第195話 さすが恋愛力!

 モゥ・モゥチャーンの生首が落下していった。


「なんだあれは!? いったい何が起こったんだ!?」


「それは私の取った行動が原因なのだよ」


「レーアさんが!? いったい何をやったんだ!?」


「私の恋愛力で、ヤツの弱点を看破し、攻撃したのだよ。この様子を見るに、無事倒せたようなのだよ」


「おおっ! そいつは素晴らしいな!!」


 さすが恋愛力のステータス令嬢だ!!


 他者を見抜く力がすさまじいぜ!!


 恋愛がそういうものなのかは、よく分からないがな!!



「それで具体的に何をやったんだ?」


「地上にある体に、ナイフを投げたのだよ。どうやら頭を飛ばしている最中は、体が動かせないという弱点があるようなのだよ」


「そうだったのか。体の方は無防備だったのかよ」


「間抜けなヤツでヤンス」


「まったくッスわ」


「そうだな」


 まあ、そのおかげで無事倒せたわけだけどな。



「むっ、ヒモノ、悪が逃げようとしているのである!!」


「えっ?」


「逃がすわけにはいかないのである! ただちに攻撃するのである!!」


「あ、ああ、分かったよ」


 俺はすべての聖剣を、ロェスリージ・ヅイルボハ団のふたりに向かわせた。



「「ブミィィィィィィィィィィィッ!!!!!」」


 地上から叫び声が聞こえてきた。


「どうやら命中したようだな」


「うむ、では、下に行くのである!」


「そうだな」



 俺たちは地上に下りた。


 そこにはあお向けに倒れているロェスリージ・ヅイルボハ団のふたり、モゥ・モゥチャーンの生首、首の部分にナイフが突き刺さった状態で、うつ伏せに倒れているモゥ・モゥチャーンの体、大きな緑青色のおのがあった。


 モゥ・モゥチャーンの体は、かなり大きいな。


 身長三メートルくらいありそうだ。


 おのも巨大だな。

 長さ二メートルくらいありそうだ。



「うっ、うう……」


 ん?

 ロェスリージ・ヅイルボハ団のふたりが、気が付いたみたいだな。


「ひっ!?」


 ロェスリージ・ヅイルボハ団のふたりは、俺たちから逃げようとしている。


「逃がしませんよでございます!」


「大人しくするでげすぜ!」


 しかし、セイカさんとノゾミさんに回り込まれた。


 あいつら、いつの間に?


 こういう時は素早いんだな。



「あ、あなたたちはなんなのアル!?」


 スーツを着た美女がそう言った。


「我々は善なる存在である! 悪たる貴様らを成敗しに来たのである!!」


「そんな変態的な格好で、正義の味方を気取るのアル!?」


 そういえば、人間に戻ってなかったな。


「あーしたちは変態じゃないッス! 鳥類ッス!!」


「何を言っているのか、サッパリ分からないアル! やっぱり変態アル!!」


 散々な評価を受けているなぁ。


 まあ、無理もないけど。



「メセイーテ、早くアレを出しなさいよアル!」


 スーツ姿の美女が白いドレス姿の美女に話しかけた。


「そ、それが、なぜか出て来ないのよダネ……」


 白いドレス姿の美女にそう言った。


「何が出ないんだ?」


「そ、そんなのあなたたちには関係ないでしょダネ!」


「ヒモノさん、わたくしの電球が、彼女は特殊能力を使用しようとしていると言っているのです」


「そうなのか。それが出ないということは、もしかして……」


「はい、聖剣の影響で能力が失われたのです」


「ああ、やはりそうなのか」


 俺の操れるすべての聖剣で、ぶったたいちゃったからなぁ。



「ところで、なんで聖剣で叩くと特殊能力が使えなくなるんだ?」


「それは俺様が、最高の聖剣だからだろ」


「なんだそれは? 意味分からんぞ」


「ひねくれた特殊能力が、素直になっているんじゃないのッピ?」


「そうなのか?」


 よく分からんなぁ。



「わ、わたしの特殊能力は失われたのダネ!?」


「ま、まさか私のものまでアル!?」


「おそらくそうだと思うぞ。ステータスウィンドウを出して、確認してみたらどうだ?」


「それもそうねダネ。ステータスオープンダネ!」


「ステータスオープンアル!」


「どうも~ダネ~。毎度おなじみ、ステータスウィンドウですダネ~。お客さん、ご注文をどうぞダネ~」


「ご利用ありがとうございますアル~。毎度おなじみ、ステータスウィンドウでございますアル~。お客様、ご注文をどうぞアル~」


 ロェスリージ・ヅイルボハ団のふたりにそっくりな、ステータスウィンドウたちが現れた。


 違いは髪の色くらいだ。


 スーツ姿の美女の方は白髪、白いドレス姿の美女の方は金髪だ。



「な、何よ、これダネ!?」


「ですから、ステータスウィンドウですダネ~」


「私のステータスウィンドウは、普通の半透明の青いプレートよアル!」


「そう言われましても困りますアル~」


 両者とも混乱しているようだな。



「ちょっと、あなたたち、これはどういうことなのダネ!?」


「この聖剣で殴られると、ステータスウィンドウがそうなるんだよ」


「それのどこが剣なのよアル!? どう見ても、もっと違う何かでしょアル!?」


「そう言われてもなぁ」


 なぜか聖剣なんだよなぁ。



「それよりも、特殊能力を聞いてみたらどうだ?」


「そうねアル!? どうなのアル!?」


「お客様の特殊能力は『余計な語尾が付かない、あまりお買い得ではない通訳翻訳能力』のみとなっておりますアル~」


「な、なんですってアル!?」


「わたしのはどうなのダネ!?」


「お客さんの特殊能力も『余計な語尾が付かない、あまりお買い得ではない通訳翻訳能力』だけですダネ~」


「そ、そんなダネ……」


 ふたりとも落胆しているようだ。



「ちょっと、これどうしてくれんのアル!?」


「元に戻しなさいよダネ!?」


「無理」


「こんなんじゃあ、生きていけないわアル! どうしてくれるのよアル!!」


「そうよダネ! 責任取りなさいよダネ!!」


「なんでそれを俺に言うんだよ!?」


 あれ?

 なんか前にも、こんなことがあったな。


 図々ずうずうしいヤツは、どこにでもいるんだなぁ。

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