ラル箱怪文書まとめ

メガマラノンケボーイ

角刈りミソジニーズ 10連発

角刈りとワイン


「フシューーーー…」

ワインを水のように飲み干したフキーラは、グラスをテーブルに乗せると話し出しました。

「おい、遊、ヒジョ、なんで何も喋らんのや。ウチとサイゼデートしとるんや、もっと楽しそうにできんのか」

フキーラの向かいに座る遊牧民と非常口さんはうつむいてるだけで、テーブルに並ぶパスタやサラダに手を付けません。

「えっへへへ、もう〜フキねえさん、今日はじゃんじゃん食べちゃうぞ〜!どれにしようかなあ!あっ、そのチョリソー、けつにはいりそー!なんちゃって!」

非常口がひとりで笑い出しました。フキーラはぴくりとも表情がうごきません。

「おい、遊の字、お前も食え」

「ご、ごちになります先輩!!押忍押忍!うわぁぁぁぉ!!!」

遊牧民は体育会系のガッツを見せてミラノ風ドリアを両手のプチフォッカで一気食いし始めました。

フキーラ、遊牧民、非常口が織りなす卓上の喜劇はまるで壁面にプリントされたルネサンス絵画のようです。

フキーラは二杯目のワイングラスにポツポツと涙を落としました。

「パピコ…」

「えっ…フキねえさん!パピコっすか!?パピコ食べたいんすか!?」

「今すぐ買ってきます!」

「そうじゃねえよ!このク○野郎ども!」

「フキねえさん…パピコはないけどアネロスならここにありますよ?僕の使ったので良ければ使います?」

フキーラはオンオンと泣き出しました。

「ウチの人生こんなはずじゃなかったにゃん!パピコを二人で分け合うくらいのささやかな幸せで良かったにゃん…!」

「ひじょおまえ泣かせやがって!!すみませんねフキねえさん、今俺がこいつの顔面を面白い形にしますから、どうか泣き止んでくださいよ!」

フキーラは机に突っ伏してオンオン泣いて、時折テーブルを叩きます。間違い探しやトレーに入れられたナイフとフォークが飛び跳ねてどんちゃん賑やかな音を上げました。

「ウチら、3人合わせて3万人くらいフォロワーがいるのに!なんでこんなに満たされないにゃん!サイゼリヤで楽しくディナーしたってネタツイするだけのつもりだったのになんでこんなに悲しいにゃん!」

