第18話 母と娘の三者面談

「で、ではこ、こちらにお掛け下さい…」


「はい、有難う御座います」


きょどり過ぎやでぇ…先生…ガタガタやん。

そういや…この先生の名前知らんわ。ワロタ。


「えっと…改めてですね。担任の二階堂通にかいどうとおると申します。今日は宜しくお願いします」


「はい。娘がいつもお世話になっております、母の藤都ふじみやこと申します」


自己紹介サンキュウ!!

お見合いみてぇな挨拶だね~、やったこと無いけど。


「いいえ、こちらこそです…。藤さんは成績も優秀でクラス委員長でして、クラスの皆から慕われているんですよ。ええ、僕もいつも助けてもらっているんですよ」


「まぁ、そうなんですか。もう、瑞穂ちゃんったら教えてくれてもいいのに…」


聞いてへんでぇ?クラス委員長なんやてぇ!?

お祝いせなあかんなぁ、赤飯炊こか?すっきやろ?


「別に良いの。ほら、しっかりして」


「はぁい」


癒されるわ~。くっっっそ可愛い。親ばかって言われても良えわぁ。


「そ、それに、藤さんは生徒会にも所属しておりまして、三年生では役員として活動してくれる事になってるんです。献身的で花壇の手入れなどもしてくれていたりしてまして…」


おぉう…えぇ?学校の事、少しくらい話してよぉ…。

お花に水あげてる様子…メッチャ見たいやん。プランター買おっかな?


「せ、先生。そう言うのは良いですから…」


「いやいや、普段こういう事ってお母さんに話したりして無いだろ?」


「…ぅ」


お、そうだよ。(便乗)

私には一切学校の事話さんからなぁ…。

まぁあ…私独自のネットワーク有りますんでぇ…良いんすけどぉ…。

別にぃ寂しくなんかないんですけどぉ!?


「し、進路相談ですよね。その話にしてください、後もつっかえてますんで!」


「時間にはまだ余裕は有るよ?今日は早いペースでだったからね」


「まだ後ろにシホもいるじゃ無いですか。早くしましょう」


瑞穂ちゃん、なんかえらい必至やなぁ…どないしたん?

ははぁん、おトイレかな?


「先生、お願いします」


私からも頼もうか。早う致せ。瑞穂ちゃんが急いてんねんで!?


「あ、はい。では、そうですね。今日で中間テストを終えまして、一旦…仮の進路相談なんですよ。次は来年に初春に指定校を確定する為の進路相談を設けたいと思ってます。」


ふんふん、じゃあ今日の進路相談は何なんすかね?

とりあえずこんな学校ありますよ~的なあれかい?


「えっと…藤さん藤さんは…っと。あ、あったあった」


封筒を一つ?お、すまんね。手が触れちった。めんごめんご。

ほほん、中身はあれか。パンフレットじゃな。


「……あ、そ、その中は御覧の通り各高校のパンフレットになっています。現状の藤さんの成績ではこれらの学校に進めると思っています」


「ふんふん。そう言えば…前回の通知簿では上の方だったかな?」


「は、はい。学年で2番目の成績です。勿論、授業でも確りとしておりますので、頑張り次第では1番になれます」


瑞穂ちゃん私に似ず頭ええんですよ。テストも高得点ばっかりやし。すげぇ。

あと先生、ちょっと早口すぎて聞き取りずれぇ…もうちっとゆっくり喋れぇ?


「ふ~ん。瑞穂ちゃん、頑張り過ぎないようにしなよ」


「え?」


ぽんぽん。今なら頭撫でても問題なさそう…雰囲気でごり押しじゃ。


「この前も言ったけど…。夜遅くまで勉強するのも良いけど、ちゃんと寝る時は寝なさいね。私は瑞穂ちゃんが元気でいてくれる方が嬉しいから。その中で余裕があったら勉強に励んだら良いから。ね?」


