第九話
勇者はどんどん来た道を戻っている。
かなり複雑だ。
サーランブルク城まであと六日といったところだ。
(旅をしてて全く気が付かなかった)
そう、この回復アイテムにも「サングイス製薬株式会社」の文字が……。もちろん他社製品の回復アイテムも使わないわけではないが効き目が全然違う。サングイス製薬のものは値段も高いので冒険の終盤はよくお世話になっていた。
「傷口から出る血を止める薬なんだもの。当然でしょ?」
うふふと言いながらカラと一緒に歩く。
つまり勇者パーティーは最初から吸血族にお金という形で援助しなから吸血鬼退治を行っていたも同然。勝てるわけが無かった。
魔力回復薬も目薬も解毒剤もよく考えたらすべてではないが高頻度でサングイス製薬製のものを使っていた。
「あ、ちなみに勇者御一行の情報は俺たち吸血族が取引先の薬局で聞いてすべて王城にあげていたから」
「そんな……」
がっくりする勇者。
「つまり旅立ちからすべて監視されていたも同然と言う事?」
「そうだ」
シータがさらっと凄い事を言う。
「だから戦士は城下で討つことが出来た。こっそり鎧に弱体化魔法を掛けてたからな」
「そっかー」
(ってかお前の仕業か!!)
負けに不思議なしの名言が刺さる。
「ほら、もうキカラ村が見えてきた。今日はここで泊まるぞ」
「はあ……」
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