第59話 ウニと抱擁
「次はメェールさんだな」
「メルウィ、どうなのッピ?」
「ステータスが変動していますピッ。それと特殊能力が増えていますピッ」
「どんな能力なんだ?」
「『ステータスほめまウニを出す能力』と『女神の抱擁』というものですピッ」
「ステータスほめまウニを出すッピ?」
「はい、その通りですピッ」
「ステータスほめまくりの見間違いではないのッピ?」
「違いますねピッ。間違いなく『ほめまウニ』ですねピッ」
「なんでステータスほめまくりじゃないのよッピ!?」
「そこは不明ですねピッ」
なんで突然ウニが出てくるんだ!?
もしかして、
訳が分からないな!
「それはどんな能力なのッピ?」
「使用してみた方が良いと思いますピッ」
「それもそうねッピ。さあ、出て来なさいッピ」
メェールさんの前に、茶色い棘だらけの球体に、人間の足が生えた化け物が現れた。
身長二メートルくらい、球体の直径一メートルくらい。
足は筋骨隆々で、良い色に日焼けしている。
黒い無駄毛がぼうぼうに生えている。
黒いブーツを履いている。
「あなたがステータスほめまウニなのッピ?」
「その通りウニッ。私のことは『ほめまウニ』とでも呼んでくれウニッ」
ステータスほめまウニがそう言った。
「分かったわッピ。ところで、あなたは何ができるのッピ?」
「ヘッドスライディングが得意ウニッ!」
あの体でヘッドスライディングをしてくるのか!?
恐ろしいヤツだな!?
「他に何かないのッピ?」
「特にないウニッ」
「そうなのッピ」
うーむ、なんとも微妙な能力だな。
まあ、少しは戦力の向上になったかな。
「メルウィ、もうひとつの方はどんなものなのッピ?」
「女神の抱擁は、抱き締めた相手がなんか良い感じになる能力だそうですピッ」
「なんか良い感じって、なんなのッピ!?」
「不明ですピッ。ステータスにはそうとしか記載されていませんピッ」
なんだそれは!?
曖昧すぎるぞ!?
「これは試してみるしかないわねッピ! さあ、ヒモノさん、女神の抱擁を受け取ってッピ!」
メェールさんが抱き着いてきた。
周囲から殺気を向けられた気がした。
これは明らかに、良い感じではないぞ!?
「どう、ヒモノさんッピ? 良い感じになったッピ?」
「えっ、うーん、どうかな? よく分からないな……」
相変わらず、周囲から殺気を感じますよ。
「そうなのッピ? いったい何が起きる能力なのかしらねッピ?」
「ソウダネー」
もしかして、周囲から殺気を向けられる能力なのではなかろうか?
「そうだわッピ! 効果が分かるまで、ずっとこうしていましょうッピ! 我ながら名案だわッピ!」
ええっ!?
その間ずっと殺気を向けられていなければいけないのか!?
「それは不要ですピッ。一回の抱擁で、一日効果が持続しますピッ」
「そうなのか。なら、もう離れても問題ないな」
「ええ~、もっとこうしていたいッピ!」
「もう必要ないのだろう? さっさと離れろ!」
「離れないと始末なのです!」
「ちょっと、離してッピ!? やめてッピ!?」
ステーさんとチカさんが、メェールさんを強引に引きはがした。
ああ、やれやれだな。
「ヒモノ、女神の抱擁の効果は『アンチエイジング』と『衝動的に包丁で刺されるのを防ぐ』のふたつだと、私の勘が言っているでナンス」
イアーユさんが耳打ちしてきた。
「えっ!? そのふたつなのか!?」
また妙な組み合わせだな!?
「そうよでナンス。さあ、教えてあげたのだから、報酬として私を一生養いなさいでナンス!」
「今なら私も付いて来ますよでナス~。とってもお得ですねでナス~」
「うるさいぞ! 全然お得じゃないだろ!? 自分で稼いで生活しろ!」
「ケチな男は嫌われるでナンス!」
「しみったれているヤツですねでナス~」
「情報ひとつで、一生は高すぎるっての!? 絶対にケチではないだろ!?」
「ケチでナンス!」
「ケチでナス~!」
「やかましい!」
俺はケチではないよな!
「ああ、それから包丁を出せる数が四本に増えてますよピッ」
「メェールさんもなのか!?」
「ちなみに、私もですよピッ」
「メルウィまでかよっ!?」
「ヒモノさんが大浴場で、鼻の下を伸ばしていた時に増えたみたいですピッ」
「伸ばしてないって! 誤解で増やさないでくれよ!?」
なんて理不尽な世の中なんだ!
ひどすぎるぜ!
「メルウィはどうなんだ?」
「身体能力が強化されたようですッピ。それと私も『女神の抱擁』を身に付けましたピッ」
「えっ!? それは効果も同じなのか!?」
「はい、そのようですピッ。というわけで、ヒモノさんを抱き締めてあげましょうピッ」
メルウィが抱き着いてきた。
「ああ、なんだか幸せな気分ですピッ」
メルウィが俺の胸に顔をうずめている。
かわいい。
「メルウィ、もう離れてもらえないか?」
周囲から殺気を感じるぞ!?
「もうちょっとだけ、このままでお願いしますピッ」
「ちょっとメルウィ、そこはワタクシの特等席なのよッピ!」
「いいえ、ここは今から私の特等席ですピッ」
「何を言っているのニャ!? そこは妾のでしょニャ!?」
「いや、そこは私のでヤンス!」
「お前たちのものでもないだろ!?」
「ここはみんなまとめて始末なのです!」
女性陣がもめ出した。
ああ、なんて面倒な能力を身に付けてくれたんだ……
先が思いやられるな……
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