第4話「チュートリアル全開!(前回のチュートリアルは操作系でした。)、。」
ザワザワザワザワ。
目の前で多くの人が行き交っている。皆何かごつい鎧だとか剣だとか弓矢、杖などの武器を持っている。まるで駅のホームだな、。っとそんなことを思いながら辺りを見回す建物は木、石製で中世期の建物らしいデザイン。VRでありながら美味しそうな匂いもする。どこかに食べ物屋でもあるのだろうか。
(なんかうまそうな匂いだな。)
ピコン! 【ミッション1 回生の噴水を登録しよう】
目の前に文字が浮かび出てきた恐らくこのゲームのチュートリアル。
(さっきのは移動方法のチュートリアルだったけど、今回はなんだかマジモンのチュートリアル感があるな、っとえ〜と噴水。後ろのやつかな?)
近づいてみると【噴水を登録しますか?】っと出てきた反射的にyesを押した。
パァー。【噴水を登録しました。】と表示された。どうやら無事登録されたらしい、そして休む暇もなく【ミッション2 ギルドに行ってみよう。】っと表示された。
(なるほど休ませてくれないわけか、)
オレンジ色の矢印が目の前に表示された恐らくギルドの方向を表しているのだろう。俺はそれに従って前進する。途中には屋台や武器屋、それとポーション屋、宿屋などがあった。他にも雑貨屋、家具屋などもあった。
(家とかいう概念あんのかな〜?)
色々な疑問が頭から離れないがとりあえず矢印に従っていく。そして矢印が指す建物まできた。
【冒険者ギルド】と書かれた看板が扉の上にあった。どうやらここが目的地らしい。
(冒険者ギルド、、ねぇ、冒険者が集まるギルドなんかねぇ、)
そんなアホなことを考えながら俺は両扉を開けた。
そして扉が閉まる瞬間、何者かに俺は見られていた。その者は顔を笑顔にさせて俺の後を追った。
【ミッション3受付に行って身分証を作ろう。】
っと、ギルドに入った瞬間表示された。
(身分証、、、この世界でもあるのかぁ、面倒じゃなきゃいいが、、)
ギルドの内装は2階に上がる階段が一つ他に大きな掲示板、受付が5つあった。奥の方に行く扉もある。忠実になおかつ正確に作られているのがわかる。俺は受付までの列に並んだ。しばらくして俺の番が来た。
「冒険者ギルドへようこそ。ご用件をどうぞ。」
茶髪に青の帽子と制服、髪は結んでありツインテールになっているなんともかわいい受付嬢が営業スマイルで対応した。
「あ、えっと身分証の登録をお願いします。(本物の人間みたいだな、VRとは、こうもリアルなのか、)」
「はい。ではこちらの水晶に手を置いてください。」
そういうと、受付嬢は自分の真下から水晶を取り出し、手を置くように促した。
(絶対この受付机の中から取り出せそうな感じがないんだが、)
俺はそう思いつつも、手をそっと水晶に置いた。そうするとパァーという演出と共に、水晶の台座になっていた箱の穴からからカードのようなものが出てきた。それを受付嬢はそっと手に取り、俺側から見えるように両手で丁寧に差し出した。
「登録終了です。お受け取りください。」
「どうも、」
俺は丁寧に差し出されたカードを手に取り、裏表を簡単に確認した。
「では、本ギルドの階級制について説明させていただきます。、本ギルドはランク制を実施しており、E〜SSSランクまであり、E→D→C→B→A→S→SS→SSSという順番になっております。紅月(アカツキ。暁のプレイヤーネーム)様はEランクスタートなので次のランクはDランクでございます。また、ランクごとに受注できる依頼難易度も異なります。」
そういうと受付嬢は引き出しから紙を取り出した。
『
【SSS】神級者(例:神モンスター討伐)
【SS】 幻級者(例:幻モンスター討伐)
【S】 超級者(例:超モンスター討伐)
【A】 王級者(例:王モンスター討伐)
【B】 上級者(例:高モンスター討伐)
【C】 中級者(例:中モンスター討伐)
【D】 下級者(例:低モンスター討伐)
【E】 初心者(例:薬草採取)
』
「このようになっております。依頼を受ける際はあそこの掲示板から自身に合ったランクの依頼書をこちらの受付まで受注しにきてください。」
受付嬢は手をひらを上にし、俺から右側にある大きな掲示板を指した。
※暁→紅月(ゲームプレイ中)
(なるほど、用はあそこから紙を取ってここに持ってきて受注するって流れか、ほーん。)
「以上で説明は終了です。他に何か、ご用件はございますか?」
「いや、ないです。」
「それでは良き、冒険者ライフを。」
ニコッと営業スマイルをして受付嬢は言った。そして俺は自分の後ろに並んでいた人に場所を譲りカードを持ったままギルド内の適当な椅子に座った。
(E、、、初心者スタートか、。まぁ難易度的にも普通にそうだな。)
【ミッション4 ステータス調整をしよう。】
(ステータス調整?)
