②きみと屋上

青井かいか

プロット

〇世界観

現実


〇主要キャラクター

空野そらの蝉夏せな

男。16(17)歳。高二。茶髪。長身。イケメン。成績優秀。バスケ部スタメン(PG)。大学生の姉、中二の妹、小一の妹がいる。母親は人気作家。父親は専業主夫。家庭環境良好。蝉夏以外の家族は全員内向的な人間で『どうしてウチみたいな陰キャファミリーからあんたみたいな陽キャが産まれてくるの』と姉に言われたことがあるが、実際は内向的気質。無自覚に無理して陽キャしてる。


椿紅つばい希実きみ

女。16歳。高二。黒髪。伸びっぱなしのくせっ毛。猫背。小柄。希死念慮、自傷癖あり。プライドは高い。喫煙家。幼少の頃に母親(元シングルマザーで16歳の時に希実を産んだ)が死んで(希実は自殺だと思っている)、義父に育てられる。義父から暴行、虐待を受けていた。名前も嫌いだが、それ以上に自分の苗字が嫌い(義父の苗字だから)。現在はよく知らない女(義父の恋人?)とその子供(二、三歳?)がいつも家にいる。小学生の時、唯一の友だちに裏切られてからはずっと独りで過ごしている。


清水しみずつむぎ】

女。16歳。高二。蝉夏の恋人。陸上部(100mH専門)。蝉夏とは中学の頃からの付き合いで、交際を始めたのは中二の夏。つむぎってセナくんと付き合ってからめっちゃ可愛くなったよねー、的なことを昔からのつむぎを知る友人たちにはよく言われる。


〇物語構成

『誰の目から見てもリア充陽キャな人生を送ってきた蝉夏が、不幸で独りぼっちの希実に関わったことで囚われ、持っていた恵まれた重荷を捨て、彼女と一緒に屋上で過ごす時間が日常の一部になるで』が一巻。


蝉夏に起こる変化

『恵まれた日々を過ごしている。〝幸せ〟を抱え過ぎてどこか息苦しさを感じている』➡『余分な幸せを捨てる。希実に対して責任を持ち、俺じゃないとダメだと思う。希実から逃れられなくなる。後戻りできないことを自覚しながら、心が軽くなった気持ちで屋上から綺麗な青空を見上げる』


希実に起こる変化

『最悪な日々を過ごしている。不幸。独りぼっち。薄汚れた屋上が居場所』➡『恵まれ過ぎていて気に入らない蝉夏を自分と同じ不幸の底に引きずり堕とすことを誓う。側に蝉夏がいることが当たり前になる。独りじゃなくなる』


総計約10万字

【プロローグ】3千字

屋上で共に過ごす蝉夏と希実のやり取り(時系列的には三章の出来事)


【一章】1万5千字

幸せで充実した日常を過ごす蝉夏(視界の端々に希実の姿がチラつくが、この時点では特に印象に残らない)。

 ↓

四月下旬の朝練終わり、今日の部活が終わったら私と一緒に帰ってください、的な事を入部したばかりの後輩マネージャー女子に赤面しながら言われる。俺のカノジョが一緒でもいいなら、と牽制気味に答える。蝉夏がカノジョ持ちだと知らなかったその子が泣いちゃう。目立つ。

 ↓

放課後、部活に行くのが億劫になる蝉夏。部活をサボることにする。


【二章】2万字

いつも一緒に帰っているつむぎの部活が終わるまで校内で時間を潰そうと思う蝉夏。罪悪感からひと気のない場所を求めて彷徨う内に、屋上に続く階段を上ってみる。立ち入り禁止の屋上の扉の鍵が開いている。屋上に出るとタバコを吸ってる希実がいる。話しかける。放課後を希実と過ごす。

 ↓

少しずつ変わり始める蝉夏の日常。部活仲間から向けられる視線に違和を感じる。つむぎから、後輩マネージャーの件について確認される。噂が立ってる。部活中、後輩マネージャーの姿が視界に掠れる。サボった日以降はいつも通り部活に行くが、億劫という気持ちが消えなくなる。希実の姿がよく目に留まるようになる。

 ↓

GW明け、もう一度部活をサボって屋上に行く蝉夏。そこには歌っている希実がいて、また取るに足らない会話をする。


【三章】2万字

段々と部活をサボりがちになっていく。部活仲間や顧問から心配される。それに表面的なものを感じて煩わしさを覚える。笑っててきとうに誤魔化す。

 ↓

放課後、希実と過ごす機会が増える。希実のことが気になっていく。

 ↓

恋人のつむぎと過ごす時間を、希実と過ごす時間と比較している自分に気付く。つむぎのことが好きなのか自信がなくなって、穏便に別れる方法を模索するようになる。


【四章】2万字

つむぎに別れを告げる。理由は、好きかどうか分からなくなったからと素直に言う。絶対にイヤだ、別れたくない、好かれるように努力すると泣かれ、共通の友人を巻き込んだ話し合いに発展。煩わしいと思う。別れる別れないに関しては一旦置いて、お互いに距離を置いてみるという結論に。

あぁ、煩わしい。

 ↓

数日後の放課後屋上に行くと、リスカ中の希実を発見。慌てて止める。何かあったのかと聞く。つむぎの友人女子から蝉夏の事について問い詰められたことが判明(友人女子は同じクラスで、教室でもお互いを気にしてる蝉夏と希実について違和感を覚えていた)。別にリスカするのは初めてじゃないから、と理由になってない理由を口にする希実に、やめろと言う蝉夏。なら責任取って、と希実。「じゃあさ、キスしてよ。君が私に」「は? なんで」「ムリなら別にいい」既に血だらけの手首に刃を添える希実。「……したらそれ、やめるのか」「うん」「分かった」希実にキスする蝉夏。タバコの味がする。(この時の希実のキス要求は、できるわけがないでしょ、と蝉夏を嘲笑うためのモノだったが、本当にされてちょっとビビってる)

