第49話 ブラックアウト
気絶するというのはなかなかない体験だ。だが体育館前で足を滑らせで気絶するというのは間抜けという他にない。
転んだ瞬間、何が起きたから理解できたのに動けなかった。薄れいく意識の中で誰かが俺の元に駆けつけていた。
目を覚ますとベットの上。保健室だろうか。
誰が運んでくれたんだろう。そういえば想いを寄せている君は保健委員だったか。
カーテンの向こうに影が見える。君と一緒にいられる時間が終わるのがもったいなくて俺は寝たふりをした。
枕元にやってきた君は俺の額に触れる。なんかちょっとベタついていた。
ま、まあそういうこともあるだろう。だがなんとなく君の手がゴツい気がする。
嫌な予感がして目を開けてみたら、もう一人の保健委員の男の方だった。おい冗談だろう。
目が覚めたのかと彼は言う。俺は頭が痛いからまだ寝てると答えた。
ああ、本当に頭が痛い。願わくば間抜けな俺の醜態を君に知れないことを祈ろう。
保健室を出て行く彼が誰かと話していた。……それが君だったことは見間違いだと思いたい。
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