ピピッ
『
紅月 種族 オートマタ
HP60 装備
E200 旅人の服
A50
攻撃力10 スキル
防御力20 なし
俊敏性10
運10 称号
器用さ15 なし
総合値125
身体構造
頭 アイアリス 胴体 アイアリス
左腕 アイアリス 右腕 アイアリス
左脚 アイアリス 右脚 アイアリス
身体 損傷なし 内部 損傷なし
劣化部位 なし 修復部位 なし
結果 安定
P50 強化指数0
表面構造
頭 ピリア 胴体 ピリア
左腕 ピリア 右腕 ピリア
左脚 ピリア 右脚 ピリア
表面状態 普通 精神 普通
結果 普通
備考
ステータスの調整可
』
(なげぇ、ステータスってこんなに長いのか?まぁ、これは後回しにしてステータス調整っと、どこだぁ〜。、)
俺はステータスの右にあった小さな縦長の項目をスクロールし、「ステータス調整」を探す、流れていく沢山の項目が俺に多少の不安感とストレスを与える。いくらなんでも多すぎる気がする。ここまで多かったのはガン○ムブレイカーのパーツ選び以来だろう。初心者のために、ここの項目は少し減らすべきだと思う。そして、スクロールができなくなるところまできた最後の方に「ステータス調整」という項目を見て、
(初心者のためにも「ステータス」の項目の下に「ステータス調整」を置くべきだろ。)
と大きなため息を吐きながら「ステータス調整」の項目を押した。すると画面の中央に六角形のパラメータが出現した、攻撃力、防御力、俊敏性、運、などが六角形の角にそれぞれ表示されてあり、六角形の中央部分に青くなっている部分がどうやら現在のステータス値のようだ、小さく数字も表記されているそして、「攻撃力」などの文字の隣に+と−が表示されている押すことによってステータスを変えることができるらしいそして六角形の下に決定の文字がある
※決定を押した後ステータスの変動は不可能です。
っと小さく書いてあるつまり「決定」を押したらステータスは基本変えられず、今ある50Pをうまく振り分けろっと言った感じらしい。
(、、、、)
俺はとりあえず全体に8づつ均等に分け、残り2Pを俊敏性と、攻撃力にした結果はこんな感じになった。
攻撃力19 防御力29 俊敏性18
運18 器用さ23
バランス型にしてみた。正直長所と言える点は防御力と器用さだろう。防御力が高いのはオートマタの特性が故だろう器用さがなぜ高いのかはわからない。とりあえず「決定」を押してステータス調整を終了する。フゥ〜っとため息をつき、落ち着こうとするもミッションがまた現れた
【ミッション5 好きに生きろ】
(、、、、まじか、)
どうやら実質これでミッションが終了したらしい長いような短いような、そんな感じだそういえばなにかを忘れているような。、、
バッン!!
