第130話 メイド力

「報告会を続けよう。次はルヴィベールさんだな」


「ルガコール、どうなのッスわ?」


「お客様のステータスが変動していますッショ。能力が上がったのかは、よく分かりませんがッショ」


「真面目に修行していたし、上がっているだろう。他にはないのか?」


「私とお客様が『メイドの逆さ縦抱き』という特殊能力を身に付けていますッショ」


「逆さ縦抱き? それはどういうものなんだ?」


「逆立ちした状態の能力者と、直立状態のどなたかが抱き合うそうですッショ」


 なんだそのアクロバティックなものは!?


 訳が分からないぞ!?



「ルガコール、それをするとどうなるのッスわ?」


「抱き合った者たちと、その仲間の皆さんの『メイド力』が上がるそうですッショ。効果は一日持続するそうですッショ」


「メイド力? なんだそれは?」


「ステータスの項目のひとつで、名前通りメイドっぽさを表すものですッショ」


「ステーさん、そんなのあったっけ?」


「今それが出現した。どうやら隠しステータスだったようだな」


「そうだったのか」


「ちなみに、今のヒモノは『家事はそれなりにできるが、メイド服が絶望的に似合わない、似合わなさすぎる。メイドは諦めたまえ』となっている」


「そ、そうなのか……」


 それメイド服が似合うかどうかだけで、メイドになれるか決めてないか!?


 まあ、どうでもいいけど。


「ルヴィベールさんのメイド力は、どうなっているんだ?」


「『メイド服がよく似合う! 最高のメイドだ! 家事? そんなのどうでもいい!!』となっていますッショ」


「ええ……」


 やっぱりメイド服が似合うかどうかだけなんだな!?



「ステーさん、メイド力のステータス令嬢はいるのか?」


「いるようだ」


 へぇ、いるのか。


 だが、今は必要ないけどな。



「では、新能力を使ってみましょうッスわ」


「えっ? やるのか?」


「せっかく身に付けたのに、使わないのはもったいないわよッスわ」


「そもそもメイド力って、上げる必要あるのか?」


「分からないわッスわ。だから試してみましょうッスわ」


「そうだな」


「ヒモノさん、相手役をお願いねッスわ」


「俺がやるのか?」


「当然でしょッスわ。ヒモノさんは私の夫なのよッスわ。それじゃあ、私は準備してくるわッスわ」


 仕方ないなぁ。



「お待たせッスわ」


 長い髪をまとめ、黒いスリングショット水着を着たルヴィベールさんがやって来た。


「なんでそんな格好をしているんだ!?」


「スカートだと邪魔になるからよッスわ」


「だからって、なぜそれを着ているんだよっ!?」


「それはもちろん、ヒモノさんのために決まっているでしょッスわ」


「不潔な思考を感知しました。洗浄します」


「きゃああああああああああっ!!!」


 ルヴィベールさんは洗浄された。


 その後、ルヴィベールさんは、セレンさんにロングの赤いジャージのような服を着せられた。



「うう…… ひどい目に遭ったわッスわ……」


「不潔なのが悪いのです。反省しなさい」


「分かったわよっスわ」


「ええと、能力を試すのはやめておくか?」


「いいえ、それはやりましょうッスわ。今から逆立ちするからうまく抱き締めてねッスわ」


「ああ、分かったよ」


 逆立ちしたルヴィベールさんと抱き合った。


 ルヴィベールさんの太股ふとももが、俺の首を包んでいる。


 そのせいで眼前には、とんでもない光景が広がっている。


 これは水着のままだったら、俺が洗浄されていたな。


 危なかった。


 それにしても、ルヴィベールさんは温かくて柔らかいな。


 良い匂いもするし、実に素晴らしい。


 おっと、このままでは洗浄される。


 心頭滅却、心頭滅却。



「さあ、そろそろ良いでしょう。離れてください。さもなくば、洗浄しますよ」


「あ、ああ、分かったよ、セレンさん。ルヴィベールさん、離してくれ」


「ええ~、もうちょっとヒモノさんに触れていたいわッスわ」


「ならば、ルヴィベールさんだけ洗浄しましょうか?」


「わ、分かったわよッスわ……」


 ルヴィベールさんが離れた。



「能力は発動したのか?」


「どうやらしたようですッショ」


「なら、メイド力が上がったはずだよな。何か変わったか?」


「うーん、よく分からないわッスわ」


「もしかすると、上昇量が少ないせいかもしれませんッショ。私もメイドの逆さ縦抱きを使用してみますッショ。それでは着替えて来ますッショ」


 えっ、ルガコールもやるのか!?



「お待たせしましたッショ」


 ルヴィベールさんと同じジャージを着た、ルガコールがやって来た。


「では、ヒモノさん、始めましょうッショ」


「えっ、また俺がやるのか?」


「ヒモノさんが支えてくれた方が安心ですッショ」


「ああ、そういうことか。分かったよ」


「それでは、いきますよッショ」


 逆立ちしたルガコールと抱き合った。


 こちらも素晴らしいな。



 ルガコールが離れた。


「能力は無事に発動したのか?」


「はい、そのようですッショ」


「何か変わったか?」


「変わったような感じはしないッスわ」


「ええ……」


「ヒモノさん、わたくしの電球が、メイド力を上げると、家事を行う能力が向上すると言っているのです」


「へぇ、そういうものなのか」


「はい、さらにメイド服が似合うようにもなっているのです」


「そんな効果もあるのか」


「はい、というわけで、試してみるのです。わたくしがメイド服を着てみるのです」


 えっ!?


「それなら、お姉さんも着てみるわ」

「ワタクシも着てみますわ」

「私も着替えてくるッスわ!」

「私も着替えますッショ」


 ええっ!?



「お待たせなのです」


 チカさん、フーカ、ルメーセ、ルヴィベールさん、ルガコールが着替えてきた。


 五人ともミニスカートで露出の多いメイド服を身に着けている。


 あれはルヴィベールさんと同じ服だな。


 みんなとてつもなくかわいいぞ。


「ヒモノさん、どうですか?」


「えっ、ああ、とてもよく似合うよ」


「ありがとうございます!」


 ところで、これはメイド力の上昇によるものなのだろうか?


 ただ、みんなメイド服が似合っているだけなのでは?


 まあ、そんなのどうでもいいか。


 みんなのかわいいメイド姿が見れたからな。

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