第5話 助手「助けてもらえたっす」
「博士えええええええええええ!」
助手の乾いた叫びが森の中をつんざいた。その瞬間、どこからともなく火の玉が飛んできてイノシシに当たる。この時、イノシシは初めて痛がるそぶりを見せた。
「ぶもおおおおおおおお!!」
「こ、これは……?」
博士が熱排気で体から煙を出している状態で固まっていると、森の奥から4人の男女が現れる。先頭の大剣を背中に背負った大柄な男が、こちらを見て口を開いた。
「縺翫>縲√≠縺昴%縺ォ莠コ縺悟ア�k縺橸シ�」
こちらを指さして大柄な男が後ろの三人に呼びかけている。動けない博士の代わりに助手が前に出て彼らを警戒していると、
「ぶもおおおおお!」
イノシシが血走った目で彼らの方に突進する。大柄な男が背中の大剣を抜きつつ三人に指示を出して戦闘を始めた。
「縺�¥縺槭∩繧薙↑��」
「「縺翫≧��」」
後ろの女の人が弓を引き絞りイノシシめがけて撃つ。放たれた矢は
イノシシの突進は止らない、が痛みによって突進のスピードは緩まった。その間に盾を構えた大男がみんなの前に立ち突進に備える。
「ぶもおおおおお!」
「縺ィ縺翫&縺帙k縺具シ�シ�」
彼らが戦闘をしている中、熱排気が終わった博士が助手の横に行く。博士は助かったかもしれないことに安堵しながらも、聞こえてくる彼ら指示を、頭の中で記憶、解析をして彼らが話している言語を習得しようとしていた。
「いけ……そこだ……下がれ……そこ……」
「ブツブツ横でささやかないでくれるっすか博士。キモいです」
「もうちょっと心配して!?結構ボロボロだよ博士、いたわってよ!」
「まだ元気じゃないっすか。心配して損したっす」
「博士、体も心もボロボロになったよ今……」
心の方を助手にとどめを刺された博士が
「怪我は無いか?」
「オレ、ナイ、モンダイ」
「体から煙出してる奴に言われても全く信用無いんだが……」
確かに体から煙を出している人に大丈夫ですと言われても、そうですかと信じる人は居ないだろう。ともかく、戦闘中の彼らの指示とそれに伴う行動をリンクして言語を解析した博士は片言ながらも異世界言語を短期間で習得した。その驚くべき理解力は
「ともかく、ここは危険だ。見たところ武器もねぇみたいだし、奴隷か?いや、首輪もねえし……マジで迷子か?」
「オレ、カノジョ、マイゴ」
博士が片言で彼らに現状を伝えてる横で助手が静かに聞いている。聞いたことのない言語で博士が話しているから会話に入れない……のもあるが、彼女は「博士が他人と話している」という事実に驚いてるだけだったりする。
依頼の受注も交渉ごとも自分がしていた助手。てっきり博士はコミュ障では無いかと思っていたのだが……こうして
助手の博士に対しての評価がこっそり上がっている中、盾を持った大男が博士達の格好を見て大剣をもった男に提案する。
「その白い服……見たこと無いな、他国の人間か?取りあえず俺たちと一緒に街に連れて行こうリーダー。獣たちが血のにおいを嗅ぎつけていつ襲われるか分からんぞ」
「たしかにそうだな……お前ら、俺らはこれから街に帰るが一緒に来るか?」
「アリガトウ、ツタエル、カノジョ」
博士が助手のほうを見て満面の笑みを浮かべる。
「助手!この人たちが街まで連れて行ってくれるらしいよ!」
「博士……ちゃんと人と話せるんすね!」
「博士一応コミュニケーションプログラム積んでるからコミュ障じゃないよ!?」
「だって……博士いっつも来客の対応私に任せるじゃないっすか」
「だって来客とかめんどくさ……なんでもないよ?」
助手が無言で拳を振り上げたので博士は即座に発言を撤回する。助手の上がった博士の評価は一瞬で下がった。
そんな漫才を繰り広げている博士達。周りにいる四人には
「その服、とても可愛いですね!」
「アリガトウ」
「絶対お前の服じゃねえから。その嬢ちゃんに言ってるぞそれ」
「チガウ、カノジョ、イッテル」
「ああ……っち、言葉が通じないって中々めんどくさいな」
森を抜け、博士達の荷物を回収して道に出た博士達と冒険者達は警戒を緩め、雑談に華を咲かせていた。
助手はガールズトークというものを盛り上げるために、頑張って博士を使って女の子達と会話していた。一方、そんな
「それにしても、
「チガウ、セカイ、キタ」
「世界が違う……来た?異世界から来たってか?変な奴だなお前」
リーダーと呼ばれていた大剣の男が
後ろでは女の子二人が助手の周りをグルグル回りながら助手を質問攻めにしている。助手は自分なりに打ち解けようと博士を使って会話していた。
「助手さん、綺麗な髪してますねぇー。うわぁ、さらさらー!」
「オンナノコ、ダイジ、カミ……助手?そろそろ翻訳疲れたんだけど?」
「可愛い服着てる……貴族?」
「チガウ、ナイ、キゾク。助手~?しばらく博士の通訳を聞いてたんだから、もうこの世界の言語で会話出来るでしょ!ちゃんと自分で喋ってよ!?」
博士が自分の会話を成立させながら助手の翻訳をするという離れ業を成し遂げながら、脳内で言語体系をアップデートし続ける。会話量と習得単語からより円滑なコミュニケーションを博士は
そうして六人がワイワイと話していると街の明かりが見えてくる。防壁の中から漏れ出す活気の光が街を照らし出していた。
「見えてきたぞ、あれがサルバドの街だ」
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