第29話 漂白


涙で私の心を作りましょう


今は今で過去は過去で


いつの時代も過去に戻れないのは


当たり前のことだけど


それを認めたくないのは




涙をたくさん流して文字を書いているとき


涙は頬を伝い私の心に月が


凍る寒い夜の藍色の空のような


閑散とした漂泊の思いを


貪ってただ涙を流す


流せば流すほど周りに


迷惑をかけて余計に状況が悪化して




自分の居場所がなくなってしまうのに


どうして私は涙を流さずには


いられないのだろうか 


誰だって泣きたくなるくらい


悲しいことはあるのに周りからすれば


しつこいくらい私は泣くことしかできない


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