(一)-3
「だって、アイたちがこっそり話しているのを聞いてしまったもの」
カムラがそう応えると、「スークは逃げないの?」と最初の少女が尋ねた。
「私もこんなところいたくないよ」
スークと呼ばれた少女はそう言った。
すると他の少女たちは「私も」「早く帰りたい」と口にした。
カムラはこのとき、別のことに気を取られていた。
「カムラ、どうしたの?」
スークに言われてカムラはハッと気がついた。
カムラは箸でつまんでいた野菜炒めの具材をジッと見つめていた。そこにはピーマンと人参と一緒に、玉ねぎがあった。
(続く)
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