「う、うん」


よしよし。よしよーし。うん、可愛い。余は満足じゃ♪


「あ、ちなみに瑞穂ちゃんはどの高校を狙ってるの?」


「あ、うん。近くの県立か公立かのどっちかかなぁ。出来れば進学校で」


「この辺りはあまり偏差値も高くないからお薦めしないよ?藤さんの学力なら私立高の上位も狙えるよ?」


「私立はちょっと…」


「私立高?この辺りはあまり詳しくないので分からないのですが、先生はどの学校が良いですか?」


「そ、そうですね。この付近でしたら、私立の青蘭学園とか、紅翔学校とかが良いと思われます」


「へぇ~?」


「お母さん、分かってないでしょ?」


「うん、わがんね」


「お母さん?」


「…」


素出ちゃった…いっけね。許してぴょん♪ウィンクも添え…だめそう。


「どっちもお金持ちが行くような学校だから…」


「学費は気にしなくて良いよ?貯えあるし」


「お母さん。そういう事じゃ無いの」


「?」


どういうことじゃい?学費じゃ無いの?

こう見えても私、結構お給料貰ってるからね?心配ないぞよ。


「そこ二つはエレベーター式の学校だから…って言うか本当のお嬢様とかいそうな学校だよ?」


「えっ、良いんじゃね…ないかしら?」


いかんいかん、普通に素が出てきてしまう…。良母パワーON!!

でもこれだけは言わせて、瑞穂ちゃんマイエンジェル。

お嬢様?何やねんそれ?こちとら天使やぞ!?勝負になる訳無いやろぉ!?おぉん?


「ん~、無理強いはしないよ?それにまだ時間はあるんだから、瑞穂ちゃんの好きな学校を選びなさいな。あ、でもあまり治安の良くない学校は止めてね?」


「治安って…。まぁ、そう言うのは選ばないと思うよ?」


「うんうん。ま、ちゃんと相談はしてね?」


なでなで、よしよし。ふふん、触り心地良いねぇ。

やはり瑞穂ちゃんが一番じゃけぇ。たまりませんなぁ。


「一旦このお話は家に持ち帰らせていただきます。先生から何か…瑞穂ちゃんに注意する事とか御座いますか?」


「注意…ですか?そうですね…特には…無いです」


「分かりました。今日は貴重な御時間を頂き、有難う御座います」


「あ、いいえこちらこそ…」


「愛娘の瑞穂ちゃんの事、これからもどうかよろしくお願いします」


「は、はい!勿論です」


「じゃ、瑞穂ちゃん。帰ろっか」


「…う、うん。先生、さよなら」


「さようなら。お母さんも気を付けて帰りください」


「有難う御座います。では、失礼いたします」


ふひ~終わったぞい。疲れた疲れた…慣れん事はせん方が良いのぅ。OFFぅ…。

およよ、シホちゃん不愛想にし取るのぅ。早苗たんも緊張しっぱなしじゃて…。

此処は一つ、おっちゃんが何とかしよか。


「早苗たん、早苗たん。よしよ~し。シホちゃんもよしよ~し」


「ちょちょ!?」


「え?え?」


母パワー全開!!よしよ~し。小動物撫でてるみてぇ~。

二人とも、メッチャ可愛いやん。よしよ~し。


「おかあさん?」


お、瑞穂ちゃんどうしたんどうしたん?ナデナデして欲しいの?

しょうがないな~、こっちゃおいで~。

お、来た来た。さ、お母さんの胸に飛び込んできなさい。


「く、抓めない…」


お腹触っちゃいやん。くすぐりには強い方だよん?

あ、待って待って、そこだめそこじゃいたたたたた!?


「ほっぺだめぇ…いたいの~」


「少しは私の事も考えて!」


「ひえ~」


あ~!!いってぇ!!


「シホ、お母さんがいきなりごめんね」


「あ、うん。大丈夫…」


「シホのお母さんもごめんなさい…」


「あ、はい。大丈夫…です」


お、親子だね。ちみ達似てるよ~。いいよいいよ~。

…あの~そろそろ、抓るの止めてもらって良いっすかねぇ?


「次の人は……え、何してるの?」


痛い~止めてけろ~。

早苗たんらの緊張ばほぐそ思ぉて…おらさなんも悪ぐねぇんだ!!あ~!!

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