一本目 山の中の光

これは、夏休みに私が叔父の家に行った時のお話です

 

私の歳はまだ幼く、叔父の家の裏にある自然に興味深々でした。


ですが、叔父は頑なに山に入る事を禁じていました。


毎回、叔父に


「おじいちゃん、何で山に入ってはいけないの?」


と質問をしていましたが、叔父は理由などを答えてくれず、いつもあやふやな理由ばかり言われていました。


当時の私は、あやふやな理由でも、軽ーく考えていて、特にその話に踏み込むことはありませんでした。


数年がたち、私が小学校高学年になると、叔父は脳の病気になってしまい、無くなってしまいました。


叔父の家でお葬式後の精進落としをしていて、親戚や親同士がお酒などを飲んでいて、昔話に盛り上がっていると小学生である私は母親に


「もう夜遅いから、別室で寝ときなさい」


と言われました。


私は素直に別室に行き布団を引き寝ようとしますが、大人たちの話し声などで、なかなか寝付けませんでした。


ふと、部屋の窓を開けると、山から吹いてくる涼しい風と、名も知らない鳥の鳴き声が聞こえてきました。


山を理由もなく見ていると、山の麓の近くが少し光っているのに気が付きました。


気になって、『あれー、何で光っているのかな』と不思議に思いましたが夜遅く、一人で山に入るのも気が気だったので、そのまま布団に入り寝ました。


朝起きて、再び山を見るとドコも光っていなく、昨日のは見間違いかなと思いながら、叔父の家を後にしました。


しかし、家に帰っても、昨日の光が忘れられず、夢にまで出てくるほどでした。


四十九日になり、再び叔父の家に行くことになりどうしても、アノ光の正体を突き詰めようと心に誓いました。


私は叔父の家に行き、納骨法要や開眼法要、お斎などを済ませると、時刻はすっかり遅くなっていて、夜は叔父の家に泊まることになりました。


深夜一時ぐらいになると私は親が寝ているのを確認し、片手に懐中電灯を持ってコッソリ家から出て山に向かいました。


山はそこまで険しくなく、目的w場所の近くまで直ぐにつくことが出来ました。


私は周りを見渡し、何か光っているものはないか探していると、草むらの奥が光っているのが分かりました。


しかし、そこに行くのには草が邪魔していて、とても近づく事が出来ない状態でしたが、私は近くにあった木の棒を拾い草をかき分け、光っている所まで進みました。


草をかき分け進むと小さな祠があり、そこの中から光が漏れていることが分かりました。


恐る恐る祠の扉を開けると、一枚の札が入っていて、その札が神々しい光を放っていました。


私はその光に見とれてしまい、その札を取ってしまいました。


札を目元に待ってきてよく見ていると、祠の下からの何やら、人のうめき声が聞こえてきました。


私は驚いてその場を離れようとしましたが、足が上手く動かなくてコケてしまいました。

体を起こそうとしますが、いきなり後ろから足を掴まれました。


驚いて足を見ると土を被った白い手が私の足を掴んでいたのです。


必死にもがいて逃げようとしますが手は、びくともしませんでした。


次第に手は、私の足を祠の方へズルズルと引きずりはじめました。


私は、焦りはじめ、手の近くにある、物を必死に掴み耐えようとしますが、その抵抗も虚しく、ズルズルと引っ張られました。


祠の近に近づき段々と諦めていましたが、誰かに手を思いっきり引っ張られて何とか白い手から抜け出す事が出来ました。


その後は、全力で山を下り叔父の家に帰りました。


朝になり、私の服が泥だらけになっていて親に何があったのか怒られましたが、事業を説明すると父親は、昔あった事を説明してくれ、私は服を着替えて叔父の家を後にしました。


今思うと、助けてくれた手はおじいちゃんの手ではないかと思い、毎年の墓参りは感謝の気持ちと、助けてくれてありがとうの気持ちのお祈りをしています。



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灯の蝋燭 SKY @20221020

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