扉を大きく開く音が聞こえ、反射的に俺や、ギルドにいた人は手を止めだまり顔を向けるそこには1人の魔女っ子がいた、紺色のローブを見に纏い所々白色のラインが引いてある。扉から差し込む光が彼女を演出しているかのようになっていて、まるでアニメのワンシーンみたいな感じだその扉はギギィと音をたてながら閉じそしてその魔女っ子は堂々とギルドの中央を歩く、そして道の邪魔をしていたプレイヤーたちが彼女に道を譲るように避けていく。ト、ト、ト、っといった足音が場を黙らせるかのように聞こえる。まぁ俺には関係ないことだと感じ俺は長かったステータス画面をもう一度開き項目をよく確かめる、だが耳だけは傾ける。俺がそんなことをしている中、賑わっていた雰囲気そっちのけでギルドにいるプレイヤーの殆どが魔女っ子に対してザワザワとざわつき始めた。
「オイあれ、SSランクの」
SSランク、、、確か上から二番目の。
「あぁ、トッププレイヤー大魔道使い、別名【全知の魔女】のルルカだ。」
大魔道使いねぇ、そんな職業があるのか、厨二臭いな、
「こんな辺鄙な最初の街に何のようだ?」
にしてもこいつらウルセェな。
「オイっ、テーブルの方に向かっていくぞ。」
ふーん、テーブル、、ってこっち?、。
近くのテーブルから魔女っ子を見ていたプレイヤーは立ち上がり魔女っ子から距離を置いた。
トッ、ト!。
魔女っ子の脚が俺の座っている椅子わずか数センチの場所に止まった。魔女っ子は動かない、そして小声で「見つけた」っと言った。俺はとりあえず顔だけ向けるようにした周りから変な風に思われないためだもし顔を向けなかったらなんか言われそうな雰囲気だったからだ。
「おいおい、アイツなんかしたのか、てか誰だ?」
なんもしてねぇよ。
「アイツなんかうざいな」
失礼な。
「見た感じ初心者だな、」
そうです。初心者です。
「いやそれは分かるが、どんな用なんだ」
俺が聞きテェ、。
そして魔女っ子が息を吸ったのに周りのプレイヤーが気付いたのか、みんな黙る。
、、、、、、、、、、、
ふぅ〜、と、魔女っ子が息をそのまま吐く、そして俺から見た感じだと多少顔が赤い?、気がする。なぜだ、そしてなぜ何も言わない。
「お、お、、、」
魔女っ子が口を開きおぼつかない様子で言った。
「お、、なんだ、なんて言うんだ?、」
「お、、お前を殺す。(デデェン!!)とかか?」
「いや、絶対ないだろそれ。」
お前らうるさいぞ。
「お、、、、お、おに、」
((おに、、、?))
「おにぃ、、、、、、、」
((おにぃ、、、、、??))
「お兄様」ボソッ。
((おにい、ッエなんて?))
ま、まさかルルカって、
ルカ「お兄様、、、、なんで私こんなに見られてるの??」
ルカいや、ルルカが涙目になりながらブルブル震えながら小声で言った。
「あー、、、。俺にも分からん」
俺も小声で答えた。ルルカは昔から人混みが苦手でそして、注目されるのはもっと苦手だった、お陰で中学の劇を見に行った際は小物の役だったが劇中泣きそうな顔をずっとしていて、友達からフォローしてもらっていたことを聞いたことがある。そして劇が終わった後ご当主を差し置いて俺に泣きついてきたのもいい思い出だ、本人からしたら消し去ってほしい黒歴史の一つだろうが、そしてご当主にはなぜかちょっと嫉妬の視線を感じた。
「わ、わわ私、お兄様と会いたかっただけなのに、なんでこんな怖い人たちにみられてるの?、、」
俺はなんともいえない顔をして
「がんばれSSランク。」
と言った。、、が、
「がんばれないよぉ、、、」
ルルカはさっきより泣きそうな顔になり、今にもキャパオーバーしそうだ。とりあえず外に出なくては。
「と、とりあえず外に行きましょうか。」
俺はあえて他人のように話し、ルルカの関係者と悟られないようにした。なんか、スキャンダルになりそうな予感がしたからだ、ルルカは俺の言葉に頷き、俺の手を握った。俺はその手を取り、椅子から立ち上がってとりあえずこのシンと、した雰囲気のギルドからの脱出を試みる。が、
「ここから先は通さん!」
(えぇ、なんでぇ〜。、)
1人の頑固そうな鎧男が扉の前に立ち往生、脱出を阻止しにきた。
「お前、ルルカ様を泣かしたな!そして何事もなかったかのように逃亡しようとしたな!」
「、、、はい、、、?。」
俺は今多分宇宙ネコのような顔をしていると思う。いや、そのくらい意味不明な状況だった。
「ルルカ様!さぁ、こちらへ、そんなひどい奴のから離れてください。」
ルルカはビクッとして、俺の後ろに隠れた
「な、なんでこんなことに」
(ほんとだな。)
ルルカはテンパったように言った。状況が状況なので当たり前の反応ださっきまで泣きそうな感じだったルルカは涙の代わりに混乱が溢れ出ていた。
ザワザワザワザワ。
ヤベェまたザワザワしてき、たしかも俺が悪いことの話ってあれ?
