第6話 これは何か起きる予感……?

「ここかな……?」


 家は一軒家で見た目は結構新しそうだ。建築について詳しいわけではないから、よくわからないけどな。


「とりあえず呼び鈴鳴らしてみるか」


 家の中から、ドタドタと足音が聞こえる。


「こんにちはー。家に入ってどうぞー」

「お邪魔します」


 桐乃の部屋に案内された。どうやら勉強はここでするらしい。


「親は家にいるの?」

「あー、お母さんたちは仕事があって今日は遅くなるみたい。だから今はいないよ」

「そうなんだ。......てかこんな簡単に男を家に連れ込んでいいの?」

「まあ、桜の幼馴染だからね。信用はしてるしね。それに何かされたら、桜に言いつけちゃえばいいし」

「ただでさえ嫌われているのに、これ以上嫌われたらどうしたらいいんだ」

「桜に嫌われている? そんなわけないじゃん!」


 何言ってんだこの人......。嫌われてるに決まってるくね? あんなに冷たくするんだよ?


「あ、その顔信じてないね? じゃあ、私が断言してあげよう。桜は君のことを少なくとも嫌ってはないよ」

「そうか? 普段の言動からは信じられないけど」

「まあ、信じなくてもいいけど、桜にあんまり冷たくしないでね」

「冷たくする気はないよ。嫌われてる、または好かれてたとしてもね」

「ならいいんだよー」

 

「ていうかそろそろ勉強はじめるか」

「はーい」


 ――――


「今何時だ?」

「もう16時だな。9時から始めたから、7時間か」

「だいぶ勉強したから、もう高得点間違いなしだね」

「そんなすぐ高得点とれたら、だれも苦労しねーよ」

「マジレスやめて」

「じゃあ、なんていえばよかったんだよ」

「そうだよ、その一言を言えば満点かな」

「そうですか……」


 若干、いやかなり面倒くさいな。こいつ。でもこんなに集中して勉強したし、根は真面目なのかな?

 

「息抜きになんかゲームしない?」

「いいけど」

「じゃあここは男女定番の愛してるゲーム……」

「は!?」

「じゃなくて言葉の最後に『すき』がくる言葉を言い合って、言えなくなったほうが負けのゲームするよ!」

 驚かせるなよ。ていうか――。

 

「なんだそのクソゲー。しかもすきって明らかに悪意あるだろ! あとすきがつく言葉全然ねえよ!?」

「じゃあ始めるよー」

「勝手にはじめんな」

「まずはアブラススキ」

「早速植物かよ。じゃあたすき」

「うーん。ぶ、"すき!"」

「なんでわざわざすきを強調したのかな?」

「ちょっとからかいたくなっちゃって……。申し訳ない」


 からかったときに申し訳ないって謝るやつ初めて見たわ。なんか変な奴だな。絶対本心じゃないだろうけど。今だってちょっと口角が上がってるの見えてるし。

 

「そんな謝るとやりにくいんですけど」

「早く次いって」

「まだ続くのかよ。えっと海苔すき」

「手"漉き"」

「じゃあ同じく手隙」

「枚"次"」

「下梳き」

「特"漉き"」

「トリアス紀」

「牛"鋤"」

「がらすき」

「雲"透き"」

 

 この戦いはしばらく続いた……。長く苦しい戦いだった……。

 

「強いな……」

「貴方もね……」


 お互い謎に結構言えて白熱した。正直自分でもなんでこんな言えたかわからない。もしかしたら誰かが俺に教えてくれたのかもな。


「勝ち負けなしにしない?」

「同意」


 互いに疲れた。変なことに脳を酷使したからな。……ていうか頭の中にめっちゃすきって言葉が浮かんでくる。これ重症かもな……。


「時間ももう結構遅いしそろそろ帰るわ」

「わかったー」

「……お前がわざとすきって強調したせいもあって、なんか頭の中がすきだらけなんだけど」

「ちゃんと頭に残っててよかったよ」

「お前まさかそのために……」

「ふふふ」

「でもそうしたい理由もわからないな。だって俺の頭の中にすきって思い浮かんでも、桐乃にとってなにもないだろう?」

「それはおいおいわかるよ」

「……なんか不安だな」

「ふふふふふ」


 そんな不安な気持ちで家に帰宅した。


 ――――


 ちなみに俺の家庭は両親に妹ひとりだ。妹、青木花蓮は漫画ほどではないが若干ブラコン気味だ。でも兄の恋路を邪魔するわけではなく、むしろ応援してくれている。ただ兄が高校卒業してしばらくしても、恋人のできるそぶりがなければ、妹として一生死ぬまで一緒にいるらしい。なんかちょっと変な妹だ。でも大切な妹だ。


「お兄ちゃんお帰りー」

「あ、ただいま」

「で、今日は恋人出来そう?」

「いや訊くの早」



 ――――


 長らくおまたせしました。本当に。

 妹はちょくちょく出すつもりです。妹が書きたくなったときとかに。妹のタグもつけておきました。いろいろ自分勝手で申し訳ない。

 

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