【設定】魔術系統

◆自然魔術 Natural Magic


 自然界に存在する様々な元素を霊力と作用 (魔力)させ、魔法現象を引き起こす。多くの場合、術者は呪文 (spell)を詠唱することで効果を安定させる。

 術には複数の元素が関係するが、主となっている属性によって分類される。




◇短縮術式 (ショートカット)short-cut


 特定の術を、詠唱を省略し即時発動する高度な技術。多くの場合、普段から使用頻度の多い術を登録しておく。

 デメリットは、効果範囲や発動条件などを細かく設定しなければならないため、応用の幅が狭くなること。使用状況がほぼ決まっているか、コントロールできる立場で使うのが望ましい。




◆精霊魔術 Elemental Magic


 精霊魔術は、召喚主と精霊との繋がりの中で「打ち合わせ」を行うことにより紡がれる。当然、大がかりな術ほど時間や手間がかかり、霊力の消費も多くなる。

 精霊の活動に必要な「感情」の安定供給こそが、召喚に対する精霊への報酬といえる。




◇精霊鎧装 (スピリチュアライズ)Spiritualize


 精霊と完全同調することで、通常と比較にならないほどの戦闘力を発揮する大技。その際、召喚者は鎧や武具を纏った姿を取るためこう呼ばれる。

 元は『十三年戦争』で活躍した〝十尾の召喚士 (テン・テイルズ・サモナーズ)〟たちの発明であると伝えられている。




◆呪楽 Bardic Magic


 音響魔術、とも。旅から旅への生活を送る吟遊詩人たちが、自らの身を守る目的で編み出した術の総称。

 歌声や楽器から発せられる音の振動で術式を編み上げ、空間へ作用させることで効果を生む。よって、対象者の聴覚の有無には左右されない。

 ちなみに、水虎が操る呪歌 (spell song)も呪楽の一種だと考えられている。




◇ブライターヴェーク Breiterweg


 呪楽は元々自然発生的な技術であり、長らく体系的なものは存在していなかった。一子相伝に細々と受け継がれてきた無数の流派は近代になっていくつかに取りまとめられ、定まった系統を持つまでに至っている。

 ヴェロイト帝国に伝えられる呪楽流派・ブライターヴェークもその代表的な一派である。




◆魂振 Tamafuri


 カムナヤの神官が使う術の総称。用途は多岐にわたるが、その多くは治癒術や支援術に特化している。

 多くの場合、術者が即興で紡ぎ出す祝詞の詠唱によって、氏神からの力を借り受ける形式を取る。




◇掛詞 paronomasia


 かけことば。祝詞を詠む際、修辞法により言霊が強化され、魂振の効果が増すらしい。

 仕組みは解明されていないが、仲立ちをする神霊が楽しんで色を付けているのではないか、とも言われている。


例:序章で大曽根が使った治癒術

「つゆばかり くみてよかるや みなもとの ましみづさして つくろわうずる」


訳:ちょっと汲んでもいいかなー、水源の清水、注いで治しちゃおっかなー

『つゆ』が「わずか」と「(水の)しずく」の、『みなもと』が「水源」と「(水神の)御名の下」のそれぞれダブルミーニング。




◆道術 Taoistic Magic


 央土で使われている魔術系統。龍道の道士たちによって作り上げられた。五行の力をもって自然を見定め、構成要素を組み替えることであらゆる事象を引き起こす。




◇五遁 wǔdùn


 五行を操り物質の振る舞いを変化させる、またそれによる高速移動を行う術。遁術、とも。


・木遁 草木に働きかけ、枝葉を伸ばす、または動かすなどする。

・火遁 火炎を飛ばす。また火に触れても燃えず、熱さの影響を受けない。

・土遁 地質を変化させ、地中を移動、他者を引きずり込むなどする。

・金遁 金属の硬度を変化させる。厳密には分子の密度を操作する。

・水遁 水上を歩行する。水中でも溺れず、呼吸を保つ。水濡れを防ぐ。




◇縮地 suōdì


 瞬間移動に近いが、転移術とは異なる。そのメカニズムは空間を折りたたみ、隣り合った座標へ移る過程をもって即時的な移動を図る (擬似的なワームホール)というものである。

 また距離にも制限があり、術を行使する時点での、術者の認識可能な空間の範囲内 (晴眼者においては視界内)でしか移動できない。




◇龍道 lóngdào


 央土で信仰されている多神教。〝無徒孤龍祖より生まれた天獅子と原始神母の争いが天地分かつ〟の一節で始まる神話を持つ。

 龍道に帰依する道士たちは、修業によって輪廻の輪を解脱し、仙人となることを目指す。その過程で心身を鍛えるため、多くの者が武術や道術を身につける。




~ その他の魔術系統 ~


◆忍術 Ninjutsu


 イムガイの忍者が使用する術系統。詳しい成り立ちは不明だが、法術や陰陽術をより実戦向きに改変を重ねた結果だとする説が有力。




◆法術 Mystic Magic


 天狗に伝わる魔術の一種。純粋な術というよりは、法具を用いた大掛かりな技に近い。真言 (マントラ、mantra)あるいは陀羅尼 (ダラニ、dhāraṇī)の詠唱によって道具に秘められた力を開放する。




◆陰陽術 Onmyojutsu


 カムナヤの魂振、フトノリの加持、龍道の道術などを組み合わせ咀嚼・昇華させたイムガイ独自の術体系。宮廷魔術師である陰陽師たちの研鑽により発展した。

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