第25話 VSホプレイズ女王

 休憩を挟みつつ、三日間飛んだ。


 すると、ジャッダァ王国の砦のような建物が見えてきた。


「わたくしの電球が、あの砦にホプレイズ王国の女王がいると言っているのです!」


「着いたか。さて、これからどうしよう?」


「突撃するのです!」


「さすがにそれは無謀だろ!?」


「おっさん、俺様に良い考えがあるぜ!」


「それはなんだ、聖剣!?」


「まず俺様はどこかに潜伏する。おっさんたちは真正面から突撃して、敵を引き付ける。そして、隙を見て俺様が女王をブミらせて、大勝利だぜ!」


「俺たちをおとりにする作戦なのか!?」


「その通りだぜ!!」


「ええっ!? 危険なんじゃないか!?」


「女王の能力は効かねぇんだから問題ねぇだろ!」


「まあ、確かにそうかもしれないけど……」


「なら、これに決定だぜ! 俺様は隠れられそうな場所に行くぜ!」


 聖剣が飛んで行った。


 えっ!?

 決定なのか!?


「では、わたくしたちも行くのです!」


 チカさんたちが砦に向かって行った。


 みんな強引だな。


 大丈夫なのだろうか?


 まあ、今更どうしようもないか。


 覚悟を決めよう!


 俺も砦に向かった。



 砦の近くまでやって来た。


 すると、中から西洋甲冑を着こんだ人たちが大量に出て来た。


 その中に明らかに場違いな格好の美女がいた。


 艶のある明るめなブラウンのロングヘアー。


 どこぞの女王が付けていそうなティアラ、白い高級そうなパーティドレスを身に着けている。


 長身でスタイル抜群。


 温厚で優しそうに見える絶世の美女だな。


 ただ、不気味というか、危険というか、そんな感じもする。


 こいつがホプレイズ王国の女王なのか?


「あなたがこの国の女王なのですね?」


 そう思っていたら、チカさんが都合良く質問してくれた。


 ナイスなタイミングだな!


「ええ、そうよッピ。ワタクシがホプレイズ王国の女王のメェール・ホプレイズよッピ」


 女王がそう言った。


 口調や仕草が優雅で上品だ。


 上流階級の人間であるという印象を受ける。


 ただ、変な語尾が付いているせいで台無しだけどな!


 なんで『ッピ』が選ばれたんだよっ!?


 意味が分からんな!


「では、あなたをぶちのめすのです!!」


「えええええっ!? チカさん、もっと言い方あるだろ!? それにいちおう降伏勧告くらいした方が良いのではないか!?」


「彼女はそんなものを受け入れる気なんてないのです!」


「確かにその通りだけど、いきなりぶちのめすは下品ねッピ」


 まったくもってその通りだな。


「それになんであなたたちは勝てると思っているのッピ? この状況が見えないのッピ?」


 確かに数が違いすぎて、勝ち目はまったくなさそうだよな。


「そんなの決まっているのです! わたくしたちにはあなたの特殊能力が効かないのです!!」


 試したわけではないのだがな!


 頼むから失敗してくれよ!


「あら、そうなのッピ? なら、試してあげるわッピ」


 女王が俺の方に手のひらを向けた。


「くっ、な、なんだ今のは!?」


「ステーさん、どうかしたのか!?」


「私の中に何かが入って来たような気がした……」


「その女性があなたのステータスウィンドウなのッピ? 変わっているのね、初めて見たわッピ」


「なぜ分かったんだ!?」


「それはステータスを読み取ったからよッピ」


「えっ!? 読み取れたのか!?」


「そうだと言ったでしょうッピ? なぜできないと思っているのかしらッピ?」


「君らのステータスウィンドウとは規格が違うだろ!?」


「ああ、それが理由で攻めてきたのねッピ? でも、残念だったわねッピ。ワタクシには『いかなる規格のステータスでも閲覧できる能力』があるのよッピ」


「な、なんだと!?」


 そんな特殊能力があるのかよっ!?



「だが、特殊能力がステータスを読み取れても、君がそれを読めないのではないか?」


「それはどういうことなのッピ?」


「俺たちのステータスは、異国の言語で記載されている。君には読めないはずだ」


「なんだ、そんなことなのッピ。ワタクシには『余計な語尾が付かない、あまりお買い得ではない通訳翻訳能力』があるわッピ」


「なんだそれは!?」


「ワタクシはすべての言語を読むことができるということよッピ」


 な、なんじゃそりゃっ!?


 そんなのもあったのかよっ!?


 これは計画が破綻したんじゃないか!?



 いや、まだだ!

 まだ手はある!!


「トーリさん!」


「分かったッス!」


 トーリさんが能力を使用した。


 女王たちが全員鳥類になった。


「なんなの、この変な格好はッピ? 面白い能力が使えるのねッピ」


 女王たちはまったく動じなかった。


 少しくらい慌ててくれよ!?



 上空から聖剣が突撃して来た。


「こいつでブミりやがれぇっ!!!」


 聖剣が女王に攻撃を仕掛けた。


「ブミィィィィィィィィッ!!!!!」


 だが、その攻撃は近くにいた兵士の盾で防がれた。


 なぜかその盾がブミブミと鳴いているぞ!?


 盾も鳴くんだな!?


 さらに、聖剣の分身を持ったステーさんも女王に攻撃を仕掛けた。


 だが、それも兵士の盾で防がれた。


 その盾もブミブミと鳴き出した。


 やはり鳴くのか。


「あら、伏兵がいたのねッピ。でも、残念だったわねッピ。ワタクシの親衛隊たちは手練れぞろいなのよッピ。そう簡単に倒せるとは思わないことねッピ」


 くっ、これもダメだったか!?


 ということは……


 あっ、ヤバい!?


 これはもしかして、万策尽きちゃったということなのか!?


「あらあら、万策尽きたような顔をしているわねッピ」


「どんな顔だよっ!?」


「うふふふ、今のあなたの顔よッピ。とっても素敵ねッピ」


 くそっ!?

 ふざけやがって!?


「さあ、そろそろおしまいにしましょうかッピ。がんばったあなたたちを、たくさん褒めてあげるわッピ」


 女王がそう言うと、女王の前に半透明の青いプレートが現れた。


 あそこに俺のステータスが記載されているのか!?


 これはマズい!?


 このままでは洗脳される!?


 何か!?

 何か手はないのか!?

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