Ж℃∀おお勇者よ。フラれて異世界転移してくるとは情けない!!

ぞう3

第1話 Tales of 同級生にときめいて!!

 校舎裏の一大決心は、つまり果たして俺の人生の行くすえにまで関わる分岐点ぶんきてんの最初で最大最後の登竜門とうりゅうもんからの挙句あげく、天国の門扉もんぴいたる結末ですらあって!!


「お、俺と付き合って下さい!!」


 華々はなばなしくかざる桜の花達がかさなり咲く“伝説の木の下”で、この“ときめき”がいつか“メモリアル”に変わるはずのその相手の“同級生”は同じクラスの成沢なるさわ由衣ゆいで、俺の名前は龍ノ介りゅうのすけ、お互い共に高校2年生。

 その二乗も三乗もされたカワイイが、いつだって俺の両瞼りょうまぶたの向こうでVR! 寝ても覚めても昼夜がどれだけ巡り回っても! スピンで言うなら君が表で俺は裏! 光の速度なんていやはや最早もはやも関係無い! あっちとこっち、アインシュタインでさえ頭を抱えた難問の果ての距離をへだてたオセロの石の裏表! もつれがぴったり幾度いくどだって何度だってもつれ絡まる運命の出会い!

 彼女が転校してきた去年からずっとこっち、同じアパートの隣、同じクラス、はたまた隣の席にてご対面! の前にまさかのかどパン!(曲がりかど食パンエンカウントの略) ああ! これがただしくテイルズ○ブデスティニー(意味は無い)! まさにこれこそ運命の物語 そう! “俺は悪くない(作品が違う)!” 運命が勝手気ままに運んできた美少女との夢の様な登下校すら最早もはや当たり前、たぎった誰かの嫉妬しっととやっかみと逆恨みさえくぐって、遮二無二しゃにむにに育てあげた二人の関係性に自信はある!! はず……恐らく、多分、きっと、どんな時もずっとパロディ!→、新時代はこの未来、もう恋なんてしないなんて言わないよ絶対!←怒られません様に!

 これ以上抑えきれやしないこの想いの結晶が、どこかの時空で戦死した挙句あげくBANされる前に!

 両手がにぎりこんだ汗、ふるえる声、すくむ足にからまるあんな未来やそっちの未来。

 それでも! それでももう、一目惚れに加えて二目惚れすら以降もずっと追加が更新中こうしんちゅう今更いまさらにでも俺の気持ちを伝えなきゃ、きっと後悔するから!!

 清く正しく美しい彼女の黒髪ロングは姫カット、抜群につややかな白い肌、なんちゃら坂やらのオーディションになんて行かせてたまるか! 早々はやばや内定えこひいきった挙句あげく、舞台裏のさらにその奥で“ようこそ遊ぼう○パラダイス”されてしまうに違いない!! 毎日毎晩、どれだけの俺の中の戦士と賢者が“彼女”を巡って争い続けてると思ってるんだ!! 思春期男子高校生のハクスラRPGにっかに1日だって休みなんてあるはずがない!  

 だけど、そのぼっちRPGも今日で絶対に終わらせてやる! 俺の人生のラスボスうんめいのひとは、今目の前にいるこのしかいないんだ!!

 あらん限りの勇気を振り絞って、直立不動で答えを待つだけの俺のバッキバキに挙動不審きょどうふしんな両目に映る彼女の上気じょうきしたみたいな顔、その唇がゆっくりとひらいた。

 いける! この出会いは、最初からテイルズオ○アライズ(意味は無い)だったんだって感動で! けれどだってでもだけど!! “まざ(ざ←×だ←○)エンディングまで泣くんじゃない”!!! 


「ご」


 ……ご? 彼女がこれからつむぐであろう言葉の最初のスライスは、予想だにしない“ご”?

 え? これはまさかの……“ご”りがとう? つまりゴリラが10頭なんてありが10匹より始末に負えやない。“ご”ろこんで? “ご”れからよろしくお願いします? “ご”んなことになるなんて夢みたい! “ご”ーんとぅびーわいるど? “ご”リとグラ? これから“ご”イタニックみたいな物語が始まるはずじゃなかったの? “ご”ーマ(ゼ○ダ無関係)の休日みたいに?


 ――無理だ――


 自惚うぬぼれ? ひとりよがり? 自意じいしき過剰かじょう? なんだかんだ告白の是非ぜひよりも、もっと未来の俺の横にいる彼女の姿まで想像してた俺の意識が大暴発!

 もしやのまさかで“ご臨終りんじゅうです”だなんて突き付けらたりしたらそれこそもう! 

 ここから続くポジティブな言葉の可能性なんて、どれ位の確率で選択されるやら!

 〝ご”から始まる告白タイムの常套句じょうとうくなら“ごめんなさい”しかありやしないこと位分かってる!!

 結局も終局、彼女の次の一文字いちもじの言葉も待たずに俺はこの運命線からあえなく脱線、意識の何もかもぶっ飛んだ行く末にそのままブラックアウト。


 

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