親衛隊へのお披露目

「何あの女、響様から離れなさいよ!」

「ブスのくせに、図々しいわね」

「響様と並ぶとくすんで見えるわね」

「身の程を知らせてあげましょうよ。抜け駆け厳禁!」


 女は怖い。わざわざ聞こえる様に言っているのがわかるだけに恐怖を感じる。

 悪意を向けるだけで凶器の刃になる事を誰か教えてあげて欲しい。


「やあ、みんな、おはよう!今日も元気そうで何よりだ。ところで、このは"僕のいい人"だからよろしく頼むよ」


 校門で出待ちする親衛隊に響が右手をあげて挨拶し、そのまま紹介された。

 何度も響の事で呼び出されているので親衛隊とは顔見知り以上の関係のはずだけれども。

 響の発言に親衛隊が歓声を上げた。


「きゃー!」

「響様のいい人!」

「という事はあの人は!」

「可愛いですね!」

「みんな、ありがとう!可愛いだろう?ボクのいい人」

「「「「はい!」」」」

「まだ初心者だから色々教えてあげてくれるかい?歩き方とか」

「「「「はい、喜んで!」」」」


 あっという間に親衛隊に取り囲まれるとそのまま女性らしさ講義が開始された。

 つま先から体重を消してふわっと着地して踵を地面につけない。

 手も足も、肘も膝も気持ち内側に向けて歩く。

 手のひらは生卵を優しく握る感じで握り込まない。

 校門脇での講習会は人目についた。確実に響は狙って行ったのは間違いない。

 教室に入るまでに全校生徒に知れ渡っているのは間違いなかった。

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