「オイ、アイツってたしか、ルルカ信者の」
「あー、またアイツか、」
る、ルルカ信者?、、。周りの奴らが小さい声で話している。
「貴様ぁ!ルルカ様の手を離せぇ!さもなくば俺ことルルカ様の下僕、ダンが!成敗する!」
「ブッ!」
やばい自分で下僕とか言っちゃうとか、、、笑いが抑えられねぇ、、、
「貴様ぁ!今俺のことを笑ったな!成敗する!」
「また、ルルカ信者か、アイツら嫌いなんだよねぇ、絶対ルルカさん。迷惑してるよ。」
「またなの。」
「ッッッッ、ルルカ、アイツ知ってんの?。ッッ。」
俺は笑いながらだがルルカに聞いた。
「アイツ、この前もちょっかい出してきたの、なんか私が通るからとかで周りのプレイヤーさん達に迷惑かけたりして、、、」
ルルカはいかにも〜な、嫌な顔で俺に説明してくれた
「つまり迷惑してるってことか、」
「うん。」
「だってさ、」
俺はダンとかいうやつにそう言い放った。若干だが後ろの野次馬からウンウンという声が聞こえた気がする。
「なっ、そんなはず、、、そうか!貴様がそう言わせているのだな!」
「はあぁ〜、、」
俺はこれ以上内までに呆れに呆れた声で返した。ルカも、えぇ〜、て感じの顔をしている。
「えぇ、っと、どうしたらどいてくれます?。」
「俺と決闘しろ!」
「嫌です。」
俺はコントレベルの即答をした。
「な、なぜだ?!、」
「嫌だからです。」
「り、理由になってないぞ。」
「理由ねぇ、理由になってないのはお前の行動ですよ。、」
「な!、私はルルカ様のために、」
「いや、ルルカのためとか言ってるが、本人は迷惑してるじゃんつまりお前がしてるのってただのお節介、というより、ただの邪魔なわけよ。」
俺はあえて相手を煽るように言った、これは相手が痺れを切らして墓穴を掘ってくれるようなことを期待していることもある。だが俺はこいつに心底ムカついていたりもしていた。
「なっ、貴様ぁ!ふざけるな!」
「ふざけるのはお前の発言だけにしろ!。」
俺は滅多に出さないような大声でダンを威嚇した。そしてまた後ろからウンウンって声が聞こえた気がする。みんなこいつ嫌いなんだな。
「お兄様もういいよ、こんな奴。」
ルルカが口を開いた。
「ルルカ様!、そいつから離れてください!」
「ねぇ、決闘したらどうしてくれるんでしょ、なら私が戦う。」
ルルカは堂々と、そして凛々しく居たさっきまでの弱さが嘘のように。そして内なる怒りを必然的に感じられるくらいに。
「な!そんなやつのためなんかに、」
「ねぇ、いま私すごい怒ってるの、お兄様が私のためにこのゲームやってくれるって聞いてワクワクしてたのに、それなのに、初日にこんな奴のせいで邪魔されるなんて、、、ねぇ、私が勝ったら通してくれるんだよね。」
ルカは冷静でそして冷徹な怒りを身に潜めて言った。その様はメンヘラ女が言いそうな感じでもあり、脅しを前提とした言葉でもあった。
「そ、それは」
「ねぇ、通してくれるんだよね。」
ルルカはもう一度強調して言い放った。言葉に怒りがこもった明確な拒絶反応。
「、、くっ!貴様ぁ!覚えていろ!」
ダンは俺に指を立ててそう言った後、扉を大きく開けて飛び出していった。それはなんとも悪役のような無様なものだった。
「、、、なんか疲れたな、」
ワアァー!!
