第50話 やらかした
「ホスさん、まだ離れがたいんだな……」
「おい! 黙って見とらんで早く下ろしてくれ!」
「へ?」
「何をしている! 早く!」
「あ、はい……」
恒はホスが
恒は小夜をそのままに自分だけ
「お兄ちゃん、ホスさんを下ろしたいから少し屈んで貰えるかな」
『分かった……』
「よいしょっと……」
「ほぅ助かったわ、ありがとうな。お前もありがとうな……大事にしてもらえよ」
『うん!』
「そうかそうか、うんうん……さて、では馬車に繋ぐが大人しくしといてくれよ」
『分かった』
ホスには『ヒヒン』としか聞こえていないハズなのに何故か会話が成立しているようで恒はそんなホスと
ホスは
「ありがとうございます。ホスさんにはホントにお世話になりました」
「なんのなんの、こちらこそだ。この子達を引き取ってくれて本当にありがとうな……」
ホスは恒にお礼を言うが、ホスの目尻から一筋光るものに恒は気付く。
「さ、別れは尽きないが、いつまでも惜しんでいる訳にもいかん。これから冒険者ギルドに寄ってこの子達の従魔登録を済ませてくるんだ」
「あ~やっぱり必要ですよね」
「当たり前じゃ」
「そうですか……では、ホスさんにお願いがあります」
「ん? お願いとは?」
「はい。この子達の名付けをお願いします」
「……どうしてワシに頼む? この達はお前のものとなった。ならば、お前が付けるのが筋だろう」
「はい。ですが、名付けとなると俺はこの子達に今日会ったばかりなので、どんな性格かも分からないので、どんな名前が相応しいのかも分からないのです」
「だが……」
「おじいちゃん、恒に任せたらダメよ!」
「そうよ、おじいちゃんが考えてあげて!」
「そうじゃな。恒に任せると『ウマオ一号』とかになるかもしれぬぞ」
「そうだな。恒のセンスはちょっとアレだからな」
「ホスじいちゃん、なまえはおやからのさいしょのおくりものなんだよ」
恒はホスに
「そうか、親か……」
「そうですよ。ホスさんはこの子達の親でもあるんですから」
『そうだな。俺もじいさんに付けて欲しい』
『『俺も!』』
「この子達もホスさんに付けて欲しいと言ってますし、お願いします」
「「「『『『お願いします!』』』」」」
恒がホスに対しお願いしますと頭を下げるとその後ろにいた由香達どころか、
ホスはそんな様子に涙が滲んでしまうが、先程のミリーが言った『親からの贈り物』が胸に染みる。
「そうじゃな、ワシはこの子達の親になると決めて森から連れて来たんじゃ。いつかは巣立つと思い名前を付けずにいたが……そうか、お前達もワシを親というてくれるか」
『当たり前だ!』
『『じいちゃんはずっと親だよ!』』
「そうかそうか……ならば、立派な名前を付けんとな」
ホスはそう言うと腕を組み、両目を閉じる。
恒達もホスの様子を固唾を呑んで見守る。やがてホスは両目をカッと見開くと、馬車に繋がれた
ホスが
「ドラゴか……うん、いいんじゃない!」
よかったねと恒がドラゴと名付けられた
『ドラゴ……俺の名前はドラゴだ!』
『ドラゴ』と名付けられた
『うわぁ~やっちゃったね』
『え? ミモネ、どういうこと?』
『ワタル、自分のステータス見てみなよ』
『ステータス? え……どうして』
恒が自身のステータスを確認すると、そこには『
「どうしたの、恒?」
「まさか、またやっちゃった?」
「その様子からだとそうみたいだな」
「ふむ、妾の時と同じか」
「なにがあったの? ミリーわかんない」
恒が何かしでかしたと決めつけてくる由香達に一瞬ムッとするが、仕出かしたことは事実なので「後で話すから」とその場を濁し、ホスに付き添う形で他の
「お前は『ドラジ』、お前は『ドラザ』」と名付ける度に恒がそれに追随する形でそれぞれに名前を告げる度に恒から何かが吸われ、
「これって公表出来ないよね」
『うん、ちゃんと隠してね』
「だよな~」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます