Chapter.15 晦冥



『あんた、何したの?』


帰って第一声母は私の聞いた。泥酔ではないがホロ酔い状態だった。父は歯軋りをし『いいから!今日は彩花に話しかけるな!』と父が言う。


『はぁ?何?どうゆう意味?!』


父と母が口論を始める。私は体調が悪いから夕飯はいらない、と言い自室に篭った。鍵が欲しい。本当に。以前父にお願いしたら絶対ダメだって言われたんだったなぁ。勝手につけようかな、鍵。


そんな事を考えながら制服を脱ぐ。ふと昼間処置してもらった白い包帯の巻かれた腕が目に入る。私って死にたいのかな?ふと疑問に思った。


もし死にたいと思ってないのならあの傷を見せ合ってるような同級生たちと私も一緒なのかな。私は彼女たちを軽蔑した。馬鹿みたいって。本当に苦しくて切ってる人への冒涜だとすら思った。


母に死んでほしいって思ってるのかな?

自分が何を考えているのか分からないのだ。だからどうしたいかなんて根本的な話はもっと分からなかった。そう私は何も分からない人間なのだ。


部屋の電気を消し買って欲しいと頼んだ風邪薬をポリポリ食べながら考えた。これだって死ねるかと思って始めたけど気付いたらほぼ毎日やってる。


そうか、私死にたいのかもしれない。

だって明日を生きてどうするのだ。生きていたってどうするんだ?

こんな人間が生きていたって何になれるんだ?


一階から足音的に母が上がってきたのを感じたので薬を隠し寝たふりをした。

案の定部屋のドアが開けられ母だった。


『あんた…精神科にかからないといけないんだって?』


『…』


『何がそんなに辛かったの?ママに言ってごらん?』



暫くの沈黙の後母が部屋に足を踏み入れようとした為



『ごめんなさい、今は頭が痛くて話せないです』


と切り出すと



『そう…じゃあいつかちゃんと話してね、おやすみ』



そう言って母はドアを閉め下へ降りて行った。



え?どうゆうこと?私はパニックになった。

自分が今まで私にして来たことって何も覚えてないって事?何にも?


それとも今更いい母親アピールし出したのか?

いやそれは私の発想がゲスなのか?


何がそんなに辛かったって?

お前との生活だよ!!!


イライラすらした。

もうだめだ。腕を切ろう。発狂してしまいそうだ。


包帯をぐるぐると取り、カミソリを腕に当てようとした瞬間にふと昼間涙ぐみながら手当てしてくれた保健医の葉梨先生と富田先生の事を思い出した。



『……。』



ここまで傷あったらもう一緒か。

でも、先生達こんな事やめろって一言も言わなかったな。

一体何を思ったんだろうな。



『これは、今日迷惑かけた分。』



そう私が全部悪い。

葉梨先生。富田先生。児童相談所とケースワーカーの人達。父、母。

普通に笑えなかった事、誤魔化せばこんなことにならなかったのに。

私が弱いせい。そう、私が耐えられたら何も問題なかったのに。


強くなりたい、そうしたらどうしたらいい?

一体何に誓いを立てたらいい?どこに向かって歩いて行けばいい?


私のこの気持ちはどこにやってしまって

どうやって消化したらいい?



ごめんなさい、先生。

私何も分からなくって。


ごめんなさい、お父さん、お母さん

私が生まれてしまって。



心から悔いています。

どうか消え方だけ最期に教えてください。



どうしたら貴方達は笑い合ってくれるのですか。

私に笑いかけてくれるのですか。



いいえ、死ぬ勇気だけ下さい。







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