第31話 後始末いろいろ

 ケスデニグ女王も兵士たちも全員倒れている。


「勝敗は決したみたいだな。いや、本当にそうなのだろうか?」


 女王は勝手に気絶しただけだ。


 起きたら能力を使ってくるかもしれないな。


「わたくしの電球が、女王はまだ特殊能力を使用できると言っているのです!」


「ならば、今のうちに始末するべきだな」


「ここは俺様に任せな! たっぷりとブミらせてやるぜ!!」


「ああ、頼むよ、聖剣」


「よっしゃっ! いくぜ!!」


「ブミィィィィィィィィ……」


 聖剣が気絶している女王を容赦なくぶったたいた。


 気絶していても、ブミブミと鳴くんだな。


「わたくしの電球が、これで女王は問題ないと言っているのです!」


「そいつは良かった。今回も肝が冷えたな」


「もうダメかと思ったわッピ」


「まあ、なんとかなって良かったじゃねぇか!!」


「ああ、そうだな」


「安心したら、お腹がすいてきたキュ!」


「食事は救助活動が終わってからな。では、始めようか」


 俺たちは兵士たちを砦に運んだ。


 女王も生きていたので、ついでに運んでおいた。



「終わったキュ! お腹すいたキュ!」


「お疲れさん、それじゃあ、食事にしようか」


「やったキュ!」


「では、我々はお茶をれましょうかピコッ」


「お任せくださいコピッ」


「ああ、頼むよ、ピコピコ、コピータ」


「敵地で何をやっているのかしらニャ? ずいぶんと余裕なのねニャ」


 女王がやって来て、皮肉を言ってきた。


「もう、気が付いたのか」


 他の兵士たちは、まだ倒れたままなのに。


「ええ、つい先程ねニャ。さあ、あなたたちをけなしてあげましょうかニャ。さっさと逃げなかったことを後悔するのねニャ」


「えっ!? 使えるのか!?」


「残念ながら、ステータスボロクソは使えなくなっているのです!」


「何を言っているのニャ!? 使えるに決まっているでしょニャ!」


「ステータスは確認したのか?」


「そんなことしてないわよニャ!? 必要ないでしょニャ!」


「いや、あると思うぞ。してみたらどうだ?」


「良いでしょうニャ! そのくらいは応じてあげるわ、ステータスオープンニャ!」


 女王がそう言うと、女王によく似た人間が現れた。


 違いは髪の色が、オレンジなところくらいだ。


 やはりそうなるのか。


「まいど~、ステータスウィンドウですニュ! お客様、ご注文をどうぞニュ!」


 女王のステータスウィンドウがそう言った。


「な、何者なのニャ!? なんなのよ、これはニャ!?」


「ですから、私はステータスウィンドウですニュ!」


「妾のステータスウィンドウは、こんなのじゃないでしょニャ!?」


「いいえ、私はいつも通りですよニュ?」


「まったく違うでしょニャ!?」


 混乱しているなぁ。


「とりあえず、特殊能力を聞いてみたらどうだ?」


「それもそうねニャ。何があるのニャ?」


「お客様には『余計な語尾が付かない、あまりお買い得ではない通訳翻訳能力』がありますよニュ」


「そ、それだけなのニャ!?」


「それだけですねニュ」


「ステータスボロクソは、どこに行ったのニャ!?」


「なんですか、それはニュ? なんのことか分かりませんニュ」


「そ、そんなバカなニャ!? ……ステータスウィンドウが出ないニャ!? 本当に使えなくなっているニャ!?」


 女王がひざまずき頭を下げた。


 どうやら本当に、ステータスボロクソが使えなくなっているようだな。


 良かった。


「お茶が入りましたピコッ」


「食事の用意もできたのです!」


「では、いただこうか」


「いっぱい食べるキュ!」


 俺たちは食事を取った。



「お腹いっぱいキュ!」


「ごちそうさま」


「ちょっとあなたたちニャ! 妾が絶望しているというのに、なんで普通に食事しているのよニャ!?」


「お腹がすいたからキュ!」


「こういう時は慰めるものでしょニャ! あなたたちには人の心がないのニャ!? 血も涙もないのニャ!?」


「敵に何を言っているんだ!?」


「まったくねッピ! 厚かましい女だわッピ!!」


「いや、メェールさん、君が言うなよ……」


「ワタクシは役に立っているから良いでしょッピ!」


 厚かましさでは似たようなものだろうに。


「メェールって、あなたホプレイズの女王じゃないニャ!? なんでこんなところにいるのよニャ!?」


「えっ、今更そこにツッコむのか!? ずっといたぞ!?」


「う、うるさいわねニャ!? 気付かなかったのよニャ!? そいつの存在感がないのが悪いのよニャ!!」


「あなたが抜けているだけでしょッピ! ワタクシのせいにしないでよッピ!!」


「ケンカすんなよ……」


「あなたがどうでもいいことを言うからでしょニャ! それでなぜここにいるのよニャ?」


「ワタクシは美人で有能だから、どうしてもと言われて仕方なく付いて来たのよッピ」


「何を言っているんだ!? 今のケスデニグ女王みたいな状態になって、ひとりではやっていけないから、強引に付いて来ただけだろ!?」


「余計なことは言わなくて良いのッピ!?」


「そういうことなのねニャ。なら、妾も付いて行くわニャ!」


「なんでそうなるんだよ!?」


「ホプレイズ女王が良いなら、妾も良いでしょニャ!」


「いや、良くないだろ!? 何を言っているんだ!?」


 女王というのは、どいつもこいつも面倒だな!!

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