ああ、愛すべきパスカル
カンツェラー
第1話 災厄の始まりの予感
俺の名前は、神宮寺祥。
17歳の高校3年生だ。
時期は3月。
これから、長い大学受験シーズンが始まると思うと少し憂鬱な気分で、
教室の窓から桜舞い散る校門の桜並木を眺めているどこにでもいるやつ。
それが俺。
周りからは、表現やリアクションが面白いね、几帳面だね、意外にきちっとしてるよね、そう言われるキャラクターだ。
祥「お疲れ」
望(のぞむ)「食堂で待ってるよ!」
祥「おう」
望は俺の親友で、小学校からの付き合いだ。
気さくなやつで、頭が恐ろしくいいやつ笑
俺は頭脳が無双してる望をめちゃくちゃリスペクトしている。
一方で望も俺のことをリスペクトしてくれてる。
俺のコミュニケーション能力がすげえらしい。
お互いに尊敬できるところがあって良い関係だ。
さて、進路相談面談を受けてくるか。
祥「失礼しまーす」
木村先生「はい、じゃあ座って」
木村先生は、英語を担当する先生だ。
非常勤講師としてだからか、いつも忙しくしている。
木村先生「うん、全体的に悪くないと思うよ。少し、現代文が全国平均よりも低めだけど。」
祥「はは、そうなんですよ。あんまりそこは得意になれてなくて。」
木村先生「普段から本読んでる?」
祥「一応読んでる方だと思うんですけど...」
木村先生「そしたらきっと問題に当たる数を増やしてけば、これは大丈夫。」
祥「問題集帰りに買って帰ります、ははは。」
木村先生「志望校は東京の大学?」
祥「そうですね、東京に行こうかと」
木村先生「GMARCHを第一希望郡に勉強の進捗を気にしてくと良いね」
祥「そうですね、一応Mの文学部を目指そうかと。」
木村先生「そこは文学部なのね笑」
祥「あははは、そうなんです。読むことは本当に好きなんですけどね、ははは。」
木村先生「まあ、まだあと一年あるから、この成績なら油断せずに毎日コツコツやっていけばGMARCHのどっかの学部には入り込めるよ。頑張って。」
祥「いつもありがとうございます。」
木村先生「うん、そしたら次は、、明梨呼んできて。」
祥「はい!ありがとうございました!」
教室から出ると横を振り返るとすぐ目の前に明梨がいた。
想定以上に近距離だったので思わずドキっとした。
そう、明梨は俺の教室で一番可愛い女子、いや学年で1位かもしれない。
明梨「お疲れ!どうだった?」
祥「んー、可もなく不可もなく。」
明梨「何それ〜。」
祥「明梨も大学は東京行き?」
明梨「うん、志望校は全部がっつり東京の大学笑。」
祥「良い面談になると良いな笑。」
明梨「何それ、バカにすんなよな〜笑。」
祥「ははは、それじゃあまた明日!」
明梨「うん、また明日ね!」
明梨の笑顔は本当に可愛い。
やっぱり神様は残酷だよな。
外見でこんなに世界を変えてしまうとは笑。
ただ、明梨はちょっぴりまぬけさんなところがある。
でも勉強は普通にできる子だ。
いやはやここもずるいなって思ってしまう。
祥「さて、食堂に行くか。」
進路面談を受けた自分のクラスは、2-A。
そこから食堂まではそこそこ距離がある。
だいたい5分かかる。
途中校舎の中から屋外に出る通路がある。
そこで奇妙な感じを覚えた。
この2年間毎日の様に通学している学校だ。
それでいて、何かこう違和感の様な。異様な何か。いつもと違う。
そしてこれだけは言える、何か良からぬ、ただ、ただただ良くない空気。
本能レベルでそう感じた。
でもそれがなんだかは、その時は全く分からなかった。
翌日の金曜日の昼明けの授業が始まるその時までは...
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