第25話 魔王



「じゃぁ、神様が悲しみを作っているのではなく、私達一人一人、自分自身で悲しみを作っているだけなんだね」


「そう! 言ってみれば、悟りとはその悲しみから抜け出す事じゃないかしら」


「でも、それじゃ悲しみを無視するって事になるよ。それは冷血人間だと思う」


「だから難しいのよ。神様はだから疑われるの」


「そうか……」


「だけど、神様だって仏様だって色んな姿に形を変えるでしょ」


「そか! 聞いた事ある! 例えば閻魔様と地蔵菩薩は同体だって」


「人を裁く神様と人を救う神様が姿を変えただけって事?」


「悲しみを無視する魂と悲しみを覚えている魂とは別物だけど、根っこは一緒って事か。じゃぁ、このゲームのクリアの条件って」


「うん。私が思うに一匹も魔物を倒しちゃいけないんじゃない?」


「全部、魂を神上がりさせるって事?」


「魔物の悲しみを作る事を避けるって事が悟りに繋がるんだと思う。このゲームでは」


「どうりで魔王を倒してもゲームがクリア出来なかった訳だ」


「マシール! って事はレベルが最も低くてもクリア出来る可能性が出てきたよ!」


「うん!」


「このまま行くか?! 白雪姫を助ける為に」


「よし! 我々も協力するぞ!」


「本当か?!」


 ドワーフの快い返事に思わず喜々として口走るマシールとユーリだった。


「そうとなれば話は早い。このまま魔王と対決だ!」


「はい!」


「あなた達の名前は?」


 そのユーリの問いに最初に答えたのはリーダー格のモッコという名のドワーフだ。

 マシールはモッコ達とそのまま魔王の謁見えっけんの間に向かった。



第25話 了


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