第10話 買い物、風呂、筋肉?

 宿にやって来た。


 レトロな雰囲気の木造の建物だな。


 では、部屋を取ってこようか。



 三万フピの部屋を一室借りた。


 次は買い物に行こう。



 食料品店にやって来た。


 小規模な個人商店って感じの場所だな。


 では、入ってみるか。



 中は大量に並べられた棚に、商品が敷き詰められていた。


 日本にある店と似たような感じだな。


 個々の商品がプラスチックっぽい袋や容器で包装されている。


 ここの文明レベルは、かなり高いのかもしれない。


「すごくいっぱいあるキュ! お姉様、これが全部食べ物なのキュ?」


「どうやらそのようだ」


「すごいですキュ~」


 キュキュとキュウィがはしゃいでいる。


 和むなぁ。



 さて、何を買おうかな?


 どの食品も地球のものと、そう変わらないように見える。


 食べられそうな気がするけど、本当にそうなのだろうか?


 ちょっとチカさんに聞いてみよう。


「わたくしの電球が、なんの問題もなく食べられると言っているのです!」


「そうか。それは良かった。では、適当に買っておこうか。何か食べたいものがあるなら言ってくれ」


「分かったキュ!」


「美味しそうなものを見つけ出してやりますキュ~」


 キュキュとキュウィが探しに行った。


「あのふたりの面倒は、私が見よう」


「ああ、頼むよ、ステーさん」


 ステーさんが追って行った。


 面倒見の良いお姉さんだな。


 さて、何を買うかな?



 店内を見て回っていたら、キュキュとキュウィが食料品をいろいろと持って来た。


 それらを買ったら、お金がなくなってしまった。



 では、宿に戻ろうか。


 俺たちは店を出た。



 宿の部屋に来た。


 中は十畳くらいの部屋に、簡素なベッドが二台置いてある。


 他には洗面所、風呂場、トイレもあるようだ。


 風呂には温水シャワーがあり、トイレは水洗だ。


 形、使い方は日本にあるものと同じような感じだ。


 やはり文明レベルは高いんだな。


 現代人には、ありがたい限りだな。


「お姉様~、これはなんなのキュ?」


 キュキュが風呂場で、ステーさんに質問していた。


「これはぬるま湯で体を洗うための道具だ」


「人間さんは、そんなことをしているのキュ?」


「そうだ」


 ミョガガベは水浴びをしないのか?


 いや、ウサキュキュがしないだけなのかな?


 まあ、そんなのどうでもいいか。


「お姉様、これを使ってみたいキュ。どうやって使うキュ?」


「まずは服を脱ぐ必要があるのだが、その着ぐるみのようなものは脱げるのか?」


「分からないキュ」


「調べてみよう。むっ、後ろにファスナーのようなものが付いているな。これを下ろせば脱ぐことができるようだ」


 へぇ、あれは脱げるのか。


 おっと、脱ぐところを見るわけにはいかないな。


 ここを離れよう。



 姿の見えない場所まで退避した。


「よし、脱げたな。入ろうか」


 声は聞こえてくるんだな。


「ワタシも分かりませんキュ~。教えてくださいキュ~」


 キュウィも一緒に入るのかな?


「だが、三人で入れるほど広くはないな」


「それなら、わたくしが教えるのです」


「ありがとうございますキュ~」


 キュウィはチカさんと入るのか。


 チカさんの、あの電球の着ぐるみは脱げるのか?



「では、入るか」


 ステーさんとキュキュが風呂に入ったようだ。


 風呂場の中の音までは聞こえなかった。



「上がったぞ」


「とっても気持ち良かったキュ!」


「では、次はわたくしたちの番なのです」


「入りましょうキュ~。脱がせてくださいキュ~」


「分かったのです」


「チカさんのファスナーも下ろしましょうかキュ~?」


「わたくしの電球に、そんなものはないのです」


「なら、どうやって脱ぐのですかキュ~?」


「それはこうなのです!」


「すごいですキュ~!」


 何がすごいんだ!?


 いったいどうやって脱いだんだよ!?


 くっ、気になる!


 だが、俺がそんなことを聞いたら、変態だと思われるかもしれないから聞けない!


 もどかしい!!


 そして、チカさんとキュウィが風呂に入った。


 その後、俺も風呂に入り、食事を取って寝た。



 次の日。


 俺たちは長から聞いた場所にやって来た。


 そこには、赤いコンテナハウスのようなものがあった。


 壁に『ラーメン』『そば』『んどう』という文字が白いペンキのようなもので書いてあった。


 ここが特殊能力の修行ができるダンジョンなのか?


 なぜこんなものが書かれているんだ?


 意味が分からんな。


 まあ、いいか。


 入ってみよう。



 中は広大な洞窟のような場所だった。


 ここも所々天井が白く光っていて、とても明るい。


 えっ!?

 なんだこれは!?


 外で見た建物よりも、明らかに広いぞ!?


 いったいどうなっているんだ!?


「おい、おっさん、何かいるぜ!」


「えっ!?」


 洞窟の奥の方から、何かが近付いて来た。


 それは白いTシャツを着た人間の全身骨格だった。


 身長二メートルくらい。

 シャツの真ん中に『筋肉の塊』と黒い文字で書いてある。


 なんだこいつは!?


 敵なのか!?


 まあ、少なくとも筋肉の塊ではないな!!


「いらっしゃいませマセ」


 骨がしゃべった!?


 どこから声が出ているのだろうか!?


 まったく分からんな!


 ここは特殊能力ということにしておこうか。


「筋肉の修行場『ガナガーナァヤセ』へようこそマセ」


 筋肉の修行場!?


 特殊能力の修行ができるダンジョンじゃないのか!?


 それにガナガーナァヤセって、なんだか痩せそうじゃないか!?


 どういうことなんだよっ!?


 もしかして、場所を間違えたのか!?

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