第28話 発覚 ※フェリクス視点

 自分でパーティーを仕切ってみて、分かったことが色々とある。まず1つ、作業が膨大にあること。考えないといけない事が山のようにある。参加者のチェックから、招待状を送り、会場の設営もプランを考えて依頼しないといけない。提供する料理の準備と、音楽家を呼んで演奏してもらうための用意。その他にも、細々した作業ならいくらでもある。


 これだけ大変なことをしていたのかと分かって反省した。ペトラに任せすぎていたから失敗していたんだろう。彼女には、俺の協力が必要だった。


 原因が判明して、俺は晴れやかな気分になった。これで次は、もう失敗することもない。希望が見えてきた。そう思っていたのだが。




「何なんだ、あの失礼な奴らはッ!」


 会場の設営に関する打ち合わせをするために、職人達と会議を行うことになった。現れたのは、ガラの悪い連中。今まで、あんな奴らに仕事を依頼して金を払っていたなんて知らなかった。


 少し話しただけで分かる、知性のない馬鹿どもだ。仕事を任せられるわけがない。すぐに追い払った。グチグチと文句を言っていたが、あんな奴らと関係あると周りに知られたら、公爵家の次期当主である俺の評判まで下がる。


「今まで、あのような無能どもに依頼していたとは……。信じられない」

「彼らは、私のお友達ですわよ。あまり悪く言わないで下さいッ!」

「と、友達だと……!?」


 ペトラが部屋に入ってきた。彼女は、あのガラの悪い男達のことを友達と呼んだ。俺は、開いた口が塞がらない。友達? 友達だって? 彼女には、貴族令嬢としての自覚がないのか。


 いや、か弱くて優しい彼女は連中に騙されているだけ。ペトラは、誰とでも仲良くなれる才能があった。そこを付け狙われた。仲良くなって、仕事を依頼してもらうのが目的だろう。


 もしかしたら、あの高額な請求も不当かもしれない。きっとそうだ。でなければ、どうして、あんな高額になるんだ。おかしいじゃないか。


 とにかく、連中と関わるのは止めるべきだ。


「あんな奴らと仲良くするのは止めろ!」

「えぇっ!? ど、どうしてそんなことを言うんですか……」


 ペトラの顔が青ざめた。ショックだったらしい。だけど、厳しく言って関係を止めさせないと。このままでは、彼女が傷つくだけだ。


「あんな下品な奴らを友人と呼ぶなんて……。お前には失望したぞッ! あいつらのことは忘れろ。いいな?」

「……分かりました」


 悲しげな表情を浮かべたペトラは俺の言うことを聞いた後、部屋から出て行った。これで良いのだ。彼女のためになるはずだから。


「ふぅ……」


 俺は、大きく息を吐いて椅子に深く座った。疲れた身体を休ませる。急いで、別の職人を探さないといけない。会場の設営を任せられる、信用できる腕の良い職人を。

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