みどりのこと

第46話

「はい、以原です」


「…え」


相手は戸惑ってる。朝から電話とか何様なのか…あ、これ守の携帯。相手は、多喜ちゃんという表記。女の子ではなさそうな声だから、愛称のようだ。


「主人は就寝中ですが」


「はぁ!?あんた誰だ」


…口の悪いお友達のようだ。


「妻です」


「ふざけるな!守は誰とも付き合ってない!携帯盗んだな?この野郎」


「いえ。家ですが」


「なんだと?証明してみろ!」


まーうるさい人。証明…スピーカーフォンにしてみた。


「守、電話。多喜ちゃんって人」


「はぁ?なんなの?朝からうざすぎる…そんなの出なくていい」


「聞こえました?」


「…な、な!なんだと!?守にすぐかわれ!」


「出なくていいとのことでしたけど。伝言ありましたら伝えておきます」


「お前通報するぞ!守の家に入ってなに考えてんだ!いい加減にしろ!守ー!返事しろー!守ー!」


うるさいやつだ。


「あー!うるさい!黙れ」


「ま、守?」


「つーか、なに勝手に電話出てんだよ。多喜ちゃん、朝からなんの用だよ、さっさと言え」


「いや、…敏さんからまた連絡が…」


「あーうざ」


不機嫌な守は電話を勝手に切った。


「ごめん、寝ぼけて間違えて出ちゃった」


「別にいいよ」


あら、いいんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る