「おい、ひじょくん、あれやれ!」

「ねえさん、はい!出口!入り口!非常口!」

フキーラはなぜ泣いているのか。

みなさんで話し合って発表しましょう。


小学三年生 道徳の教科書より




角刈りと筋トレ


「言ったとおり角刈りにしてきたにゃんね」

フキーラは直立不動のいつもの三人を前にしてグラスワインを飲み干しました。

「押忍押忍!先輩!角刈り最高っす!うおおおお!外周走ってきます!うおおお!」

「ぐふふ、遊はよく似合っとるな」

遊牧民さんはテコンダーを思わせるさわやかな角刈りツーブロックです。

「フキーラ、これにしたら生でいれさせてくれるって約束したよね」

「箱にでも出してるにゃん」

ラルナさんは元IT企業経営者でメスイキが得意な例の人のような印象です。

「あ、あはは、どうかな…にあう?」

「……」

フキーラは眉間にシワを寄せました。あまりにも非常口さんには角刈りがにあっていません。

「非常口、なんかすまんかったにゃん…」

フキーラはワイングラスをテーブルにおろし、万札を非常口の胸ポケットに入れました。

「ぶほほほ!ひじょくんほんとにあわないな!これ小山さんに写真送っていい?」

ラルにゃんが笑うたび非常口さんは内股でもぞもぞしました。

遊牧民さんがじとっと見てから言いました。

「あのさあ、ひじょくん、上着脱いで、そう、でちょっとボディビルのポーズ、うん、それでこのサングラスかけて」

非常口さんは上半身裸でマッスルポーズをしています。少しだけ浮き上がった力こぶと、はっきり浮き上がった肋が痛々しいです。

「フキーラ、これ、戸愚呂0%」

遊牧民さんがそういうとフキーラはニャハハハ!フキキキ!と笑い出しました。

「おい、非常口!なんかセリフにゃ!」

フキーラはテーブルをバンバン叩くと間違い探しやミラノ風ドリアが天高く飛び跳ねます。

「こう見えてもねェ、結構動物好きなんですよ」

非常口さんが玄田哲章風に言うと3人は七転八倒笑い転げます。

「ヒジョくん、つぎ、つぎ100%やってよ…」

ラルニャンのリクエストに非常口さんが「お前まさかまだ自分が死なないと思ってるんじゃないかね」と答えました。

「あ〜、おもしろ、フゥフゥ、ポンポンいたいニャン」

「やっぱフキーラについてきてよかったわ、ところでどこのホテルいく?」

「ひじょくん、これでYouTuberやらない?」

「たはは…みんな笑ってくれてぼくうれしい…」

この日の夜、非常口さんはウケがとれて良かったと思いつつ、いつかあの三人に復讐することを誓い筋トレをはじめましたとさ。




角刈りと女郎蜘蛛


「というわけで非常口ガールをあつめたにゃん」

フキーラは隣に座る角刈りの非常口さんに向かいの席に座る女性たちを紹介しました。

「まずは前科三犯全部タタキ、地元では女郎蜘蛛と呼ばれてる鷺沼ちゃん」

鷺沼と呼ばれた20代女性はプリンのような根本の黒い傷んだ茶髪をかき分け「ちっす」と軽く会釈しました。フキーラは態度のわるさが癇に障ったらしく独特の匂いのするサイゼリア水を顔面に浴びせました。

