第43話 エピローグ①
「アヅキ!!!!」
「ひゃあ!」
女神を見送った亜月が空を眺めていると、後ろから強く抱きしめられる。聞き慣れたその声に安心し、自分の体に回った太い腕に頬を寄せる。
「ごめんなさい、ライヤードさん。心配しました?」
「したに決まってるでしょ!アヅキが死んじゃうかもしれないって!!」
「うん、そうですね。ごめんなさい。」
「これからはずっと一緒にいてくれるよね?」
「そうですね。こっちの世界が本来私の生きる世界だって言うことも分かったので、元の世界に帰るつもりはないです。でもどうせなら色んな所を回ってみたいんですよね。」
「じゃあ新婚旅行で行こう!2人で行こう!」
早口で捲し立ててくるライヤードと亜月の話にミィが割って入る。
「待ってください!アヅキ様はわたくしと一緒にこの世界の神殿周りが待っておりますわ。新しい聖獣として、神官たちにアヅキ様の美しい姿を知らしめねば!うふふ!きっと大人気になられますわ!アヅキ様の美しさをもっと多くの人に知ってもらうために一流の絵師を読んで絵を描かせましょう!あとは世界中にアヅキ様の銅像を!」
「もうやめてください!」
恥ずかしくなった亜月はミィの口を自分の手で塞いだ。それを見てライヤードは鼻を鳴らして得意げに笑う。
「ほら!やっぱりアヅキは僕と一緒にいたいってさ!ごめんね、アヅキ!新婚旅行の前にまずは結婚式だよね!盛大にやろうね!ドレスも10回くらい着替えて!」
「いいえ!まずは私と神託の旅に!」
「駄目だ!まずは結婚式!」
ギャーギャーと言い争っているミィとライヤードを見て、亜月はクスクスと笑う。そしてライヤードに勢いよく抱きついた。
「結婚式の前にまずはお付き合いなんじゃないですか?」
「え?あ、あれ?僕、お付き合いしてくださいって言ってなかったかな?」
「言ってませんよ!いきなり僕のお嫁さんって言ったじゃないですか。」
「あー…。」
うめき声を上げてライヤードが項垂れる。そしてすぐに顔を上げると、亜月の前に跪いた。そして亜月の手をとってぎゅっと握る。
「アヅキ、僕の一番大好きな女の子。どうか僕とお付き合いしてくれませんか?」
顔は自信満々なのに、少しだけ震えている手が愛おしい。
「…私、もう男の人のお世話をするのはうんざりなんです。」
「僕は自分のことは自分でできるよ。それよりも僕は亜月のお世話をしたいな。」
「私、お付き合いしたからかなり重いですよ?ほかの女の人と2人っきりになるなんて許しませんし。」
「僕も重い男だから大丈夫だよ。僕以外の男の人と出かけたりしないでね。」
「それに、ミィさんのことも大事です。ミィさんと一緒にこの世界を守る仕事もあります。」
「仕事をする女性って素晴らしいよね。自立してるアヅキもとっても素敵だよ。」
とうとう言い訳がなくなってしまった亜月は黙り込む。そんな亜月を見てライヤードはにっこりと笑った。
「さぁ、もういいかい?愛してるよ僕のお嫁さん!」
「もう断れないじゃないですか!」
亜月はライヤードに抱きついたのだった。
「結婚式の前にぜーったい神託の旅ですから!」
「…無事でよかったよ、ミィ。」
離れたところでモルガーンとミィも寄り添っていた。
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