(二)-16

 カムラとスークが飛び込んだ店の中は狭かった。ドアの目の前にはカウンターの椅子が横に五つ並んでいた。その真ん中、ちょうどドアの目の前には恰幅のいい背広の人の背中があった。そのちょうどカウンターを挟んだ正面には、花柄でミニスカートの女性物のワンピースを着た筋肉質で体格のいい、青いヒゲのそり跡がある中年男性がいた。

「ヘルプ!」

 カムラはとっさに叫んだ。

 ドアはスークが閉めていたが、カムラの叫び声の直後に開いた。そして追っ手の二人がそこに立っていた。

 追っ手の二人は「来い」と大声を出しながらすぐにスークとカムラの腕を掴んで引っ張った。


(続く)

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