「次は優良物件にゃんよ、通称女郎蜘蛛、妹にウリさせた金をむしり取ってFGOに課金してた溝口」

フキーラは、紹介してもスマホから顔を上げない溝口につばを吐きかけました。

「次の女郎蜘蛛は…」

「ちょっとまってくれないかフキーラ」

非常口さんはサングラスをとりフキーラを静止しました。

「非常口ガールって女郎蜘蛛しかいないの!?」

「次のアラクネーは…」

「言い換えただけだよね!?」

「グチグチグチグチ文句ばっかりにゃんねえ。非常口の口はグチしかいえにゃいのかい!」

フキーラは明らかに怒っています。

「せめて、犯罪要素ない人はいないの!?」

「それなら安心するにゃん、次の子はまだ捕まってないから」

「フキーラは僕に川崎のボニーアンドクライドになってほしいわけ!?」

「みなさん、ききましたか?ボニーアンドクライド!知ってる?」

非常口ガールたちは「知らねっす」と返事します。フキーラは「これが教養よ、わかるか?強要罪じゃにゃいよ!」

非常口ガールたちはげへげへ笑いました。

「まあ場も和んだところで最後の非常口ガールはすごいにゃん。今日は特別に公務を休んで来ていただきました。東京都知事の小池百合子さんです」

「本物の女郎蜘蛛じゃねえか!!」

「ほら、ひじょくん、あいさつするにゃん」

サイゼリアに不釣り合いなオーラを放つ小池百合子がじっと非常口さんを見ています。

「あ、ど、どうも非常口です」

「………」

小池百合子は何も言いません。

「フキーラ!助けてよ!絶対小池知事怒ってるよ!」

「小池知事はひじょくんのリベラルいじりが大好きらしいにゃん。ちょっとここでアドリブでいつものうぉぉぉ!やるにゃん」

「む、無理だよ…この空気でできないよ!」

じっと小池百合子は非常口さんを見ています。

非常口ガールオフ会はまだ始まったばかりです。



角刈りとファンクラブ


「というわけで僕が本物の非常口ガールを連れてきました」

角刈りの遊牧民さんが隣の席に座る角刈り非常口さんに向かいの席に座る非常口ガールを紹介します。

「うおおおお!枝野最強!枝野最強!REBUILD WITH BIDEN! 非常口ガールの新丸子です!出口入口非常口!」

緑の上下で合わせてきた女性はサイゼリアの通路で元気に出口入口非常口を決めました。

「どうも、非常口でしゅ」

非常口さんは共感性羞恥で今すぐここから逃げたくなっていました。

「彼女は非常口さんの私設ファンクラブの会長をされていて、非常口さんのまとめ動画なんかも作ってます」

「はい!非常口さんのツイートを字幕にしてスクロールさせる動画作ってます!」

かざした画面の再生回数は91回でした。

「僕のファンクラブって今何人いるの?」

「私を入れて3人です!」

「ちなみに、残りの二人は僕とラルナさんです」

「この前のファンクラブ会議楽しかったですよね!みんなで非常口さんにマシュマロおくったりして!」

「ごめん、新丸子さん、ちょっとタイム頂戴!」

非常口さんが遊牧民さんに耳打ちします。

「なんであんな痛いの連れてきたのさ!これなら女郎蜘蛛のほうがまだマシだったよ!」

「非常口さんなら似たもの同士仲良くなれると思ったので」

「遊君から見るとあんな感じなの!?」

チラッと向かいを見るとニコニコ座っています。

「それにしても実物の非常口さんにあえて感無量です!うおおおお!I SAY HIJOE! YOU SAY YAMERO!」

「実物のってことは写真見たことあるの?」

「はい!ラルナさんに見せてもらいました!」

「ラルナさんその手のことは慎重なのに」

遊牧民さんが首をひねりました。

「一発やったらすぐ見せてくれました!」

「あいつマジなんなんだよ!」

非常口さんがテーブルを叩きました。

「新丸子ちゃん、ちなみにそれ生で?」

「はい!生いただきました!!」

「居酒屋の店員かお前は!生いただきました!じゃないんだよ!」

「げひひ…」

「このあと非常口さんとオフ○コする?」

「遊君!なに失礼なこと聞いてるのさ!こういうのはムードとかさぁ…」

「私デ○専なんで無理ですね!」

「二度と来るな!帰れ!」

「ヒジョい!?」

非常口ガールオフ会はまだまだ続きます。



角刈りとGUCCI


「というわけで、非常GUCCIをトレンドに入れておいたから」

分かり手さんは非常口さんの腕ほどの太さがある五本の指をグーパーグーパーさせて、いたずらっぽい1つ目で見つめました。

「……」

「非常GUCCIですよ、これならモテますよ」

非常口さんはうつむいたまま膝の上で指を曲げたり伸ばしたりしています。

「非常GUCCI…」

「3回も言わなくてもわかりますよ!!」

非常口さんが食い気味に分かり手にツッコみました。

「分かり手さんの記事でバズってもガールズはドン引きしてますます僕に近づかなくなるよ!!」

非常口さんは「言っちゃった…」という顔をしました。

分かり手さんは少し悲しそうに頭の指をしおれさせました。

「非常GUCCI、面白くないですか」

「面白いつまらない以前に、風俗嬢は非常GUCCIが好きって意味分かんないでしょ…」