 ↓

部活を辞めると顧問に申し出る蝉夏。引き止められるが、それでも辞める。


【五章】2万字

部活を辞めたことで、罪悪感無く放課後の屋上に行けるようになる。希実と過ごしているとつむぎ襲来。椿紅さんのこと好きなの?と問われる。が、頷けない蝉夏。好きかどうかは分からないけどほっとけない、と本音を告げる蝉夏(この時、蝉夏に憐れまれたと感じた希実は(前々から薄々感じていたけどこの瞬間にハッキリと感じる)内心でめちゃくちゃキレて、自身を犠牲にしてでも蝉夏を不幸の底に引きずり堕とそうと決める)。

希実に対して卑怯だとキレるつむぎ。それに対して希実は淡々と返す。「でもさ、お前は贅沢なんだよ」

もういい、と叫んで逃げるつむぎ。

その夜に『別れます。今までありがとうございました』という旨のメッセージがつむぎから届く。最悪な終わり方だが、どこか肩の荷が下りたような気持ちになる。胃の底に溜まっていた煩わしさが無くなる。

 ↓

友人とも距離を置き始める蝉夏。友人と楽しげに談笑するつむぎを見かけて、通り過ぎる。


【エピローグ】2千字

昼休み、屋上に向かう蝉夏(昼休みに行くのは初)。やはりカギがかかっていない扉を開けて屋上に入る。いつも通りタバコを吸おうとする希実に、タバコやめたら?と言ってみる蝉夏。「なんで?」「からだに悪いみたいだし」自分でもどうして従うのか分からないままタバコをしまう希実。口寂しくなる。「じゃあキスしてよ。君が、私に」

二人で見上げる昼の空は、青くて綺麗で、軽々しい。

ここで初めて希実の一人称視点。希実の心情を語る。蝉夏と対比させるような希実の不幸な人生のあらまし、希実が蝉夏に感じている印象、希実が蝉夏を不幸のどん底に堕とすことを決心していることを示す。という、二巻に続く引きを作って終わり。


備考

➡希実が蝉夏を『君』と呼ぶのは、名前を憶えていないから。

➡蝉夏は俺じゃないとダメという存在を通して自分を肯定することに意義を感じる気質。

➡希実は一年生の時に屋上のカギを偶然拾って使っている。屋上に入ったあと、扉を施錠すれば完全に一人だけの空間を作れるのに、そうはしない。無意識でやってる。蝉夏はそれを分かっているからこそ、そこそこ強引に希実と交流する。本当にイヤならカギを締めればいいのだから。

➡希実が放課後、学校の屋上で過ごしているのは家に早く帰りたくないから。学校に行くのも家にいたくないから。

➡エピローグにて、希実は自分の依存先がタバコから蝉夏に移ったことには無自覚。


本編に入れる要エピソード

☆五章ラストに回想☆

蝉夏は小学生の時、ペットショップで気に入ったハムスターを欲しいと両親にねだったことがある。人間と同じ命がある生き物なのだから、さいごまでちゃんと責任もって面倒を見る、という約束をして買ってもらう。凄く可愛がって大切に世話をする幼き日の蝉夏。だが身体の弱いハムスターで一年後には死んでしまう。なんか最近元気ないなと思っている内に、ある朝起きて見に行ったら死んでいて、その遺体の外観と手に持った時の硬い肉の感触が脳裏に焼き付いて未だ離れていない。トラウマに近い。➡蝉夏が希実に向ける感情を担う一因。あくまで蝉夏は希実のことを守るべき〝弱い〟存在として見ている(無意識の内に)(俺しかいないと思っている)。つむぎに対しては、俺がいなくても(他に友達とか沢山いるし)大丈夫だろうと勝手に感じている。

☆二章GW明け蝉夏が屋上に行った時☆

校内から聞こえる吹奏楽部の『BELIEVE』の合奏。屋上に行くとそれを歌ってる希実。小学生の時、合唱で歌ったことを思い出す蝉夏。懐かしい、良い曲だと感じる蝉夏。合唱曲の中なら一番好きかもしれない、と。「好きなのか? その曲」「……大嫌い」


二巻以降

蝉夏と希実の距離が精神的な意味でも肉体的な意味でもさらに詰まる。放課後や休日に一緒に出掛けたり、お互いのことについて知ることが増える。希実視点の文章もどんどん入れていく(一人称語りで、蝉夏と交互に語っていく想定)。

今にも何処かへ消えてしまいそうな希実を気に掛ける蝉夏は、増々希実から目を離すことができなくなる。希実のために、さらに色々なモノを犠牲にし始める。

つむぎは希実を恨んでる。憎んでる。

破滅的に蝉夏を破滅させようとする希実は、しかしそれでも決して自分を見捨てない蝉夏に段々と寄りかかってしまい、蝉夏無しじゃいられなくなっていく。肌を重ねてしまってからは蝉夏の温もりが忘れられなくて超絶不器用恋愛初心者のツンクーデレ乙女(依存)みたいになるかも。でも蝉夏を破滅させることが本命の目的だからメンヘラに歯止めが効かなそう。やばいかもしれない。

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