男装の幼馴染に告白してみた -僕の幼馴染は学校の王子様-

青空のら

幼馴染に告白する

「好きです!僕と付き合ってください」


 放課後、学校の中庭に幼馴染の大森響を呼び出していた。

 ショートヘアーに整えられた眉毛、切長の目、鼻筋の通った男装の麗人。学校指定のカッターシャツにネクタイがよく似合っていた。身長も160cmは超えているだろう、周りの女生徒より頭ひとつ分大きくて目立つのも特徴的だった。


 響とは保育所時代からの腐れ縁で家も二軒隣だ。蹴られたり、殴られたり、プロレス技を掛けられたりして一緒に育った。

 要するに一方的にボコボコにされていたわけだ。


 仕方ないだろう?子供時代は女子の方が発育が早いから身体も大きいし、第一に女の子に手を挙げる男なんて最低だ。

 従って一方的にボコられるしかないわけだ、納得してもらえるよね。


 響は小学校ではガキ大将、子分を引き連れてブイブイいわせていた。後始末はいつも僕の役目。

 中学校では正義の味方、変態教師を相手に大立ち回り。当然、後始末や教育委員会に脅しを掛けるのは僕の役目。結果的にマスコミの人達とも仲良くなりました。

 高校では王子様、女子を引き連れて宝塚よろしく崇め奉られている。反動でだらけるのは僕の部屋。せめて自分の部屋でくつろいで欲しい。


「ああ、黒川琢磨君。ボクをここに呼び出したのはそんな事の為だったのか。当然、ボクの答えは決まっているよ」


 左手を胸に当て、右手を前に差し出しながらの発言。

 男がやったらただのナルシスト的発言を軽々と行えるのは一種の才能だろう。本当に響が男に生まれなかったのが勿体ない。

 当然、男なら嫁にできないので僕的には残念だけど、その時は僕が嫁に行けばいいだけの話だから何も問題ない。

 えっ?何の話かって?

 響と僕は幼い頃に結婚の約束をしているから当然、大きくなったら結婚する。それは既定路線だ。


「残念だけど――」


 響の腹から出る声は校舎に囲まれた学校の中庭ではよく響いた。

 学校の中庭はその立地から校舎からはどこからでも中庭での活動を確認する事が出来る。

 それはつまり、今行っている"告白ショー"を全校生徒が目撃可能だという事であり、その為に選ばれた場所だった。

 僕が幼馴染の響に告白してフラれる。それを行い、それを見るために用意されたステージだ。

 響の親衛隊が複数のSNSで今回行われる"告白ショー"の告知を行っていたようだ。響の知名度的にほぼ全校生徒が見ていると思って間違い無いだろう。

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