分かり手さんは大きな指をくるりと曲げると、床に逆立ちになり出口に向かって蜘蛛のように歩きだしました。

「待ってよ分かり手さん!」

分かり手さんは止まりません。

「やるよ、非常GUCCI!」

「ひじょくん…いいのかい?」

「これをすれば若い子とパ○れるんだよね、やるよ!」

「じゃあなんかGUCCIみたいなこと言ってみて」

「えっ…?」

「5…4…3」

「ワッ…ワッ…」

「2…1…」

「はい!GUCCI!」

非常口さんはテーブルに残っていたサンドイッチからきゅうりのスライスを2枚取り出し目に貼り付けました。

「ひじょくん、それじゃcoachだよ…」

分かり手さんはすごく残念そうにそう言うと、器用に扉を開けてサイゼをあとにしました。

「なんだよこれ…なにが正解だったんだよ…」

イライラした非常口さんがきゅうりをはった自撮りを遊牧民さんに「非常GUCCI」と添えてDMしました。

遊牧民さんはいつでも非常口さんの味方です。

ピロンと音がして返信が来ました。

「今まで見た非常口さんのネタの中で一番面白くないです。反省してください」

非常口さんは声に出して読んでしまいました。




角刈りとディズニーランド


「なにがトゥモローランドだよ!!俺たちに明日はねえよ!!お先真っ暗!!ノーフューチャー!!!」

ワールドバザールを抜けるなりごったがえすカップルを見てパス街くんは頭をかきむしり転がりだしました。

「俺らも2対2のダブルデートだよ?」

「2対2…?」

ラルナさんがパス街くんをなだめます。

「フキねえさん」

「にゃん」

パス街くんが指差し確認します。

「ラルナ」

「ぶひ」

「遊の兄貴」

「レズビアンヌ」

片乳丸出しの蛮族スタイルの遊牧民さんが答えました。

「コケにすんじゃねえよ!いくら美大出てなくても、あれが女じゃないことくらいわかるわ!」

パス街くんはネズミ耳をラルナさんに投げつけました。

「遊、だまらせるにゃ」

「押忍!!」

遊牧民さんがパス街くんのみぞおちに拳を打ち込みました。

「痛えだろうがこの野郎!!」

パス街くんは遊牧民さんの横面に反撃の拳を決めました。

「女の顔をなぐるのはよくないねえ」

ラルナさんが言いました。

「お先真っ暗にゃん」

フキーラは呆れていました。

ケンカをみかねてチップとデールがやってきました。

「ケンカはだめだよ!」

「ここは夢の国!」

「どこが夢の国だよ!どいつも穴とペニの膨張しか考えてない現実の国だろ!」

パス街くんがチップに頭突きします。

「おい!パス公!なにしにきたのか忘れたにゃんか!」

フキーラが怒声をあげました。

「…すいません」

パス街くんはようやく止まりました。

「チップとデールにあやまるにゃ」

「すいませんでした…」

チップとデールは愛嬌を振りまいて帰りました。

「今日はひじょくんのデートを監視する会です」と遊牧民さん。

ラルナさんが「ガールから連絡きました。そろそろ見えますよ」と。

四人は物陰に隠れました。

向こうから緑色の青年とスマホをイジる女性が歩いてきました。

「あの非常口の顔、気分が悪いにゃ」

「肩に手を回した」

「うわああああああ!!!」

パス街くんは非常口さんのにやけた顔が許せませんでした。

駆け出したパス街くんは非常口さんを突き倒し馬乗りでなぐりつづけました。

「イッツァスモールワールド…にゃん」

フキーラがつぶやきました。

ラルナさんと遊牧民さんはゲラゲラ笑い、ガールは嬉しそうに写真をとっていました。




角刈りとカリブの海賊


「絶対おかしいだろ!!!!」

パス街くんが「ブルーバイユー」の客が全員聞こえる大声を出してラルナさんを指さしました。

「ぶふ」

ラルナさんは鼻で笑うとスマホの画面をパス街くんに見せつけます。

「俺たちラブラブだよね」

「めっちゃラブラブ」

ラルカノとのLINE やりとりです。

「うわぁぁあ!!!」

パス街くんは叫びながらルイージの横Bのように隣の卓につっこみました。

「パス街くん、ラルカノはどこを気に入ったんだと思います?」

遊牧民さんがききます。

「えっ…、ク○ニがうまいとか?」

パス街くんは単に自分がしたいことを言っていました。

顔面ボコボコの非常口さんが「DTみてえ!」とパス街くんを指差して笑いました。

「俺のほうが上手いし!!!」

パス街くんはやけになっていました。

「おもしろいにゃんね…」

フキーラが怪しく笑いました。

「それならラルとパスがそれぞれ左右の遊牧民○首をなめて、先にイかせたほうが勝ちというのはどうかにゃ…?」

「やってやるよ!!」

「まあいいでしょう」

ここに「第一回遊牧民乳○イかせレース」が始まりました。

遊牧民さんは顔を赤らめ「もう仕方ないなあ」とシャツをたくし上げました。

「見てろよ俺のテク」

「お手柔らかに」

二人が遊牧民さんに舌を伸ばしたところでフキーラが「始めい!」と合図をしました。

(慌てるんじゃない…ソフトに焦らすように…)

パス街くんは遊牧民さんの先端を避けるように円を描いて舌でなぞります。

「雨のサントロペ…恋のサントロペ…」

パス街さんの責めにたまらず遊牧民さんが声をあげます。

(ここだ!!)

