第20話 新たなステータス令嬢
「王についての説明は以上でアリマス。では、どの王から倒しに行きますかでアリマス?」
「おい、ちょっと待て!? まだ戦うとは言ってないだろ!? なんで勝手に話を進めようとしているんだよ!?」
「ちっ、引っかかりませんでしたかでアリマス」
「くだらないことをするな! それにステータス奪取の王以外には勝てなさそうじゃないか!?」
「なんとかなりますよでアリマス」
「ならねぇよ!? そんなに世の中甘くねぇよ!? というか、お前らもどうにもできなかったのだろうが!」
「あなた方はうちの王をなんとかできたじゃないですかでアリマス」
「あんなのただの偶然だろ!?」
「その偶然を後四回起こせば良いだけですよでアリマス」
「無茶言うな!!」
「お願いしますよでアリマス。あなた方に見捨てられたら、我々はいずれかの国の奴隷にされますでアリマス」
「どこかに逃げられないのか?」
「それこそ無茶ですねでアリマス。子供や老人もいますし、ミョガガベもいますからねでアリマス」
「確かにそうだな」
「というわけで、倒してきてくださいよでアリマス。お願いしますよでアリマス」
「お断りだ!」
「ああ、このままではなんの罪もない我が国の民が、ひどい目に遭わされてしまうでアリマス。なんと哀れなでアリマス。あなたたちには人の心がないのですかでアリマス? 血も涙もないのですかでアリマス?」
「人聞きの悪いことを言うな!!」
「分かったのです! わたくしたちが他国の王たちを討伐してくるのです!!」
「おおっ、救いの女神よでアリマス! ありがとうございますでアリマス!!」
「チカさん!? 何を言っているんだ!?」
「では、さっそく最初の国に向かうのです!」
「ええっ!?」
「この大陸の地図をどうぞでアリマス。王のいる可能性のある場所も書いてありますでアリマス」
「ありがとうございます!」
チカさんが地図を受け取った。
「それでは皆さん、出発するのです!」
チカさんが歩き出した。
「ちょっと、チカさん!? 本当に行くのか!?」
俺たちもそれに続いた。
「チカさん、今はどこに向かっているんだ!?」
「ここから一番近い、ジャッダァ王国なのです」
「本当に倒しに行くのか!?」
「本当に行くのです!」
「ええっ!? 危険すぎないか!?」
「わたくしの電球が、この中にいる限りは、どうせ危険だと言っているのです!」
「それはそうかもしれないけどさぁ。何もわざわざ王に近付かなくても良いんじゃないか?」
「わたくしの電球が、これが最善と言っているのです!」
「ええ…… どうしてそれが最善になるんだよ?」
「すべての王を倒して、すべての国で情報をかき集めてもらうのです! それが一番早く情報を集める手段なのです!!」
「確かにそれができれば、最善かもな」
できればだがな。
「おっさん、これはもうやるしかねぇだろ! 覚悟を決めろ!!」
「そう言われてもなぁ。ジャッダァ王国の王なら、なんとかできそうだけど、他のはどうすれば良いんだよ?」
「そこはなんか、こう、アレだ、アレ、気合でどうにかしやがれ!」
「気合でどうにかなってたら、とっくに決着が付いているだろ!?」
「うるせぇ、とにかくなんとかするんだ!」
「無策なのかよ…… まあ、とにかく何か考えてみるか……」
何も思い付かなかったら、逃げることを提案しよう。
「ところで、ジャッダァ王国はどのくらい歩くんだ?」
「何十日も歩くことになりそうなのです!」
「長っ!? そんなにかかるの!? ここってそんなに広いのか!?」
「地図を見る限り、かなり広いのです!」
「ここの人たちは、何で移動しているんだ?」
「人間さんが空を飛んでいたという話を聞いたことがあるキュ」
「それも特殊能力なのか?」
「おそらくそうなのです」
「すごいもんだな」
「ものすごく速く動くものに乗っていたこともあるらしいキュ」
「乗り物か。それ借りれないかな? ちょっと、農村部に行って聞いてみようか」
何十日も歩きたくないしな。
「そういえば、食料は後どのくらいあったっけ?」
「修行の時に食べてたから、全然ないキュ!」
「ええっ!? 全部食べちゃったのかよ!?」
「美味しかったキュ!」
「そいつは良かったな! 仕方ない、食料も買っておくか」
農村部に着いた。
周囲の人に長距離の移動手段について聞いてみた。
空を飛ぶ、車やバイクのような乗り物を出すといった特殊能力で移動するそうだ。
乗り物をレンタルできるサービスはあるのだが、隣国までは貸してもらえないそうだ。
まあ、戦争中だし当然か。
「さて、どうするか? 地図をくれた人を探して、乗り物も用意してもらおうか?」
「わたくしの電球が、自前のものがあった方が良いと言っているのです!」
「それはそうだろうけど、どうやって用意するんだ?」
「新たなステータス令嬢を出すのです!」
「えっ!? そんなの用意できる令嬢がいるのか?」
「わたくしの電球が、
「鳥力? なぜそれなんだ?」
「わたくしの電球が、そう言っているのです!」
「要するに直感か。ステーさん、そもそも鳥力って、なんなんだ? 何かの比喩なのか?」
「その者の鳥っぽさを表したステータスだ。今のヒモノは『肉皮骨内臓などがあるところは鳥っぽい』となっている」
「意味が分からないぞ!? なんでそんな項目があるんだ!? なんの役に立つんだ!?」
「不明だ」
「そうなのか」
なんでこんなものがあるのだろうか?
うーむ、分からんな。
まあ、いいか、気にしても仕方ないことなのだろう。
「では、出してみようか」
俺は鳥力のステータス令嬢出て来いと思ってみた。
すると、俺の目の前に何かが現れた。
こ、こいつが鳥力のステータス令嬢なのか!?
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