第307話 超豪華プレゼント

「本戦制覇おめでとうニャッピ」


 受付の変人が闘技場に入って来た。


「ああ、ありがとう」


「三回戦が六回戦まであるなんて聞いてないッスよ!」


「そうよニャ! あれはどういうことなのニャ!?」


「あれは元々、全員まとめて出て来るはずだったニャッピ」


「えっ!? そうだったのか!?」


「そうニャッピ。最終戦だから、相応の相手を用意したつもりだったニャッピ」


 いくら最終戦だからって、やりすぎじゃないか!?


「それなのに、なぜかあいつらはひとりずつ戦いたいと言い出して、ああなってしまったニャッピ」


「そうだったのか」


 我が強くて、面倒な連中なんだな。


 ここのスタッフさんたちも大変だなぁ。


 まあ、俺たちは助かったのかもしれないけどな。



「では、超豪華プレゼントを渡すニャッピ」


 大量の白いマネキンたちが闘技場に入って来た。


 全員巨大な肉の塊が載ったワゴンを押している。


 ん?

 黒い液体が入った透明の一升瓶のようなものを載せているワゴンもあるな。


「それが超豪華プレゼントなのか?」


「その通りニャッピ。これは『タシニミンルン』というミョガガベの肉ニャッピ」


「また美味しい肉なのキュ!?」


「そうニャッピ。これはとても美味しいうえに、栄養豊富ニャッピ。さらに、食べるとステータスが上がるかもしれないうえに、特殊能力が身に付くかもしれないニャッピ」


「ええっ!? そいつはすごいな! ところで、そのミョガガベはどこにいるんだ?」


「それは秘密ニャッピ」


「そうか……」


 教えてもらえないか。

 残念だなぁ。


 まあ、仕方ないか。



「その瓶は何キュ?」


「これは『潜在能力が引き出されるかもしれない焼き肉のタレ』ニャッピ」


「なんだそれは!?」


「食べると、名前通りになるかもしれないタレニャッピ」


「そうなのか……」


 怪しいタレだなぁ。



「さっそく食べるでゴザル!」


「それなら、ここを使って良いニャッピ」


「そうか? なら、ありがたく使わせてもらうよ」


「どうぞニャッピ」


「では、作りましょうか」


「ああ、頼むよ、リリィさん」


 リリィさんがチェーンソーを取り出し、料理を始めた。



「本戦を制してしまったということは、ここを出て行かなければならないのでナンス?」


「その通りニャッピ。明日の朝食を取ったら、出て行ってもらうニャッピ。それまでは、ここの設備を使っても良いニャッピ」


「ええ~、明日の朝までなのでナンス!?」


「短すぎますよでナス~! 百日くらいのんびりしていたいですでナス~!」


「ダメニャッピ。出て行かなかった場合は、強制的に追い払うニャッピ」


「ええ~、ケチすぎるでナンス!」

「ひどすぎますよでナス~!」


「おい、そこ、わがまま言うなっての!」


「それじゃあ、明日の朝までごゆっくりニャッピ」


 受付の変人と、白いマネキンたちが闘技場から出て行った。



「ヒモノ、ここを乗っ取るでナンス!」

「やりましょう、ヒモノさんでナス~!」


「何言ってんだよ!?」


「強くなったヒモノならできるでナンス!」

「愛する妻のために、がんばってくださいでナス~!」


「アホなことを言うなっての!!」



「皆さん、できましたよ」


 リリィさんが調理台の上に皿を並べた。


 そこには食べやすい大きさに切られた焼き肉が載せられていた。


 近くにタレの入った小皿も置いてある。


「このタレって、食べられるんだよな?」


「食べられるでゴザル!」


「わたくしの電球も、食べられると言っているのです」


「そうなのか。本当に潜在能力が引き出されるのか?」


「わたくしの電球が、そこも本当だと言っているのです」


「そうなんだ」


 とんでもないタレだな!?



 では、食べてみようか。


 いただきます。


 俺は肉をタレに付けて食べてみた。


 おおっ、これもうまいな!!


 柔らかいし、うま味があふれまくっているぞ!


 このタレも甘辛い感じで、とても良く合う!


 素晴らしいな!


「美味しいキュ!」

「うまいでゴザル!」

「もひょひょひょひょひょひょひょひょいでござわすでござわす!!」


「前に食べたものと同じくらい美味しいわねッピ」

「そうねニャ。あれ、なんて名前だっけニャ?」

「『グイグルノア』の肉なのです」

「ああ、そうだったわねニャ!」


 みんなにも好評のようだ。



「ごちそうさま、リリィさん。とても美味しかったよ」


「お粗末様でした」


 ん?

 な、なんだ!?


 体が熱くなってきたような気がするぞ!?


「な、なんか体が熱いでヤンス……」

「ワタクシもよッピ……」

「私もッスわ……」


 他のみんなにも同じ症状が出ているようだ。


「みんなもか? 実は俺もなんだ? なんだこれは?」


「これは繁殖期の到来でございますね。皆さん、ヒモノさんと生殖活動をすべきでございますね」


「お前は何を言っているんだ!?」


「不潔すぎますね! 洗浄します!!」


「セレンさん、待つのです! わたくしの電球が、これはタシニミンルンの肉とタレの効果だと言っているのです!」


「ということは、ステータスが上がって、潜在能力が引き出されているのか?」


「正確には、その最中なのです」


「そうだったのか」


 肉とタレを食べたら、強くなれるのか。


 この世は、訳が分からないことだらけだなぁ。


「というわけで、今洗浄を行ったら、ステータスの上昇が止まってしまうかもしれないのです。終わってからにするのです」


「仕方ありませんね。終わったら、ヒモノさんごと洗浄してあげましょう」


「ちょっと待て! なんで俺まで!?」


「不潔だからです!」


「なんでだよ!? 俺は何もしてないだろ!?」


「問答無用です!」


「ええっ!?」


 理不尽すぎるだろ!?

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