布団

幼いころ、弟を突き飛ばした

自分より太っていて、ひどいにおいの同級生を足蹴にした


そんなおれは実際誰よりも殴られていて、アルバイトになっても変わらなくて


その前には親父に蹴られて、吐いたものを食わされていた


そのときに感じなかったことを、なぜかじぶんがするがわになると思い出す


おれの罪があるならば

鈍感だったこと


罪に気付いてからの罰は遅きに失して

おれはいま敏感すぎて

どんな量刑も意味をなさない

すべて同様に苦痛であるならば

なんの意味もないからだ


だからおれはただ

布団のなかにいよう

そうして

そのままで、トゲを抜かれた雲丹として

打ち捨てられるのを待っている

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