第8話 謎の勝負と悩み

 昼休みになったので、雄太のところへ向かうとなぜかいろんな人が周辺に集まっていた。いや、どんだけ人集めてんだよ。


「お、来たな。俺様との勝負を始めるか。ふっ」

「うん......」


 なんかすごい自信ありげだな......。別にいいけどさ。


「じゃあルールを説明するぜ。まず曲はすべて最高難易度の38だ。スコアの高いほうが勝ちで、スコアの計算方法はランクマッチと同じだ。同点の場合はノーカウントにして、もう一曲やるぜ。曲選はランダムだ。これを3回って多く勝ったほうの勝ちだ」

「お、おう」


 すでに色々決めてあって驚いた。結構ルールはちゃんとしてるな。とにかくミスらなければいいってことだな。


「ランダムで選ばれたのは、『カミナベ』って曲だな。ふ、これは得意だぜ」


 どうやら雄太の得意な曲らしい。それなら負ける可能性あるし、集中してやらないとな。


 いろいろ準備して、一曲目の勝負が始まった。その結果......。


「なん……だと……」

「……」


 圧勝してしまった。


「次だ! えっと次の曲は『What kind of! 』だな。この曲も得意だぜ」


 その結果……。


「まさか……この俺が……」

「……」


 また勝ってしまった。この時点ですでに勝ちが決まっている。


「お願いします。あと一回やらせて下さい」

「ええ……。まあいいけど」

「ありがとうございます!」


 なんかキャラ変わってね? こんな人だっけ......?


「次は『獣生』だな。今度は少しでも点差を縮めたい!」


 なんか目的変わってるような……? とりあえずやるか......。


 そして今回も……。


「……」

「あ、あの」


 周りの人も反応に困っているみたいだ。ちょ、どうしようこの空気。


「…………てください」

「う、うん? ごめん聞こえなかった」

「弟子にしてください!」

「…………えええええええ?」

「お願いします!」

「きゅ、急にどうしたの」

「いえ、師匠の圧倒的な上手さが私を変えてくださりました」

「…………」


 なんか一人称まで変わってるし、なんか変な物でも食べたのか?!


「お願いします。私にプラセカの極意を教えて下さい!」

「たまにでいいなら教えるけど……。そんな期待しないでね?」

「大丈夫です。師匠の上手さはあの、プラセカ界隈で有名なブルーさんに匹敵します!」


 いや、本人なんですけどね?


「そ、そうなんだ」

「はい! なのでたまに指導していただけると嬉しいです!」

「わ、わかった」


 そういった後、雄太は少し考える素振りをし、俺に近づき耳打ちをする。


「あと、1つ訊いておきたいんですけど……」

「なんだ?」

「水島さんは颯太さんのことどう思ってると思いますか?」

「うーん、友達として少しは好いていると思いたいなぁ。確信を持つとナルシストっぽくなるから……」

「これは全然気づいてないですね……」

「うん? なんか言った?」

「いや別になんでもないです!(難聴系主人公みたいですね……颯太さん)」


 ――――


 そんなことがあった後、雄太と連絡先を交換した。指導関連の連絡をするためだそうだ。


 昼休みが終わり、残りの授業を受け放課後になり、荷物をまとめていた。授業中はいつもと空気がなんだか違った。昼休みの一件のせいだろう。


「とんでもないことがあったな……」


 そうボソッと声を漏らした。その時、声をかけられ振り向く。


「あ、颯太くん!」

「桃華か。どうしたの?」

「あ、あの何もないなら、一緒に帰りませんか……?」

「全然いいよ。今日は特に何もないしね」

「やったっ」


 小さく桃華は右手でガッツポーズを作る。そんなに俺と帰るのは楽しいか……? そんなことを想っていると、背後からおぞましい気配がした。気配がする方を見ると、桜がこちらを睨んでいた。え、なんで……? なにも心当たりがないんですけど……。と、取り敢えず、声をかけてみるか。


「あ、あのー。桜さん?」

「なに?」

「なぜそんな怒ってらっしゃるのですか?」

「別にあんたが何か私にしたわけではないのよ」

「じゃあなんで……」

「…………別に。二人ともごめんなさい。空気悪くしてしまって」

「え」

「じゃあ、私帰るから……」


 そう言い残し桜は帰った。様子がおかしかった。いつもならもっと俺にいろいろ言うのに。


「いったいどうしたんだ……?」

「私にもわかりません……。けど今はそっとしておくの正解な気がします」

「そうだね」

「ひとまず一緒に帰りましょう」


―———

更新遅くてすみません。

某ゲームで新しい国が追加されて、ついやりこんでしまいました。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る