第十五話

 「こんなところに扉が」


 松明の音がぱちぱちなっている。ドアノブをいじる音がする。


 「あか……ない」


 その時眠りの呪文が蔓延した。


 「しまった、これは……」


 遅かった。


 「強烈な眠りの呪文……」


 二人は扉の前で眠ってしまう。


 扉が開いた。


 「たいまついただきま~す」


 カラは炎の魔法をたいまつに向かって唱えるとたいまつの明かりが復活した。


 「は~い。お薬ね~」


 カラは眠ってる二人に睡眠薬を飲ませる。もちろん水もだ。


 「お大事に~」


 カラは扉に鍵をかけて逃げる。


 どうも冒険者ギルド所属の冒険者のようだ。


 「まずい、この洞窟もう使えないかも」


 セータが焦る。


 「急いで外に出よう」


 シータの指示に従い洞窟の外に出て街に戻る。


 そして営業マンらが急いで冒険者ギルドに向かう。


 幸いにも洞窟に出るモンスター退治という案件だったようだ。


 ポスターを貼る目的は達成できなかったが情報収集という真の目的は達成した。やれやれという感じで営業マンらはギルドを出て勇者らと合流した。


 「セキュリティーをしっかりしないとダメだな。人間を甘く見すぎていた」


 シータが渋い顔をした。


 「仕方ないわ。一週間後と言う話だったが二日早くサマンサ村に到着するわ」


 サータは冷静だ。


 「そうだよ、この村を出たほうが無難だよ」


 ソータは逃げる事を提案した。


 「待って!! あの二人を放置したらヤバい」


 カラは……自分で勇者に言い聞かせたことを思い出した。


 「それもそうだな」


 シータが納得した。


 「近くの樹に縛っておきましょう……闇の魔物のせいという事にして。」


 サータは手慣れてる。やっぱり常習犯だな、こいつ。


 そして縛った後に置き紙を書いたのだ。


 『ここは闇の神殿。むやみに侵入を禁ずる。もし侵入する者闇の呪いを与えよう』


 「これで脅しになればいいんだけど」


 サータおばさん……怖いよ。


 「やっぱ、ここはもうしばらく使えないな」


 シータが残念そうに言う。何と言う事だろう。吸血族の拠点を失ったも同然となった。

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