【設定】トゥーラモンド

◆トゥーラモンド Toulamonde


 献慈が流れ着いた異世界のこと。


 この世界をトゥーラモンドと呼称したのは、古の『十三年戦争 (トレットノリガ・クリゲット)』がきっかけ。侵略者である魔界側に対して「〝この大地にあるものすべて〟の存亡をかけて臨む」と宣言したのが語源となった。


 地球と似ているが、イムガイでは幕府が存続していたり、西洋では中世暗黒時代がなく文化的断絶も起らなかったなどの違いがある。


 現在、新星暦1889年≒西暦1900年代初頭に相当。ただし発展具合には若干のズレがある。魔法の存在が技術の発達を早めている一方、魔物の存在がインフラの整備を妨げてもいるためだ。




◆ユードナシア Eudenacia


 献慈が暮らしていた元世界、地球のこと。


 ユードナシアの呼称は、竜人族の伝承にあるエフダナキア――人生を全うした者が行き着く死後の楽園――に由来する。伝承は 『十三年戦争』よりも古く、「この世界ではないどこか」すなわち「あの世」という連想からと推測される。




~ トゥーラモンドの国と地域 ~


◇フォズ・イムガイ国 Foz-Imghay

 献慈が最初に降り立った島国。


◇央土 Centria

 大陸東部を治める国家。現在の国号は鄒 (すう/ツォウ)。


◇ヴェロイト帝国 Wöleud

 西洋随一の大国。帝国を名乗るも実質的には王制国家。


◇メリダ連合 Merida Union

 ヴェロイトと対立するリュゴー騎士団領 (Lugaux)、オルカナ王国 (Orcana)、フラマシア法国 (Flamacia)の三国。


◇パタグレア共和国 Pataglea

 イムガイ南西の海に浮かぶ群島国家。


◇グラクシス公国 Glaxis

 リュゴー北の半島国家。新大陸へはいち早く入植を始めた。


◇新大陸 Terra Nova

 沿岸部に西洋諸国からの移民が進出している。内陸部には竜人の隠れ里がある。




◆相案明伝 (ソウアンメイデン)


 単に明伝、とも。約百三十年前を境にトゥーラモンドを覆った相互翻訳現象。


 西方の小さな港町、異国との取引の場で一人の貿易商が異変を察知する。覚えず発した自国の言葉が相手に通じていた。

 この現象は、以後町を出入りする人々を媒介するようにして日に日に各地へ波及していく。


 季節が一巡する頃には、世界中の誰もが異なる言語同士を理解できるようになっていた。

 この事態は世界に一時的な混乱をもたらしたものの、やがて人々はこれを神の奇跡、あるいは天恵として肯定的に受け入れる道を選択した。


 明伝は「耳から聞いた言葉」を「ニュアンスで理解」する。視覚・触覚に頼る文字についてはその限りではない。理解の幅は聞き手側のコンテクストに依存する。


 未知の単語は、基本的に聞き手の既知の単語に置き換わる。例えばトゥーラモンドで広く使われている樹脂素材・ノバンは、ユードナシアでいうプラスチックであると理解される。

 もしここで聞き手が注意深く耳を傾けるならば、語り手が発する「ノバン」の発声を聞き分け、やがては正しい文脈において使いこなすようになるであろう。

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