第55話 驚きの白さ
修行開始から一年が経過した。
「では、これで今回の修行は終了になりますマッス。お疲れ様でしたマッス!」
「うむ、みな、よくがんばったのう」
「ありがとうございました!」
これでようやく修行も終わりか。
長かったなぁ。
今回の修行もランニングと、トレーニングマシンを使っての筋トレだけだった。
特殊能力を鍛えたいというのに、なんであのメニューなんだ?
まあ、いいか。
さらに筋肉が付いたからな。
では、聖剣と合流するとしようか。
部屋を出ると、筋肉の塊Tシャツの職員がいた。
「皆様、お疲れ様でしたマセ。剣の方をどうぞマセ」
筋肉の塊Tシャツの職員が聖剣を差し出してきた。
その両手には長さ一メートルくらいの、白い光沢のある馬用の
「えっ!? その白いのはなんですか!?」
「あなた方のお連れの方ですよマセ」
「ええっ!? 聖剣は黒い色をしていたのですが!?」
「修行の途中で白くなったそうですマセ」
「えええええっ!? なんで変色するのですか!?」
「そこは不明ですマセ」
「そうなのですか……」
まさか燃え尽き症候群みたいなものなのか!?
「皆様、ご無沙汰しております。お元気でいらっしゃいますか?」
聖剣が声をかけてきた。
「ああ、久しぶりだな…… って、なんで敬語を使ってんだ!?」
「修行の成果です」
「どんな修行をしたんだよ!? マナー講座を受けたのか!?」
「いえ、職員の方に…… あ、ああ、ああああああああああああああっ!!!」
「どうしたんだ、聖剣!?」
「……………………」
「しゃべらなくなった!?」
「そやつは気絶しておるようじゃな」
どこからともなく、ナーン・コォツグーシ様の声が聞こえてきた。
「ナーン・コォツグーシ様、聖剣はどうしてしまったのですか!?」
「過酷な修行に、精神が耐え切れなかったようじゃな」
「ええっ!? いったい何をしたのですか!?」
「確か腹筋叩きをしておったな。それと筋肉温泉に入浴しておったし、特製の筋肉薬も塗っておったのう」
「なんですか、それは!?」
「腹筋叩きは、筋骨隆々の男の六つに割れた腹筋を、そやつで叩くという修行じゃ」
「ええっ!? それは危険なのでは!?」
ブミってしまうぞ!?
「そこは問題ない。素直な筋肉を叩いておったからな」
「そ、そうなのですか……」
素直な筋肉!?
そういうものもあるのか!?
「筋肉温泉入浴は、筋骨隆々の男が大量に入っている温泉に一緒に入るという修行じゃ」
うわぁ……
それはひどい……
聖剣には地獄だろうな。
「特製の筋肉薬は、光沢を出して物体の強度を上げるための塗り薬じゃ。それを筋骨隆々の男が塗っておったぞ」
「男嫌いの聖剣にはつらそうなものばかりですね……」
「うむ、実際つらそうじゃった」
精神がおかしくなるわけだな。
聖剣もつらい修行をがんばっていたんだな。
「まあ、そのうち、元に戻るじゃろう。剣を受け取って帰るが良い」
「はい、では、失礼します。お世話になりました」
ステーさんが聖剣を受け取った。
そして、俺たちは筋肉の修行場を後にした。
外に出るのも久しぶりだな。
上には所々白く光る天井がある。
遠くの方には天井まで届いている岩の壁が見える。
地面には短い草が大量に生えている。
周囲の景色は相変わらずだな。
さて、修行の成果はどのくらいあったのだろうか?
聞いてみようか。
「ステーさん、俺のステータスはどうなったんだ?」
「多数の項目が変動している。そして、新たなステータス令嬢を六人出せるようになったようだ」
「えっ!? 六人も!? なんでそんなに!?」
「ヒモノが修行をがんばったからだろう」
「そうなのか! それはうれしいな!」
「ヒモノさん、おめでとうッピ!」
「すごいわねニャ! おめでとうニャ!」
「ヒモノ、おめでとうでナンス! さあ、その力で私を一生養ってねでナンス!」
「私もお願いしますねでナス~」
みんなに称賛された。
「ありがとう、みんな! そこのふたりは自分で金を稼げ!」
「ええっ、なんででナンス!?」
「めでたいのだから、養ってくださいよでナス~」
「却下だ!」
まったくふてぶてしいヤツらだな!
「それから聖剣も強化されているようだ」
「おおっ、そいつは素晴らしい! 具体的にはどう変わったんだ?」
「能力の名称が『叩くとブミブミと鳴いて素直になる聖剣、ワカラセの鞭・エンジェルエレガントブライトクリアホワイトパール・キンニクテカテカを出す能力』に変更された」
名称長すぎぃぃっ!?
それにすさまじく白そうだな!?
まあ、実際白いけど!
後キンニクテカテカって、なんだよっ!?
聖剣に筋肉なんてないだろ!?
意味が分からないぞ!?
「それから分身の術が強化されて『分身の術・魔法・神通力』になった」
なんじゃそりゃぁっ!?
特殊能力なのか、術なのか、魔法なのか、神通力なのか、ハッキリしろよ!?
「これにより、聖剣の分身が六本出せるようになった」
「六本もか。そいつは助かるな」
「聖剣キノコの方も強化され『聖剣キノコ分身の術・魔法・神通力』になった。こちらも六本出せる」
そこも術・魔法・神通力なったのかよっ!?
「後で遠隔操作の訓練をした方が良さそうだな」
「ああ、そうだな」
「後は『シャイニングブミブミ・セイクリッドマッスル』という特殊能力を使えるようになったようだ」
「なんだそれは!?」
輝くブミブミ、神聖な筋肉!?
意味が分からん!!
「これを使用すると、聖剣が光り輝く。その光を浴びた者はブミブミと鳴いて素直になるというものだ」
「えっ、それってもう叩く必要はないということなのか!?」
「いや、そうでもない。これは強者には効かないようだ」
「そうなのか」
群れている弱者用の能力みたいだな。
なかなか使えそうだ。
「まだ何かあるのか?」
「いや、ヒモノと聖剣に関しては以上だ」
「そうなのか。聖剣も前回と比べると、かなり強化されたな」
「それだけ過酷な修行に耐えたのだろう」
起きたら褒めるべきだな。
いや、また過酷な修行を思い出して、気絶してしまう可能性もありそうだな。
うーむ、どうするか?
難しいところだな。
まあ、ここは高度な柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対応しようか。
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