第27話 カノンの予定調和が崩れる
注)楽天blogで連載していた作品
清冽な朝の空気を切り裂き、1台のハイヤーが疾駆する。
後部座席に乗り、ノートパソコンを開き、『ラスト・ドラゴニア』における昨日の戦闘の様子をチェックするのは、西京証券取引所に向かう王 龍丹だ。
「順調のようだな。愛崎れん・・・・・・」
「龍の旦那。愛崎れんにご執心のようですね」
「そうだな。どうやら、彼女の株は大化けするぞ」
その頃、『ラスト・ドラゴニア』の製作会社である『エンペル・ジャパン』の巨大モニター室で、休日の午後、プレイヤー達の戦闘の様子を監視している者達がいる。
全身黒ずくめのスーツを着ているのは、監視者と呼ばれる男達だ。
鋭い眼光が画面を這い回り、威圧感をもってプレイヤー達の行動を黙視している。
腕には携帯電話機能の付いたリストウォッチを巻いている。
そこに現れたゲームプロデューサーが監視者のリーダーに話しかける。
「どうだ。第二のブラックフライデーを引き起こす為の女流プレイヤーの動向は? 何と言ったか、その少女の名前は……」
「ああ、マシールこと、愛崎れんの事ですね。順調です」
「株価は?」
「一万円の大台に乗りました」
「そうか。計画は順調だな。彼女に最初に『ラスト・ドラゴニア』をクリア出来る女性と持ち上げておいて、その寸前で彼女の株価を大暴落させて利益を得る」
「しかし、彼女達の会話を聞く限りでは、クリアの条件に気づいているようですよ」
「それでもだ。最後の謎を説き明かせる筈がない」
「そうですね。でも、我々が疑われませんか」
「その為に王 龍丹がいるではないか。奴一人に罪を着せればいい。その為に愛崎れんのパーティーに潜入させているあの-(ピー)-に連絡しろ!」
「はっ!」
第27話 了
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