ギルド内に歓声が上がったそしてプレイヤーが何人かこちらに押し寄せてきた。
「すげぇなアンタ!俺アイツにイライラしてたんだよ!」
「ルルカさんもカッコよかった!」
「いやぁ〜、スカッとしたなぁ!」
「名前を教えてくれよ!」
「えっと、、紅月だ。」
「カッコいい名前じゃん!」
「アンタにこれやるよ!」
「え、あ、どうも。」
ピロン 【魔鉱石の結晶】
「俺もこれやるよ!」
「俺も!」
「私も!」
ピロン、ピロン、ピロン、
「いや、こんなにもらう義理はないぞ、ルルカが追い払ったわけだし。」
「何言ってんだ!アンタ、ルルカさんの『お兄様』なんだろ!歓迎スルぜ!」
「いや、でも!」
「もらっとけ、もらっとけ!」
俺が色々なアイテムをもらっている中、ルルカはファンの人たちにサインをせがまれていた。少し動揺を見せつつもルルカは正確にサインを書いていく。さすがはトッププレイヤーといったところか、そしてサインを書いてるうちに落ち着いてきているルルカの様子を見て俺はホッとした。
ひと段落して俺たちはギルドを後にし、話ができるように、近くのベンチに移動し、そのまま座った。このゲームにログインしてからそんなに時間は経っていなかったはずだが、太陽がもう沈みかけていた。近くにある街灯が光始めた。電気もない世界なのになぜ光のだろうか、、、そんなことを考えていた。そしてルルカはというとさっきから俯いたままだ先ほどのサインで少しは落ち着いたと思われたルルカがなんだかどこか接しずらい雰囲気を醸し出していた。
「、、、、、、」
ルルカが静止した状態で動かなくなっていたいや、少し動いているしかしそれは本当に近くによらないとわからないくらい小刻みに震えていた。理由は恐らくさっきの鎧をきたゴリラのことだろう。自分のせいでそうなったのだから落ち込むのも無理はない。特にルルカは責任感の強い子だと俺は思っている。ルルカのワガママが多かったりするのは誰かと仲良くしたいという気持ちがあるからだろう。今年から高校生になったルルカは恐らく他の人から少し浮いている、、、いや、恐らく昔から浮いていたのだろう。だから誰かと仲良くしたいと思う気持ちがあり、それがワガママのようになってしまったからだと俺は思っている。
「ルルカ?」
俺はそっとルルカに声をかける。優しくただただ優しく、そう心がけて言っただが、ルルカは身をビクッと震えさせたがすぐに、さっきの小刻み震えに戻ってしまった。
「ごめんなさいお兄様。」
ルルカは震えた声で俺に謝った。これは俺が怖いからとかそういう理由ではないと、、思いたい。
「んっ?何が、」
何もわかっていないように、気にしていないような感じで、ルルカの心を少しずつ解いていく。
「私のせいでお兄様に迷惑かけちゃった。」
ルルカがひどく落ち込んだ様子で泣きそうな声でいった。被っている大きな魔女帽子をギュッと掴み、顔を隠そうとしたぐちゃぐちゃになるであろう顔を俺に見せないように。
「、、、ルルカ、今日はどんなことやる予定なんだ?」
俺はフッ、と少し笑いルルカに質問した。
「えっ、」
ルルカは俺になんて言われるのを想像していたのか、怒られる?、様々なことを考えていたと思うだが俺はあえて、ルルカが想定しなさそうな言葉を選んだ。そのせいかルルカは力が抜けたように「えっ」っと発した。涙がこぼれそうな瞳でこちらをただ真剣に見た。
「俺初心者だからルルカがどんなとこに連れて行ってくれるのか期待してるんだけど〜、、」
俺はわざと、浮いた感じに言った。ルルカに選択させるように。なぜなら今日ゲームをやると誘ったのはルルカだからだ、こちらが主導権を握ってしまってもルルカは俺がゲームを楽しんでると思い逆に喜ぶかもしれない。だが誘ったのはルルカだ、この場面でルルカに無二の決定権がある。俺はそう思った。
「えっと、き。今日はお兄様と町でも回りたいなって思ってて、」
ルルカは服の裾で自分の涙を多少強引にも拭きながら言った。きっと俺にちゃんとしたところを見せたかったからなんだろう。このゲームでの先輩として、そして普段から成長しているところを見せたいという気持ちもあってのことだろう。
「お!いいねぇ〜、つまりデートってことか。」
俺は足をクロスさせながらニカニカと言った。
「でっ、ででで!デート?!」
ルルカがひどく動揺しながら頰を赤らめて言った、そしてその赤くなった顔を隠すように両手で鼻から口までを隠した。
「あれっ?だってそうだろ仲のいい男女が街を散策したりする。、、あれっ?違ったか?」
その俺の言葉に、ルルカは首を横に振って
「そ、そう。あっ、、合ってる。」
ルルカは吹っ切れた感じを見せつつもどこか恥ずかしい感じがあるように言った。俺が少しルルカの方に顔を向けるとハッとした感じでルルカは俺に顔を見せないようにする。、、嫌われているな俺は。
「じゃ、案内してくれよなぁ、ルルカ。」
俺はベンチから立ち上がりルルカに向かって手を差し伸べた。ルルカはその手をポーっと1〜2秒くらい見た後、ハッと気づき手を取りベンチから立ち上がった。
「えっと、じゃあ!こっちから!」
ルルカは少し混乱しながらも俺の手を少し引っ張って町の奥の方へ進んでいく。俺は引っ張られている手に従って隣を歩いていく。俺はこういうことがあっても、いいと思ってしまった。
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