第375話 聖剣ではない!?

「……聞こえますますか? 私の声が聞こえますますか?」


 ん?

 足の方から、聞き覚えのない声が聞こえてきたぞ。


「聞こえましたよ。どちら様ですか?」


「お父様、私ですです」


「お、お父様!? 俺はまだ父親になってないぞ!?」


「いいえ、お父様には生まれた時から、息子がいますますよ」


「えっ!? ということは、この声を出しているのは息子さんなのか!?」


「はい、その通りですです」


「ええっ!? なんでしゃべれるんだ!? って、そんなのナオントリィコー薬のせいに決まっているか!!」


「はい、おそらくそうだと思いますます。なぜしゃべれるのかは不明ですです」


「そうか」



「おう、親父、俺もいるんだぜだぜ!」


 また足の方から、聞き覚えのない声が聞こえてきた。


「えっ? 今度は誰だ? どこにいるんだ?」


「親父が生まれた時から、股のところにいるヤツだぜだぜ!」


「ええっ!?」


 なんで息子さんから、別な声が聞こえるんだ!?


 息子さんはふたりいるのか!?



「親父殿、我もいるですだぜ」


 またまた足の方から、聞き覚えのない声が聞こえてきた。


「まだいるのか!? 今度は誰だよ!?」


「生まれた時からの付き合いだというのに、つれないことを言ってくれるですだぜ」


「ええっ!? 君も息子さんなのかよ!?」


「そうですだぜ! そして、我こそが『神極聖魔剣しんごくせいまけんマスラァオ・ナオントリィコー・ゼッリィン』ですだぜ!!」


「し、神極聖魔剣しんごくせいまけん!?」


 聖剣ナオントリィコーではないのか!?


「お父様、私は『神極聖玉しんごくせいぎょく』ですです」


「親父、俺は『神極魔玉しんごくまぎょく』だぜだぜ」


聖玉せいぎょく魔玉まぎょくのふたつ!? ……ああ、なるほど、それで三人分の声がしたのか」


「そういうことだぜだぜ! ちなみに、俺は右だぜだぜ!」


「私は左側ですです」


「そうなんだ」



「ヒモノ、新たな特殊能力が身に付いたぞ」


 女性たちが寝室に入って来た。


「ステーさん、それはもしかして、神極聖魔剣しんごくせいまけんのことか?」


「ああ、そうだ。なぜ分かったんだ?」


「当人たちが、そう名乗ったからだ」


「皆様、よろしくお願いしますます」

「よろしくだぜだぜ!」

「よろしく頼むですだぜ」


「ヒ、ヒモノさんの息子さんがしゃべったでルーイ!?」


「そ、それに、さっきよりすごくなってるでルーウ!?」


「こ、これが聖剣ナオントリィコーなのでルーエ!?」


「すごいでルーオ!?」


「違うですだぜ! 我は『神極聖魔剣しんごくせいまけんマスラァオ・ナオントリィコー・ゼッリィン』ですだぜ! 聖剣ナオントリィコーを超えた存在ですだぜ!!」


「えっ!? 超えているのか!?」


「超えているに決まっているですだぜ!!」


「その根拠は?」


「名前が長いからですだぜ!!」


「それだけなのか!?」


「それだけですだぜ!!」


「ええ……」


「ヒモノさん、わたくしの電球が、本当に超えていると言っているのです」


「そうだったのか!? なんで超えたんだ!?」


「わたくしの電球が、材料の質が高かったことと、ヒモノさんが聖剣と相性の良い体質をしていることの、ふたつが原因だと言っているのです」


「そうなのか」



「せ、聖剣ナオントリィコーを超えただとでルーア!? そんなもの聞いたことがないぞでルーア!?」


「本物の男、すごすぎるでルーイ!?」


「さすがはハーレム王でございますね! さあ、皆さん、生殖活動をしましょうでございます!!」


「うむ、さあ、雌たちよ、我らのものになるのだですだぜ!」


「な、なら、まずは私からだでルーア!」


「アカアーヨ姉さん、ずるいでルーイ!」

「まずは私がするでルーウ!」

「いいえ、ここは私がするよでルーエ!」

「私がしたいでルーオ!」


「待ちなさいッピ! ここは正妻のワタクシが先でしょッピ!!」

「正妻のわらわが先よニャ!」

「正妻の私がやるでヤンス!」

「ここは正妻の私がやるわッスわ!」

「お姉さんもやるわよ」

「ワタクシも攻めていただきたいですわ!」


「おい、やめろ!?」


「そうですですよ、皆さん! 落ち着いてくださいさい!」


「これは不潔すぎますね! イリーセさん、お願いします!!」


「了解でござんす! 臭い汁の塊をくらうでござんす!!」


「「「あああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」」」


 顔面に臭い汁の塊をぶつけられた。


 相変わらず、臭すぎる!?



「ヒモノ、他にも身に付いた特殊能力があるぞ」


「えっ? それはなんだ、ステーさん?」


「『神極聖魔玉しんごくせいまぎょくマスラァオ・ナオントリィコー・ゼッリィン』というものだ」


「それは私と神極魔玉しんごくまぎょくのコンビ名ですですね」


「コンビ名!? コンビだったのか!?」


「おう、そうだぜだぜ! 神極聖玉しんごくせいぎょくとは、親父が生まれた時からのコンビだぜだぜ!!」


「まあ、確かにそうだな」



神極聖魔玉しんごくせいまぎょくでルーア!?」


「知っているのか?」


「まったく知らないでルーイ!」


「知らないのかよ!?」


「でも、なんだかすごそうキュ!」


「強者にふさわしいでゴザル!」


「は~れむお~、すごいでごぜぇわす!」


「は~れ~お~、しゅぎょいでござぃやす!」


 まあ、確かに名前はすごそうだよな。



「ヒモノ、後ひとつあるぞ」


「まだあるのか? それはなんだ、ステーさん?」


「『神極聖魔剣玉しんごくせいまけんぎょく大旋風だいせんぷう』というものだ」


 なんだそれは?


 また妙なものが身に付いたなぁ。

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