第71話

 前のめりにお弁当を見ていた陽太が「おいしそう!」と笑顔を向けた。おにぎり、トマト、唐揚げと卵焼きにポテトサラダ、ブロッコリーにマヨネーズ。

「おいしいね、かずき」

「そうだな」

 かずきは頬を膨らませながらそう応えてた。

 爽やかな風が渡った。

 かずきはカメラでお弁当を切り取った。

 食べてる二人、自分を入れて写真に残す。

 かずき、志乃は座って休んでた。陽太は芝生を歩きながら下に目を向けていた。

「あ、四つ葉のクローバー見ぃつけたっ!」

それをつみ、二人の元にやってきた。

「はい!」

 志乃とかずきにそれぞれ渡す。

「ありがと」

 志乃はハンカチにそれを挟む。

「いっつもすぐ見つけるな」

「へへ」

 少年はニコニコとする。

 最後、また観覧車に乗ろうという話になった。

 前とおんなじ観覧車なのに、全く違う。

 遠くの向こう、景色が見える。

「あー、楽しかった」

 満足そうに陽太は言った。

「来てよかったね」

 志乃がいう。

「また来るか」

「ありがとうかずき、志乃、楽しかった」

 笑顔を二人に向ける陽太。

 観覧車が一周して遊園地を出て、二人は志乃を家まで送っていった。

「バイバイ志乃」

「じゃね」

 マンションの自動ドアの向こうにいった志乃が見えなくなっても陽太は手を振りつづけてた。

「どうした?」

「なんでもない」

「帰るか」

「うん」

 長い二つの大小の影が夕暮れの道を歩く。

階段を足音が二つ、コンコンと上っていく。

「ただいまあ

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