第27話 闇に逝かなきゃ
涙でもう一人の私を探しましょう
ある夜に彼は言いました
闇に逝かなきゃ
そこに僕の居場所があるから
遠い日の昔話は彼の存在を唯一証明していて
彼が彼で私が私でまるでいつまでも
時を分かち合いたい恋人のように
分かりあえたはずなのに
あなたはいつの日か他者を憎み、
己の手を自ら傷つけるほか己を保てなくなり
私の代わりに傷の膿を受け取っていたのに
どうして私は彼を殺そうと躍起になって
心の闇に封印したのだろう
彼はもういないのに
彼のことが懐かしくなって
居るはずもない黄昏の彼方に探している
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