっとこれならホムンクルスにも勝てるっす。


今日はある程度進められたので帰るっす。

僕は工房にある火を消し、工房を閉めて家路につくっす。


「えーと大丈夫っすか?」


帰り道の途中にゴミ捨て場に寝ている人に声をかけたっす、親父と同じ髪色だったので気になったんす。


寝ているお兄さんは髪色が黒、僕は産まれてから親父以外に見た事がなかったっす。


「うううんん。あれここどこだ飲みすぎて寝てしまったみたいだな。

すまない君、ここはどこか教えてくれるか?

あと駅の場所を教えてくれ?」


「えーとここはサルサ3丁目っす。

えきはちょっとよく分かんないっすね」


「サルサ?俺はアキバで飲んでいたはずだぞ。そんなとこあったかな?

駅が分かんないなんて冗談はいいから教えてくれよ」


「あきばっすか?

この辺りにはそんな名前の店ないっすよ?

それとえきは本当に分からないっす」


「店じゃないよ秋葉原のことだよ!からかってないで教えてよ、スマホの充電器切れているから調べられないんだよ」


そう言って四角い物を見せてきたっす。


「あきはばら?よく分かんないっす。


あとこれなんすか?」


見せてきた四角い物を指差して質問したっす。



「スマホだよスマホ。

もういいや、自分で探すから。

じゃあなコスプレヤーさん」


こすぷれいやぁと謎の言葉を言った青年はフラフラとどこかに行ったっす。


「何なんすかね?

まあいいっす、自分には関係なさそうっすからね」


僕はさっきのことを忘れて帰ろうとした。

そしたら誰かに腕を掴まれたんす。


「えーとさっきのお兄さんすよね?

どうしたんすか?すごい顔してるっすよ?」


さっきお兄さんが目を血走らせて僕を見ているっす。


「あ、あのここはどこですか?

ここは地球ですよね?この場所は日本ですよね?

そ、そうだドッキリだ!ドッキリですよね?

そうだと言って下さい!」


お兄さんが僕の両肩をを掴み懇願するように言ってくるっす。


「ここはエランド王国の王都、サテンっすよ。

ちきゅうやにほんって場所っじゃないっすよ。

どっきりはよくわかんないっす。


おっお兄さんそれはだめっすよ。

お兄さん?」


聞かれたことに答えるとお兄さんは抱きついてきたっす全力で突き放し、よく調べると白目を剥いてお兄さん気絶していたっす。 


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