第253話 映画の町

「えいでちゅ!」


「ぬほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!」


「おらぁでしゅ!」


「ぬひょひょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!」


「うおりゃぁでにゅ!」


「むひょひょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!」


「たあ、とおでひゅ!」


「もひょひょひょひょおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!」


 マーナさんたちが、ムエド・タブ・コイタをたたきまくっている。


 もしかして、気に入ってしまったのか!?


 なんか教育に悪そうだな。


 やはりあれは破壊するしかないのか?



「ヒモノ、破壊はやめるざます」


 ユモアの声が聞こえてきた。


「いや、だがなぁ、あれは教育に悪そうだって」


「すぐに飽きるざますよ。それまでやらせてあげれば良いざます」


「そういうもんなのか?」


「そういうもんざます」


 なら、しばらく放っておくか。



「なんかお腹が減ってきたキュ! リリィお姉さん、何か作ってキュ!」


「分かりました」


「むむっ、ご飯でちゅか!?」


「わしも食べたいでしゅ!」

わしもお腹すいたでにゅ!」

「わしゃあもでひゅ!」


 マーナさんたちが叩くのをやめ、リリィさんのところに行ってしまった。



「本当に、すぐに飽きたな」


「そうざますね」


「うひょひょおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!! 美幼女たちに放置されたムエー!!! これはこれで気持ち良いムエー!!!」


 ろくでもないものを買ってしまったものだな。


 俺はムエド・タブ・コイタを、頭に収納した。


 その後、食事を取り、洗浄してもらい、就寝した。



 次の日。


 俺たちは飛び立った。



 海を渡り、隣の大陸にやって来た。


 そのまま進んで行くと、草原の向こうに城壁と思われる人工物が見えてきた。


「あそこが目的地の町なのです」


 チカさんが城壁を指差し、そう言った。


「そうなんだ。なら、行こうか。マモリさん、モザイクを頼むよ」


「了解であります!」


 俺たちは目立たなくなるモザイクに包まれた。



 城壁の近くまでやって来た。


 城壁には、海岸で見つめ合う男女の絵が描かれている。


 その近くに『凄惨悲惨阿鼻叫喚地獄修羅場せいさんひさんあびきょうかんじごくしゅらば』という意味の言葉が書いてある。


「あれはなんだろう?」


「物語のワンシーンなのです。その近くの文字は、タイトルなのです」


「そうなんだ」


 おぞましいタイトルだな。


 この後に、何が起こるのやら?



 おや?

 映画用カメラのようなものを持った集団がいるぞ。


 それも複数組いるようだ。


「あの人たちは、映画の撮影中なのだろうか?」


「はい、そのようなのです」


「そうなのか。ここにも映画があるのか」



 町の入り口にやって来た。


 周囲には、ビルのような建物が並んでいる。


 そして、そのどれにも、登場人物とタイトルが描かれているポスターや壁面広告が取り付けられまくっている。


 それどころか、道にまで広告が描かれている。


 実写の作品もあれば、アニメの作品もあるようだ。



 道行く人たちは、奇抜な格好をしている人たちと、撮影機材のようなものを持った普通の服装の人がいる。


 あの人たちは、役者と撮影スタッフなのだろうか?



「ここも面白そうざますね! ヒモノ、観光していくざます!」


「はいはい、分かったよ。では、行こうか」



 町を歩いている。


「ここは映画館と本屋が多いみたいだな」


「どうやら映画を本にしているみたいざますね」


「ああ、なるほど」


 メディアミックスか。


「ヒモノ、どれもしっかり見るざますよ」


「はいはい、分かってるよ。だが、そのためには、当然お金がいるよな?」


「はい、必要なのです」


「では、また金策からか」


「どこに行っても、まずお金ッスね」


「ああ、そうだな」


「そこは仕方ないわねッピ」



 『フルホンフ・ルトフルーティ古書店』という意味の言葉が書いてある壁面看板のある建物を発見した。


 古本、振ると、フルーティ?


 まあ、そこはどうでもいいか。


 壁面看板に『宝箱から出た本の買い取りも行っています』という意味の言葉も書いてある。


「ヒモノさん、わたくしの電球が、ここで未開の領域で拾った本を買い取ってもらえると言っているのです」


「救いの女神物語をか」


「では、買い取ってもらいましょう。あんな不潔な本、いつまでも持っていたくはありませんからね」


「まだ読んでないのに……」


「ヒモノさん? 何か言いましたか?」


「いいや、なんでもないよ! それじゃあ、行こうか!」



 俺たちは古書店に入った。


 中は普通だな。


 本の詰まった棚がたくさんある。


 奥の方にカウンターがある。


 そこに、本の被り物を着用している老年男性がいる。


 では、売ってしまおう。



「すみません、これを買い取ってもらえますか?」


 俺はカウンターの上に『救いの女神物語 第一巻 全年齢版』『完全版! 救いの女神物語 第一巻 全年齢版』『新約・救いの女神物語 第一巻 安心安全の全年齢版です!』の三冊、それと『救いの女神物語』の一巻から二〇巻までを置いた。


「かしこまりましたでゴッワス。鑑定しますので、少々お待ちくださいでゴッワス」


 店員がそう言って、本を見始めた。



「こ、これは救いの女神物語でゴッワス!? それも無修正のでゴッワス!? しかも、状態が非常に良いでゴッワス!?」


 店員が驚いているぞ!?


 もしかして、すごいものなのか!?


「お待たせしましたでゴッワス。こちらすべてで、四〇億三万ヴィヴァヴォヴでいかがでしょうでゴッワス」


 えっ!?

 四〇億!?


 高くないか!?

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