第129話 モザイクとひとつに

「次はマモリさんだ。どうだった?」


「私も体が引き締まったみたいであります! これは身体能力が向上したであります!」


「そうなのか。それは良かったな」


 モザイクのせいでまったく見えないけどな!



「マモリさん、それは本当なのでございますか?」


「疑うのでありますか、セイカ殿?」


「その姿では仕方ないと思いますでございます」


「ここは我輩たちが確認してやろうでげすぜ」


「はい、そうしましょうでございます。さあ、マモリさんモザイクを消してくださいでございます」


「いや、別にそこまでしなくてもいいだろ」


「いいえ、必要でございます。さあ、ヒモノさんも確認しましょうでございます」


「えっ!?」


「あのモザイクの向こうが気になるのでしょうでございます」


「うっ!?」


 まあ、ならないわけでもないけど……


「気になるのでございますね? ならば、確認しましょうでございます。そして、その後はじっくりと生殖活動でございます」


「何を言っているんだ!?」


「これは不潔ですね。洗浄します!」


 みんなまとめてぶっかけられた。



「他に何かあるか?」


「『モザイクの加護』という特殊能力を身に付けたであります。私からは以上であります」


「それはどういうものなんだ?」


「これはモザイクと一体化することで、防御力が少し上がる能力であります」


「モザイクと一体化って、具体的に何をするんだ?」


「まずは衣服を、すべて脱ぐであります。そして、モザイクをかけるであります。最後に、モザイクと一体化していることを感じるであります」


 い、意味が分からない……


「終わった後は、すぐに衣服を着ても問題ないであります。能力の効果は一日持続するであります。これからは安全のために、毎日これをした方が良いであります」


 毎日全裸モザイクになるのか!?


 変態すぎる!?



「では、さっそくやってみるであります。皆さん、服をすべて脱ぐであります」


「みんなでやるのか!?」


「皆さんの安全のためにはやった方が良いであります」


「まあ、それはそうだけど……」


「さあ、脱ぐであります」


「ちょっと待て、先にモザイクを出してくれよ」


「それはダメであります。順番通りにやらないと、能力が発動しないであります」


 全裸になる、モザイクをかけるの順でやらないとダメなのか!?


 メンドクセェな!?


「屋外で裸になるのは、抵抗があるのです」


「その通りッスわ」


「マモリさん、テントの中でやっても良いのか?」


「それは問題ないであります」


「なら、そうするか」



 俺たちはテントを張った。


 そして、中で服を脱いだ。


「マモリさん、良いぞ。能力をかけてくれ」


「了解であります」


 俺はモザイクに包まれた。


「では、ヒモノ殿、モザイクと一体化するであります」


「それはどうやるんだ?」


「モザイクを体の一部と思うであります。そして、自身を世界の一部と思うであります。そうすると、一体化しているであります」


「ソ、ソウナノカー」


 ヤバい!

 サッパリ分からない!?


「さあ、ヒモノ殿、やってみるであります」


「あ、ああ……」


 マモリさんの言う通りにやってみた。


「ん? 体が何かに包まれたような気がする……」


「どうやら成功したようでありますね。これでヒモノ殿はモザイクであります」


「なんだそれは!? どういうことなんだ!?」


「モザイクと一体化したのだから、モザイクであります」


「そういうものなの!?」


「そういうものであります」


 ええ……



「おい、おっさん、何か来るぜ」


「本当だ」


 茶色い何かが俺たちの方に近付いて来ている。


 あれはなんだろう?

 空飛ぶ麻袋か?


「ヒモノさん、わたくしの電球が、あれは製作の妖精たちだと言っているのです」


「ああ、あいつらが帰って来たのか。なら、あれは宝袋なのかな?」


「そのようなのです」



「社長、係長、ただいま戻りました」

「仕事を取って来ましたよ。これをどうぞ」


「ああ、お疲れ様、ありがとう」


 製作の妖精たちが麻袋を置いた。


 高さ、幅ともに二メートルくらいある大きな袋だ。


 袋の側面に『私は宝箱』という意味の黒い文字が書いてある。


 これを妖精たち全員で運んで来たのか。


 あいつら意外と力持ちなんだな。



「こいつは開けても大丈夫なのかな?」


「わたくしの電球が、問題ないと言っているのです」


「なら、開けてみようか」


 中にはメタボ気味のおっさんの上半身に、魚の下半身が付いた人魚の金色の全身像が入っていた。


 これは等身大のオージー・サァンウ・オゥの像だな。


 なんでこんなものがあるんだ?


「こいつは何かに使えるのかな?」


「わたくしの電球が、これはそれなりに高く売れると言っているのです」


「そうなのか。こいつはもらっても良いのかな?」


「問題ないのです」


「では、もらっておこう」


 像を頭に収納した。



「社長、また妖精たちを営業に行かせましょうか?」


 仕事中毒者が無慈悲な提案をしてきたぞ!?


「また行かなきゃいけないの!?」

「係長、ひどすぎだろ!?」

「少し休ませて!」


「いや、みんな疲れているみたいだし、休ませてあげても良いんじゃないかな?」


「社長! 信じてました!」

「社長は素晴らしい方ですね!」

「さすが社長! 心が広い!」


 調子がいい連中だなぁ。


「社長は甘いです! こいつらがイアーユさんのようになってしまいますよ!」


「うっ、それは困るな……」


「そうでしょう! ですから、こいつらをしっかり調教しなくては! オラァ、テメェら、もう一回行って来い!!」


「ひどすぎる!!」

「妖精にも疲れはたまるんですよ!」

「休みをくださいよ!」


「ゴチャゴチャうるさい! 早く行け!」


「「「ひぃぃぃ、行って来ます!!」」」


 妖精たちがまたどこかに行ってしまった。


 あいつらも大変だなぁ。


 というか、このままだと逃げ出してしまうんじゃないか?


 帰って来たら、休ませてあげよう。

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