パス街くんが唇を使い一気に遊牧民さんをいかせにいきます!

「パス街!パス街ック天国!!」

遊牧民さんが軽く痙攣してパス街くんの勝利を宣言しました。

パス街くんが「っしゃあ!」とガッツポーズをしました。

しかしラルナさんは遊牧民さんに近づいてすらいません。

「てめえ!逃げたな!」

「だって公衆の面前で男の○首なめまわすとか正気じゃないっしょ…」

「パスおまえマジにゃんか…」

言い出したフキーラすら引いていました。

「うわぁぁあああああ!!!」

パス街くんはおたけびをあげて非常口さんに体当たりするとそのまま馬乗りでいつまでも拳をふりつづけました。




角刈りと理想の彼女


いつものサイゼリヤのことです。

挙動不審にあたりをキョロキョロしているのは非常口さんで、といめんにいるのは手のバケモノの小山晃広です。

「わ、わかりてさん…まずいよ…こんなとこであってるのがバレたら、ぼく、消されちゃうよ…うぅ…」

非常口さんは小山晃広と知り合いなことがバレたらコンクリート詰めで海に沈められる職場で働いています。

「今日はね、ひじょくん、君に最適な女性を紹介したいんだ」

「わかりてさん…の知り合いの女の子って、自傷癖、多傷癖、拒食過食、○ックス○ラッグ、ツイッターで承認欲求満たしてる人たちでしょ…嫌だよ…」

「えっ…」

巨大な手のバケモノは悲しい目で非常口さんを見ました。

「うそうそ!わかりてさんの知り合いはみんな愉快!」

「そうですか、では紹介しましょう、フキ牧民です」

「は?」

隣のボックスシートから誰かが立ち上がり非常口さんのとなりにどかっ!と座りました。

「「どどーもも、フフキキボボククミミンでですす

」」

そこにいたのは顔面は化け猫、上半身は遊牧民さん、下半身はやけにゆったりしたスカートの悲しいキメラでした。

「あっ…あっ…あっ…」

非常口さんは唖然としてガタガタと震えだします。

「ひじょくんの好みを総合すると、グイグイ引っ張ってくれる積極性、ツイッターでの裏人格を肯定してくれるフレンドリーさ、穴が付いてる男友達、つまりフキーラと遊牧民さんが合体した姿がどストライクとわかったんだ」

