告白の行方2
僕と響は時間にして三分ほど抱き合っていた。その間も中庭には辺りから降り注ぐ怒号、歓声、絶叫が鳴り響いていた。
さすがに物が降ってくる様な事はなかったが、後々面倒事が起こりそうな予感はしていた。
それでも全校生徒が目撃しているので変な誤解も歪曲も起こらないだろう。その点は安心だ。
響の言うようにディープな口づけを二人でするのは初めてだった。可愛らしいお子様キスなら数え切れない程していたけれど。
女の子の初めてを貰ったのなら責任を取らなければならない。男とかそういう次元の話では無くて人として。
「責任なら取るよ。結婚を前提としたお付き合いでお願いします」
「当然、受けて立つよ!ボクは負けない、絶対に逃さないからね」
響の左手が僕の顎を持ち上げて再び二人の視線が合った。そのまま響の顔が近付いてくる。
さらに過熱する怒号、歓声、絶叫。その瞬間、それらを打ち消す様に校内アナウンスが流れた。
『2年A組黒川琢磨、大森響、両名は至急職員室に来るように。繰り返します、2年A組の黒川琢磨、大森響、両名は至急職員室に来るように。以上』
クラス担任の広瀬桃香先生の声だった。御年28歳独身、彼氏なし。肩まである黒髪にザマス発言が似合いそうな眼鏡を掛けてるのが特徴的な先生で、眼鏡を外せば美人なのは誰もが認める所だった。
「残念だがここまでようだね。仕方ない、行くとしようか!」
「そうだね」
差し出した手を響が握り返してくる。
校内アナウンスの影響で静かになった中庭を響と二人、手を繋いで職員室に向かって歩き出した。
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