第326話 聖盾(?)完成

「ヒモノさん、完成しましたよでエルフッ!」


「おおっ、できたか!」


「はい、これが『聖盾ボーゴシュラーバ』ですでエルフッ!」


 メィロポマがそう言って、手を差し出してきた。


 その手のひらには、ショッキングピンクの座薬のようなものがあった。


 大きさは長さ五センチくらい、幅二センチくらいだ。


「あれ? 色は白って、言ってなかったか?」


「色は変わることがありますでエルフッ」


「しかし、品質には影響ないはずだでダエルッ。多分でダエルッ」


「多分って!? それ大丈夫なのかよ!?」


「多分、大丈夫だと思うでダエルッ」


「ええ……」


 不安だなぁ。



「とりあえず、試してみたらどうじゃ~?」


「そうだな。これはどうやって使うんだ? どう身を守れば良いんだ? 服の中に仕込めば良いのか?」


「これは人体の出口から入れて使うんだでダエルッ」


「えっ!? 出口!?」


「ああ、後ろにあるだろでダエルッ」


 それって、気体と固体の出口のことか!?


「なんでそんなところに入れるんだよ!?」


「それは不明だでダエルッ」


「入れると、どうなるんだ!?」


「その薬が体内で溶けて、吸収されるでダエルッ」


「薬!? 盾じゃないのか!?」


「吸収された後に、盾になりますでエルフッ」


「ナニソレ!? どういう盾ができるんだ!?」


「特定のタイミングで、体の一部が一時的に硬くなりますでエルフッ」


「何よ、それニャ!? 意味が分からないわよニャ!」


「どういうことか説明して欲しいッス!」


「実は私たちも聖盾ボーゴシュラーバのことは、よく分かっていないのですでエルフッ」


「研究中に偶然できたものだからなでダエルッ」


「じゃあ、分かっていることはなんなんだ?」


「材料と、痴情のもつれで攻撃を受けそうになった時、その部分が硬くなることくらいですでエルフッ」


「それだけ!?」


「そうだでダエルッ。他のことは、まったく分からないでダエルッ。この世の神秘だとしか言いようがないでダエルッ」


「ええ……」


 分かってないこと多すぎだろ!?



「では、ヒモノさん、聖盾ボーゴシュラーバを入れましょうでエルフッ」


「えっ、いや、遠慮したいんだけど……」


「しかし、これがないと死んでしまうんだろでダエルッ?」


「確かにそうだけど……」


 ちょっと正体不明すぎて、ためらってしまうな。


 それに、人体の出口に入れなければいけないというのもな……


「そもそもこれは本当に『聖盾ボーゴシュラーバ』なのだろうか? 同名の別ものじゃないよな?」


「わたくしの電球が、それはないと言っているのです」


「そうなのか……」


 なら、やるしかないのか?



「では、ヒモノさん、服を脱ぐでヤンス!」


「いきなり何を言っているんだ!?」


「私が薬を入れてあげるでヤンス!」


「いや、そんなことしなくて良いって!」


「遠慮することはないでヤンス! ここは正妻の私に任せるでヤンス!!」


「遠慮なんてしてないっての!?」


「ちょっとレデベールさん、正妻はワタクシでしょッピ! ワタクシが入れるわよッピ!!」


「正妻はわらわでしょニャ! わらわがやるわよニャ!!」


「いえ、ここは私がやるわッスわ! メイドとして、こういう薬の入れ方も学んでいるからねッスわ!」


「お前たちに任せておけるか! ヒモノ、私が入れよう!」


「いいえ、わたくしが入れるのです! わたくしの電球が、スムーズに入れる方法を知っていると言っているのです!!」


「お姉さん、そういうの得意だからやってあげるわよ」


「ここはワタクシが攻めた入れ方をして差し上げますわ!」


「ここは芸術のために、ロロ~さんがやろうでロロ~!」


「アメ~さんもやってみたいわでアメ~!」


「いえ、製作者の私が入れますよでエルフッ」


「私でも良いぞでダエルッ」


「ふむ、ここは雌全員で入れた方が良いでしょうでございます。そして、その後は全員で生殖活動をしましょうでございます」


「お前ら、落ち着け!?」


「なんて不潔な!? 全員洗浄します!!」


「服や体がまったく傷付かないハサミを持った生物もどうぞでござんす!」


「「「ぎゃあああああああああああああああああああああああっ!!!!!」」」


 ぬるま湯をぶっかけられた後に、ザリガニクワガタに全身を挟まれた。



「ちょっと怖いが、自分で入れてみるか」


「ヒモノさん、待ってくださいでございます!」


「なんだよ、セイカさん?」


「ワタクシの勘が、その薬は雌に入れてもらわなければ、効果が出ないと言っていますでございます」


「はぁっ!? メィロポマ、カエゼーユ、本当なのか!?」


「えっ、どうなんでしょうでエルフッ!?」


「行った者がいないから分からないなでダエルッ」


「そうなのか? チカさん、何か分からないか?」


「わたくしの電球も、女性に入れてもらわないと効果が出ないと言っているのです!」


「ええっ!? 本当なのか!?」


「はい、なので、わたくしが入れるのです!!」


「ちょっと待ちなさいッピ! ここは正妻のワタクシが入れるわッピ!」

「いいえ、わらわがやるわよニャ!」

「私がやるでヤンス!!」

「いいえ、私が入れるッスわ!!」

「お姉さんがやるわよ」

「ワタクシが入れて差し上げますわ!」


 また女性たちがもめ出した。


「また不潔な争いを! 全員まとめて洗浄します!!」


「かき氷と、人に投げ付ける用のパイと、服や体がまったく傷付かない辛い粘液も付けるでござんす!!」


「「「ぎゃあああああああああああああああああああああああっ!!!!!」」」


 そして、セレンさんとイリーセさんにおしおきされた。

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