「そ、それで…?」

「「ぼわくたしたたちち、ががったたいいししままししたた」」

フキ牧民が話すたびにフキーラの妙に高い声と遊牧民さんのチンピラくさい声が混じり合います。

「いまの二人はひじょくん以外誰も愛すことが出来ない、君だけのための女性だよ」

「「ひひじじょょくくん、ああいいららぶぶゆゆー」」

「ひどいよわかりてさん!!なんでこんな、あぁ…ひどすぎる!フキーラと遊くんは僕の友達だったのに…あんまりだ…あんまりだよ!!」

非常口さんは泣き出しました。

フキ牧民は非常口さんの肩に拳ダコのある手を載せ、猫臭い息を吹きかけ、ムチ♥ムチ♥としたふとももをすりよせます。

「「ししああわわせせににななろろううねね」」

「ふふっ、お似合いですよふたりとも…では、私は失敬します…」

手のバケモノは去っていきました。



角刈りとマイナンバー


「今から貴様らクズ野郎どもにフキナンバーを刻印するにゃんよ」

いつものサイゼリヤ、頬杖をつく巨大な猫のことばを、いつもの角刈りミソジニーズたちは廊下に正座で聞いています。

「いやだよ!!!だいたいフキナンバーってなんだよ!」

貧弱な体の非常口さんがいいました。

「文句言うな!!!」

固太りの遊牧民さんが非常口さんの横っ面をひっぱたきました。

「そうだぞ、ひじょくん、もらえるものは性病以外何でももらわないと、ねぇフキーラ、ブヒヒヒヒ」

たんに太ってるラルナが同調しました。

「フキナンバーは、これ、このQRを額に刻印するにゃん」

「ヒュー!さすがフキーラ!超クールですね!」

遊牧民さんが拍手しました。

「二人とも正気なの!?こんなのつけて街を歩くの!?」

「おい、ひじょくん、口をつつしめよ、フキナンバーは体への影響はないし、絶対に安全なんだ」

ラルナさんがフキーラの前足をなめながらいいます。

「だいたいフキナンバーってなんの役にたつのさ!!いやだよ!安全かどうかなんてどうでもいいよ!!」

「フキナンバーは、下僕の証、このQRを読み取っても鶯谷デッドボールのホームページが呼び出されるだけニャン」

「ふざけんなよこのクソ猫!今日という今日は我慢の限界だ!こんな角刈りミソジニーズなんてやめてやる!」

「おい、ひじょくん、角刈りミソジニーズをやめられるのは死んだときだけだぜ?」

「そうだよ、おとなしく絶対に安全なフキナンバーをうけいれるんだよ」

「フキキキキ、非常口にうまくフキナンバーを焼き付けられた奴はフキナンバーの施術を見送ってやってもいいニャンよ?」

「ホントですかフキーラ!?」

「さっすがフキーラは話がわかるや!!」

「でも見逃すのは一人だけニャン」

無言でラルナさんが遊牧民さんにスタンガンを押し付けました。

「悪いね、遊くん、こんなのつけてたらオフパコできないから」

バチンッという電撃音を上げて遊牧民さんの腹に押し付けられたスタンガンが作動しました。

「ラルナさん、ほんとクズっすね…」

遊牧民さんが気絶しました。

「さぁ、次はひじょくんの番だよ、寝てる間に焼き付け終わるから、痛みはないよ」

「うわぁぁぁあ!!!!」






角刈りとジャイアントバナナ


いけさんは大きい大きいと言われてますが、非常口さんが書き立てるように非現実的な大きさでもないし、ましてや神話上の生き物でもありません。

いけさんはちゃんと人間の両親からうまれたまぎれもない人間です。住民票だってもってます。

身長もせいぜい250cmくらいしかありませんし、毛深いといっても影と見間違う程度です。

だからいけさんはちゃんと、このようにサイゼリヤのシートに座ることもできます。

向かいの席にすわっている非常口さんは育ちがいいので、サイゼリヤでハンバーグを食べるときでも紙エプロンをします。

その紙エプロンがバタバタとひるがえります。

冷房が強いわけではありません。

風は向かいの席に座るいけさんが出していました。

「フゥフウ…フゥフウ…」

いけさんが息をするたびに、間違い探しや食器を入れたカートンがガタガタと生き物のようにダンスします。

「そのフゥフウっていうのはどういう意味ですか…?」

「フゥフウ…フゥフウ…」

いけさんは非常口さんの角刈りをむんずとつかむと、ミキプルーンの苗のように持ち上げした。

「おい、非常口、俺の怪文書を書くなといっただろ」

いけさんはにらみつけます。

「あれは、僕がかいてるわけじゃないよ…」

非常口さんは姑息な逃口上をしました。

もちろんいけさんは許しません。

ジャイアントハイランドバナナのように大きな手が非常口さんの頬をぶちます。とはいっても非常口さんの顔よりはるかにおおきな手なので全身打撲です。

「二度と俺関係の投稿を読むな」

「はい……」

ふたたびいけさんのオオオニバスのようにおおきな手が非常口さんの頬をうちます。

「なんで…」

「非常口、お前は嘘つきだ。そうやってクラスメイトや先輩をだましてきたんだろう。俺はお前の言葉を信じない」

「そんなぁ……」

非常口さんはすでに内出血でブルーベリーような顔色になっています。

「もう一度言うぞ、二度と俺に関する投稿を読むな」

「はい……」

「嘘をついたな!」

いけさんはビンタしました。非常口さんは絶叫をあげます。

「もう一度言うぞ、二度と俺に関する投稿を読むな」

「いいえ……」

「俺の言うことが聞けないのか!」

いけさんはビンタしました。

「もう一度言うぞ…」

最初からいけさんは非常口さんを許す気はなかったのです。

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