第181話 人はステータスに縛られるべきではない、人を縛るのは……

「それじゃあ、見てみるッス」


 空中に画面が現れた。


 ここに偵察用鳥類から送られてきた映像が映るんだよな。


「空と海しか映ってないな。ケイカさん、ここに悪は映っているのか?」


「いや、映っていないのである」


「なら、もっと進んだところにいるのかな?」


「うむ、おそらくそうなのである」


「そうだとすると、発見するのに時間がかかりそうッスね。ヒモノ、ここはあーしたちが見ているから、他のことをしていて良いッスよ」


「分かったよ。では、頼む」


「了解ッス」


「うむ、任せておくのである」



「さて、何をしようか?」


「ここの食べ物を探すでゴザル!」


「賛成キュ!!」


「食べ物か。なら、釣りでもするのか?」


「いや、それよりも、そこを掘ってみるでゴザル!」


 プリーディさんが波打ち際を指差して、そう言った。


「なんでだ?」


「あのあたりに食べられるものがいる気がするでゴザル!」


 波打ち際にか……


 貝でもいるのかな?


「なら、掘ってみようか」


「社長、ここは私にお任せください! さあ、製作の妖精たち、あそこを掘れ!!」


「「「承知しました、係長!!」」」


 製作の妖精たちが砂浜を掘り始めた。


 では、せっかくだし、お任せしようか。



「社長、係長、妙なものを発見しました!」


「こちらです!」


 製作の妖精たちが黒い角型の物体を掘り出し、砂浜に置いた。


 大きさはA5サイズの辞典くらいだ。


「これはなんだろう?」


「わたくしの電球が、これは二枚貝の一種だと言っているのです」


「なら、これがプリーディさんの言っていたものなのかな?」


「その通りでゴザル! こいつは食べられるでゴザル!!」


「やはりそうなのか」


「社長、係長、そいつはこの辺にたくさん埋まっているみたいですよ」


「それなら、たくさん捕るキュ!」


「よし、妖精たち、掘り出せ!」


「「「承知しました、係長!」」」



 製作の妖精たちが大量の貝を掘り出してくれた。


「係長、もうこのあたりにはないみたいです……」


「つ、疲れました……」


「休んで良いですよね?」


「ダメに決まっているだろ! 次の作業は……」


「待て、コロモ! もう良いって、妖精たちを休ませよう!」


「かしこまりました、社長! では、妖精たち、社長に感謝しつつ、休息を取れ!」


「ありがとうございます、社長!」

「さすが社長! 心が広いです!」

「社長、最高!!」


 こいつらも大変だなぁ。



「では、これらを料理しますね」


「ああ、頼むよ、リリィさん」


 リリィさんが料理をし始めた。



「ヒモノ、人を見つけたッスよ!」


 やはりここにも人が住んでいるのか。


 俺は画面を見てみた。


 そこには、西洋風の石造りの町と、俺たちと同じような人間が映っていた。


「これは町みたいだな。ケイカさん、ここに悪がいるのか?」


「いるのである! 探すのである!」


「分かったッスよ!」


 画面が動き出した。



 人が多いな。


 ここはかなり大きな町みたいだな。



 全身に茶色のロープのようなものを巻き付けている人がいるぞ。


 それもかなりの人数が、そのような格好をしている。


 この町では、ああいうファッションが流行っているのかな?


 あれの何が良いのだろう?


 よく分からんなぁ。


 まあ、そんなのどうでもいいか。



 画面に広場のような場所が映し出された。


 中央に、頭頂部が鋭くとがった石造りの塔のようなものが建っている。


 あれは記念碑なのかな?


「むっ、悪がいたのである!」


「えっ、どこに!?」


「中央にある置物の真下である!」


 そこには黒いローブを着ている、スキンヘッドの渋いおじさんがいた。


 全身に茶色のロープのようなものが巻き付けられている。


「あの黒いローブのヤツのことか?」


「その通りなのである!」


「あの人の何が悪なんだ?」


「具体的なことは分からんのである! ただ、我の能力が、ヤツは悪だと言っているのである!!」


「そうか…… ん? あいつ、何か言っているみたいだな。なんとか聞き取れないかな?」


「なら、もっと近付けてみるッスよ」


 偵察用鳥類が塔の最上部に移動した。



「皆さん、ステータスに格差があると思いませんかでギョワス!」


 画面からおじさんのものと思われる、音声が聞こえてきた。


 あそこで演説をやっているのかな?


 それにしても、その語尾はなんなんだ!?


 なんで『ギョワス』なんて選ぶんだよ、通訳能力!?


 まあ、どうでもいいけど!


「そのせいで理不尽な思いをしていませんかでギョワス!」


 あのおじさんは、差別を取り除こうとしている活動家なのかな?


 ステータスがある世界だと、そういう差別が生まれるんだな。


「人はステータスに縛られてはいけないでギョワス!」


 なんか良いことを言っているように思えるなぁ。


 あの人は本当に悪なのだろうか?


「人を縛るのは、縄であるべきなのですでギョワス!!」


 ……えっ!?


 ん!?

 あれ!?


 今、あのおじさん、なんかおかしなことを言ったような気がするぞ……


 聞き間違えかな?


「皆さんも自身を縄で縛り、ステータス格差から解放されましょうでギョワス!!」


 聞き間違いではなかった!?


 やっぱり変なことを言っているじゃないか!?


 なんで縄で縛るんだよっ!?


 なんでそんなので格差から解放されるんだよっ!?


 やはりこいつは悪なんじゃないか!?


 いや、それよりも、変態であると判断する方が適切か!?

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